ヘラクレスと金太郎こと坂田金時。その信じがたい一致性
ここで取りあげるのは
[古代ギリシャ(とその影響下にある西洋文明)の伝説上の英雄、ヘラクレス]
[日本の伝説上の英雄、金太郎(後の坂田金時)]
の間にある一致性の問題である。
とした上で、まずもって、下の図をご覧いただきたい。
最上段。幼少のみぎりのヘラクレスと金太郎である。次いで、中下段。中段は成人し多頭の蛇の怪物、ヒドラと向き合うヘラクレス。下段は成人し、源頼光の酒呑童子退治に参加した金太郎である(青い円で囲った部位の彼は源頼光の家臣になった時分に坂田金時と改名している)。
上のような形でよく美術作品のモチーフにされていたヘラクレスと金太郎だが、彼らの間にはパラレリズム(類似関係)、絶対に人間業では生じえないようなパラレリズムが存在している。下に挙げた〔1〕-〔6〕の各点を精査することでそのことが分かるはずだ。
〔1〕ヘラクレスの父親は"雷神"ゼウスだ(ゼウスの妻、ヘーラーは夫のゼウスが他の女との間にもうけた子ということもあって、ヘラクレスを憎んでいたと神話にある)。
他面、金太郎は一説には ―金太郎の誕生経緯については複数の説が存在している― 山姥(ヤマンバ)が"雷神"との間に設けた子供であるとされている。雷神でつながる(ただし、金太郎には中国の漢王朝の始祖のように赤龍の子との話もある。操作者の特性からすれば、そういった異伝が伝わるのもさもありなんと言えるようなことは他で詳述している)。
〔2〕ヘラクレスは[9つの首を持つ怪物であるヒドラ]を倒している。他面、金太郎は長じて坂田金時になった後、[ヤマタノオロチの"生まれ変わり"とされる酒呑童子]を成敗したとある。
ヒドラの頭の数は9でヤマタノオロチの頭の数は8だが、それを無視したうえで上の話をパラレリズムの一つとしてしまって構わない。スサノオが怪蛇ヤマタノオロチを退治する伝承は同じく日本の九頭竜伝説、日本武尊(ヤマトタケル)が草薙の剣で9つの頭を持つ九頭竜を倒す伝承と結びついており、8と9の違いは大きな意味を有さないからだ ―というより、8と9は他の地域の神話・物語群の中で秘教的に結び付けられている風がある。北欧神話の主神が"8本"足の馬を駆るオーディン、さまざまな伝承上の隠喩と結びついた隻眼("一つ"目)の存在だったり(8+1=9)、道教の信仰対象として八仙が重要視される大陸でこれまた九が八と対応づけなされるように重要視されていたりすること(中国は明代の伝奇小説、『封神演義』の設定などがその典型例)がそうだ―。
さて、坂田金時に倒される酒呑童子がヤマタノオロチの生まれ変わりだとしたが、それは伊吹山伝説など"複数の"伝承で「酒呑童子はヤマタノオロチの生まれ変わり、あるいは、子である」とされていることによる(赤龍の子ともされる金太郎の母親が山姥でなくヤマタノオロチを想起させる"八"重桐などとされているところにも金太郎自体が同じ類に造られた伝説上の存在であるともとれるが)。そのこと、酒呑童子がヤマタノオロチの[転生者] (神変奇特酒で寝入ったところを討たれたことに見るように酒好きの点がヤマタノオロチと共通するとも)であるとされること"自体"も金太郎とヘラクレスのパラレリズムを述べる上で重要である。すぐに話す[星座に絡む人間業とは思えぬ比喩]があるために、である。
〔3〕ヘラクレスがヒドラを倒した後に間を経て倒した同じく多頭の蛇の怪物、ラドン。100の頭を持つとされるその蛇の怪物、ヒドラの兄弟たるラドンは後に天に挙げられ星座のりゅう座(Draconis)になったとされる。それが接合する。金太郎が子供の時分、熊(:あるいは重要なこととして子熊。につき、小熊と明言している伝承はなかなか見当たらないが、子供が大人の熊と取っ組み合いになれば、瞬殺されるのは明らかなことであり、金太郎を描いた絵もそのことを意識してか、小熊を描いているものが多い)と相撲をとっていたことと、である。何故か。りゅう座はかつての[北極星]を内に含む星座であり(りゅう座のアルファ星こと α Draconis。言い換えれば、トゥバンことThubanがその星である)、現在の北極星はこぐま座のポラリス(Polaris)だからだ。より具体的には、北極星が
[トゥバン(りゅう座)→コカブ(こぐま座)→ポラリス(こぐま座)]
と変転を遂げてきたことが意味をなす。
まだ分かりづらいかもしれない。ために、さらに丁寧な解説をなす。
[幼少のみぎり(子)熊と相撲をとっていた金太郎]と[赤ん坊のみぎりから蛇を殺してきたヘラクレス]。彼らが天文学上の観点から高度に比喩的に接合するのは次のA-Bの観点からだ。
A.[長じてヘラクレスの倒したヒドラは金太郎が長じて倒したヤマタノオロチ(の転生者)と接合する存在である]
B.[Aで述べたヒドラと同じくヘラクレスに倒されたラドンはヒドラの兄弟だが、そのラドンはかつての北極星を内に含む星座、りゅう座になったと伝わる。他面、ヒドラと共通の要素を持つヤマタノオロチの転生者と闘っていた金太郎は熊と相撲をとり熊とワンセットになっている存在であるが、熊はりゅう座から"転生"するように北極星になったこぐま座と結びつく存在である]
いかがであろうか。キンタロウが[転生者]と闘っていると強調されるのは上のAとBのような背景事情と結びついていると考えられるのを理解できたのではないだろうか。と、ここで人は言うかもしれない。「理解はできた。が、考えすぎだろう。いや、というより、こじつけだろう」。であるが、全くもって、それは妥当なものの見方ではない。第一に、である。金太郎とヘラクレスの間には他にもかぐわかしい要素がある。元より黒いものの中に黒を見出しても不自然ではない。第二に、ヘラクレスが(ヒドラやラドンとは別に)赤ん坊の時分より蛇を絞め殺していたとされることが、だ(上にて抜粋したヘラクレスの赤ん坊の頃の彫像は蛇を掴んでいるだろう?それは夫と愛人の子であるヘラクレス(幼名:アルケイデス)を殺そうとしたヘラという神が送った蛇をヘラクレスが赤ん坊の頃にくびり殺す場面を彫像化したものだ)。金太郎が幼少のみぎり、熊と対決していたことと「結びつくように調整されている」節がある ―幼年期の戦いということで調整されている節がある― ということもある。
もって、半面でもお分かりいただけたか、と思う。"一見"、馬鹿げたことが考えすぎでもこじつけでもなく現に言えてしまうということを。
とにかくも、以上、述べてきたことから
「[星座の世界でりゅう座がヘラクレス座の隣にあること]、それが[五月人形の世界などで金太郎とクマがワンセットになって描かれていること]と接合していると考えさせられもする」。
そして、のようなことの背景にあるのは人間の力ではないだろう。上述したような形での北極星の変転の有様など、古代人(ヘラクレス伝承を遺した者達)や中世の人間(金太郎伝承を遺した者達)の知識水準では到底、知ることが出来ぬことだったと考えられるからだ。次のような背景から。
「りゅう座のトバンが北極星の座にあったのは紀元前2800年前であるとされる。それはヘラクレスの伝承が成立した年代より遙かに前である。そこから、ギリシャ人たちが100の頭を持つラドンという存在を殊更に北極星に対応させるようにヘラクレス伝承にまぶしたとは考えづらい(:ただし、言っておくも、古代ギリシャ人達は地点地点ごとの北極星の高度の違いから地球が球形であることを推察するぐらいには進んだ知識水準を有していたとされる)。
いわんや、りゅう座からこぐま座への北極星の変転の有り様を[紀元前の古代ギリシャ世界から伝えられているヘラクレス伝承]と[欧州でマルコ・ポーロの東方見聞録にてジバングと言う形で ―不完全極まりなく― 14世紀に紹介されるまで欧州人がその存在さえ知らなかった極東の日本にて中世以後、徐々に徐々に形作られてきた金太郎伝説]双方に秘教的にまぶすことが出来る人間が存在していたはずがない(歴史を知っており、かつ、以上、述べたことが人間レベルで出来ると考える者がいたら、その者の正気を疑う)」。
そういうことである。
〔4〕これは小さいことながら、一応、書いておくべきことと判断したので書いておく。
さて、上の〔3〕にてヘラクレスが対峙したラドン(りゅう座)と金太郎が対峙した熊(こぐま座)には北極星の移転の関係が成立しているとしたが、に関し、[重みづけの材料]となることがある。一説にはヘラクレスはラドンの口に蜂の巣を放りこんで注意を逸らした上でその蛇の怪物を倒したとされるが、そのことがクマが[自然界で蜂の巣を蜂蜜目当てに襲う代表的なる動物であること]を想起させもするのだ。については、無論、ただの偶然かもしれないが、信じがたい一致性が重なっている本件、[ヘラクレス・金太郎相関関係]に関しては何があってもおかしくはないので一応、蜂の巣の話を挙げておいた。
〔5〕天体の話はここまでとして、奇怪な相似性の話を続ける。
「金太郎が坂田金時になった後の死に様とヘラクレスの死に様の間にも奇怪な類似性が存在している」。
まずもって、金太郎についてだが、伝承では金太郎こと坂田金時は1012年、九州の不逞分子を討伐する遠征に出た途上、熱病にかかって死んだとされる(坂田金時なる人物がいたかも分らぬのに1012年などと具体的な数値が出てきたりする)。ここで、押さえておくべきは九州 ―九州が九州たる由縁はそこに存在していた薩摩国や筑前国や筑後国などの9つの旧国名にある― の「9」と「"熱病"で死んだ」ということだ。
他面、ヘラクレスは自身が殺した相手(ケンタウロス族のネッソス)の今わの際の奸計によってヒドラの毒を塗りたくった衣を着ることになり、ヒドラの毒によって焼けただれ悶絶。火の中で焼け死ぬことを望み、焼死したと伝わる。ヒドラの頭は「9」であり、ヘラクレスは「熱」で死んだのだ。
以上のように、ヘラクレスも金太郎も9に由来するもののために熱で死んだことに一致性を見るのはこじつけだと思うだろうか?
いや、さにあらずだろう。直近の〔4〕はさておき、〔1〕-〔3〕で述べたような信じがたい相似性を"同時に"有した対象について論じているのだ。〔4〕で述べたことの繰り返しになるが、何があってもおかしくはないのである。
〔6〕最後に重要なこととして、ヘラクレスと金太郎と金「ゴールド」の関係について論じよう。
ヘラクレスが多角的に黄金と結びつくという話から始めよう。まずもって、ヘラクレスが殺したラドン ―北極星と対応づけ可能な存在― が守っていたのは「黄金の」リンゴだった(その Golden Appleはギリシャ神話上、非常に重要な存在で不和の象徴にもなる。他所で詳述していることとして)。
だけではない。このようなことを強調する人間は欧米圏"にも"滅多にいないが、ヘラクレスは名前の時点で黄金と結びつくようになっている節がある(後世、そうなるべく調整された可能性もある)。ヘラクレスはフランス語でエルキュール(スペルはHercule)と発音され、イタリア語でエルコレ(スペルはErcole)と発音されるが、その"語感"は錬金術の目的たる[不老不死]実現をなさしめる薬、エリクシル(elixir)と似たものになっている。
については、[エリクシル]の語源がアラビア語を経緯して別のギリシャ語、xerionから出てきた言葉であるとされていることを抜きにしても、「全くもってこじつけがましい」との意見も ―裏をとる気力を有した方が本稿に相対した場合― 出てくるだろう。出てくるだろうも、
押さえておくべきことはヘラクレスが神話で求めた黄金のリンゴが北欧神話その他も込みに考えて[不死の象徴]となっていることだ。[不死]と黄金のリンゴの[黄金]。それらがエリクシルの生成を目標としていた錬金術の二大追及対象だったことを[偶然]で片づけてしまってよいだろうか(東洋版[錬金術]にあたる[練丹術]でも同様のことがあてはまる)。
まだだ。 ―これぞ唐突といった話になって何であるが― 2001年9月11日に起こった同時多発テロなどと呼ばれる事件はフリーメーソン(錬金術の象徴 ―尾を噛む蛇、ウロボロスなど― を団体印章として取り入れた人形の如き連中の集団だ)を用いての儀式であると極めて多くの字数を割き本Webサイトの他所([問題意識の所在]と題したカテゴリ)で論じた際、こう触れもした。
「911絡みの事象にはヘラクレスと黄金のリンゴの比喩が、人の魂の比喩 ―正確には魂の象徴物とされるものの比喩。魂も錬金術の研究対象になっていると本Webサイト他所で詳述― と共に多々、込められている」。
ゆえにヘラクレスが名前の時点で発音の類似性という形で錬金術と結び付けられるよう調整されていたとしてもおかしくはない(ただし、ヘラクレスことエルキュールの名前自体がエリクシルとつながるとの話は推論の域を出ない。さらに、言っておくが、[黄金のリンゴ]の時点で多くのことがつながるようになっているため、結局のところ、何にせよ黄金絡みの話は極めて重要な問題になる)。
ヘラクレスの話が長くなった。翻って、金太郎だ。何故、[金]太郎なのか?何故、[金]の一字が書かれた腹巻姿でああも象徴化される存在なのか?その答えが ―通説に基づいて考えれば― 金太郎より1500年以上前にその伝説が形作られたヘラクレスの伝説に合致するように日本の伝承が操作されていることにある、と考えることも可能だ(「考えることも可能だ」という表現はこの〔6〕の段での話で、上述の〔1〕-〔3〕に関しては「操作がなされたと考えることも可能だ」というより通しで見て「操作がなされたと考えないと筋が通らない」ということになっている。そう述べた上でくどくも繰り返すが、金太郎の伝承が形作られていった時分、ヘラクレスの物語をもとに金太郎伝承を操作した存在が人間であるはずがない:について、そういったことを[人間レベルの話]に矮小化させる話柄に利用できるように"見える"話もあるにはある。例えば、「ギリシャ時代の叙事詩にして欧州の代表的的古典たる『オデュッセイア』が室町時代の日本に渡来、オデュッセウス=ユリシーズつながりで『百合若大臣』という日本の説話になった」との説があったりもする。100年も前から取り沙汰されたりもしていた話として、だ。であるが、『オデュッセイア』渡来の話は、その真偽の程はさておき、人間業で説明できても、ヘラクレスと金太郎の話のつながりは人間業で説明できない、と言えるだけの理由がある。天文学上の話として既述の理由がある)。
ここでの話はゼカリア・シッチンという男がかつて古代シュメールの印章翻訳をもって
「人類を培養したのは金採掘を企図していた宇宙人である」
と主張し物議を醸したのを想起させるという式でも興味深いのだが、については深く論じない(:シッチンの考えについては主流も異端の大半も「虚偽情報を多々、含んでいる」ということで容れていないと述べるだけにしておく。私としては[シッチン提唱の惑星ニビル実在といった騙すために飼われている陰謀論者好きする話]は別口にしつつも、シッチンの説とて極々部分的には正しい「可能性もある」と見ているも。 ―尚、私は人外が欲しているのは[生成困難な黄金]というより、[魂と呼ばれる人の本質とそれを改変する実験及び実験結果]あるいは[人間を養殖し、かつ、犠牲にしたうえで開かせる予定かもしれないこちらへのゲート(事象の地平線を二つ観念するカー・ブラックホールまわりのカー・リングのようなもの)とそれに付随する巨大な機構]である可能性の方がまだ高そうなのでは、と見てもいる― )。
どうだろうか。いささか、というより、かなり余談も多くなってしまったが、以上、〔1〕-〔6〕を読んでいただくことで、ヘラクレスと金太郎の間に信じがたいような相関関係が成立していることがお分かりになられたのではないだろうか。それについては『操作の可能性を否定することの方が難しいだろう』と再強調したいが(確率論に想いを馳せていただければ、よく分るはずだ。〔1〕-〔6〕が「偶然」として重なって生じていると考える方がどうかしている、と。また、人類史には"こういうこと"が多すぎる:そういった他事例、より露骨な他事例は本Webサイト上の他記事や私の自著に多数、挙げている)、では、操作がなされているとしたら、誰がそのようなことをやったのか。異次元からの介入者か?宇宙人というやつか?あるいはその双方の特質を持った存在か?
軽々に論じることが出来ぬテーマだが、分かることはこうだ。
「操作をなしている存在は確たる科学力を持ち、地球から見た宇宙の姿に知悉している(北極星の位置の変転を把握しているようにとれるからだ)。かつ、その存在は蛇・爬虫類を多く悪役にすることが大好きで、人類に好意的な存在ではない(大多数か全部なのかは分らないが。問題児ヘラクレスの発狂・子殺し・情なきその他、殺人劇・苦悶の死が目立つ物語がそのことをよく指し示している)」。
認めたくはないことだろう。だが、客観的に示すことが可能な"事実群"、そして、そこから導き出せる合理的推論を無視すべきではない。
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