[加速器によるブラックホール人為生成]が一切観念されていなかったとされる折柄にて同じくものことを[奇怪なやりよう][不吉なやりよう]で事前言及しているといった筋合いの文物らが存在していることについて 補説1
本頁に至るまでにて以下にあってのa.からf.についての指し示しをなしてきた。
[米国文壇の寵児]として押しも押されもせぬとの立ち位置にあった著名作家カート・ヴォネガットによってものされ、1976年に刊行されたとの Slapstick, or Lonesome No More(邦題)『スラップスティック』という小説作品がある。
上作品『スラップスティック』(1976)にあってはロックフェラーに由来する一対の双子が合体した際に[天才的閃き]が現出するとの(一見にして)奇態なる設定が採用されている。
『スラップスティック』(1976)にあっては双子の合体時に顕在化するとの作中設定が付されての[天才的閃き]が応用されてのものらしいとのかたちで[地球規模で重力が増大を見ているとの状況]に至っているとの描写がなされてもいる(双子の天才的閃きを利用して中国がそういう状況、地球規模の重力増大をもたらす装置を造り上げたらしいとのことが作中にて臭わされている)。
『スラップスティック』(1976)にあっては合体することで[天才的閃き]を呈するとの双子らが一方が片方に先立ち早世するとのかたちで離別を見ることになるが、後に[粒子加速器]([フーリガン]と作中呼称される放棄された加速器)の遺構が幽冥境にする彼・彼女ら双子を「再」度結合させることになったとの筋立てが採用されてもいる。
『スラップスティック』(1976)にあっての(c.からd.にて言及したところの)特性は[重力増大状況]と[粒子加速器]が[双子の結合]との側面で結びつけられているがために[加速器によるブラックホール生成]のことをも観念させるものでもある(:双子が結合した際に[重力増大状況]につながるアイディアが生まれたとの設定、そして、双子の生死両界をまたいでの再結合が[粒子加速器]によって実現されるなどという設定、すなわち、「どうしてこのような意味不明な設定が?」との筋立てが採用されていることに関して「粒子加速器と重力増大状況が際立ってのブラックホールの関係性にまつわる意図的言及がなされているのでは?」と見ることに無理はない)。
また、小説『スラップスティック』のロックフェラーの血筋に属する双子の持ち出しようには形態的に(ロックフェラー一門の後押しがあって建設に至ったとの)ツインタワーのことを想起させるような側面が伴っている。 他面、[ツインタワーが崩落を見たとの911の事件]と[[通過可能なワームホール](ブラックホールと質的につながるもの)を扱った書として911以前に刊行を見た著作キップ・ソーン『ブラックホールと時空の歪み』]とが結びつくようになってもいるとのことが ――(馬鹿げて聞こえもして然るべきことである中でながら本稿の先立っての段にて詳述なしてきたところとして)―― この世界には「現実に」ある。
とのa.からf.のことらが述べられるようになっており、それがため、甚だしくも奇怪である(加速器によるブラックホール生成が観念されるようになったのはここ10数年であることもあって奇怪である)」
さて、最前までの流れにて(先にて「指し示しが必要な要素.」と格別にアルファベット振っていたところの)a.からf.のことらについての説明「兼」出典紹介をなしてきたのだが、さらにもって、
[重力が非常に弱い力となっている]
とのことについて「も」下にて典拠挙げて紹介しておく。
ここ出典(Source)紹介の部64(10)にあっては[重力が非常に弱い力である]とされることについて、その解説のなされようを端的に引いておくこととする。
より具体的には(本稿で度々、その内容を取り上げていたとの)紐理論の大家として知られるレオナルド・サスキンドの手になる著作 The Black Hole War: My Battle with Stephen Hawking to Make the World Safe for Quantum Mechanics『ブラックホール戦争』(邦訳版は早川書房が版元となる書籍/ブラックホールにまつわる理論の闘争の経緯を当事者が述懐しているとの色彩強き書)が筆者の目につくところにあったのでそこにての記述を引いておくこととする。
(直下、邦訳版『ブラックホール戦争』p.30よりのワンセンテンス引用をなすとして)
意外かもしれないが、重力は非常に弱い力である。重量挙げの選手や高跳びの選手は違う感じ方をするかもしれない。だが、簡単な実験で、重力がどんなに弱い力かを示すことができる(以下略)。
(引用部はここまでとする)
(続けて直下、邦訳版『ブラックホール戦争』p.32よりのワンセンテンス引用をなすとして)
重力は電気力や磁力と比べると非常に弱い。しかし重力が非常に弱いなら、なぜ私たちは月までジャンプできないのだろう?答えはこうだ。それは地球の巨大な質量(6×10の24乗キログラム)が簡単に重力の弱さを補ってしまうのだ。しかしそれほどの質量があっても、地球の表面からの脱出速度は光速の1万分の1に満たない。
(引用部はここまでとする)
(出典(Source)紹介の部64(10)はここまでとする)
以上のように本来的に微弱なる力であるとされている重力、その重力を立っていられないほどに地球規模でもって強くもする(ときに人畜を殺しもし、建物らを倒壊させるとの按配で強くもする)との機構が ―(具体的機序に関する説明一切なくに)― 描かれているのが『スラップスティック』という小説となる(:つい先程の出典(Source)紹介の部64(4)にてa.からf.に分けての流れの中でのc.の段についての原文引用による典拠紹介をなしたところとしてそうもなっている)。そこに相応の寓意性を見て取るのは易い(と筆者としては強調したい)。
重力の世界的増大状況 ―[双子の結合](後に[加速器遺構]によって生死両界をまたいでの再結合がなされたなどと描写される前の生前の[双子の結合])によって得られた天才的閃きに帰因するといったかたちで描写される重力の世界的増大状況― を描くような問題となる小説の[設定]に見る特殊性について言及したところで
[加速器による(重力の怪物たる)ブラックホール生成のことが顧慮されだしたのが何時頃なのか]
について振り返っての表記をなしておく。
[小説『スラップスティック』(1976)と[加速器によるブラックホール生成可能性にまつわる理論登場]の先後関係について]
重力については[余剰次元理論]というものが1998年にあって顧慮されるに至るまでは[プランクエネルギー]という厖大なエネルギーを極小領域に一点集中・投下しなければ、それ(重力)の増大がブラックホールの生成をなすようなものとしてもたらされることはないと考えられていた(と幅広くも指摘されている)とのことがある。
同じくものことに関しては本稿の出典(Source)紹介の部2にあってその記述内容を挙げていたところの文書、日本のLHC実験参画グループ代表者によって作成されたものとしてオンライン上に公開されている、
『LHC加速器の現状とCERNの将来計画』と題されての文書(検索エンジン上での表記文書タイトル名(『LHC加速器の現状とCERNの将来計画』)の入力で現行、捕捉できるようになってもいる文書)
にての[166]および[167]との頁番号が付されたところにあって、
(直下、日本のLHC実験参画グループ(元)代表者によって作成されたものとして現行、オンライン上に公開されている『LHC加速器の現状とCERNの将来計画』と題されてのPDF文書よりの「再度の」原文引用をなすところとして)
「1998年に提唱されたADDモデルでは余剰次元を導入することによってヒッグス粒子の質量の不安定性(階層性問題)を解決する。このとき重力はTeV領域で強くなり,LHCでの陽子衝突でブラックホールが生成され,ホーキング輻射のため10-26secで蒸発すると予言された。これは理論屋にとって大変魅力ある新しい展開で,危険性などまでには考えが及んでいなかった」
(再度の引用部はここまでとする)
との部の記述内容を(疑わしきにおかれては当該文書ダウンロードの上ででも)確認いただければ、と思う (:尚、上にての日本のLHC実験参画グループ(元)代表者によって作成された文書 ――余事だが、同文書、『LHC加速器の現状とCERNの将来計画』は本稿筆者が甲第17号証との番号を付して書証(文書証拠)として自身が原告として長くもかかわづらわされていた国内LHC関連訴訟にあって第一回口頭弁論時前から法廷に提出したもの「とも」なる―― よりの引用部では1998年がブラックホール生成議論の始期であるような書かれようがなされているが、その翌年、1999年(加速器によるブラックホール生成可能性がウォルター・ワグナーという人物によって問題視されだした年)に至っても実験関係機関によって「ブラックホール生成可能性を完全否定する」安全報告書が出されており、2001年以降になってようやっと(「1998年に提唱の余剰次元理論を押し広げての見方に基づけば、LHCによるブラックホール生成はありうる」との権威筋物理学者の著名論文発表に付随するとのかたちで)[加速器によるブラックホール生成可能性]が科学界にて肯定されだしたとの流れが存する ――本稿にての出典(Source)紹介の部1および出典(Source)紹介の部2はそのことを詳説するための部となっている―― )。
また、
「余剰次元理論登場(およびその理論的展開)前までは[プランクエネルギーを極小領域に詰め込む]とのことをなす、
[[太陽系のサイズもあろうかという人間にはおよそ建設不可能な加速器]でもってプランク・エネルギーの極小領域への詰め込みを実現する]
とのこと以外にブラックホールおよびワームホールを生成する手立てはないとの発想法しかなかった(人間には加速器の類でブラックホールを造ることは不可能であるとの発想法しかなかった)」
とのことも摘示可能となっており、そちらについては本稿にての出典(Source)紹介の部21から出典(Source)紹介の部21-5(2)を包摂する解説部を参照いただきたい。
以上、
[小説『スラップスティック』(1976)と[加速器によるブラックホール生成可能性にまつわる理論登場]の先後関係]
についての解説となしたが、関連するところとして下に図解表記をなしておく。
そちら図解表記でもって["こと"の奇怪性(の一断面)]につき「いやがうえにも」ご理解いただけることか、とは思う。
※上記のことにまつわっての補足として
以上摘示してきたようなことがあるわけであるが、「ただし」、当該分野に通じた「本当の」有識者(欧米加速器実験の枢機について通暁している有識者)にして、かつ、[常識的な視点]を是が非でもごり押したいとの向きは次のようなことを述べるかもしれない。
「(本稿筆者の指摘するように)作家カート・ヴォネガットがブラックホール生成のことを予見するようなことをなしていたというのならば、確かに奇怪である。[ヴォネガット小説『スラップスティック』刊行時期たる1976年]と[加速器によるブラックホール生成可能性問題化の折柄(世紀の変わり目)]とのことでいけば、「物事の順序が逆転」しているとのことになるように映るからだ。
だが、しかし、カート・ヴォネガットが
[(1976年の小説刊行時期より若干前に遡る)70年代前半期より[加速器実験に関わる一部の関係者]の間で「秘密裡に」内輪で[異常核物質]の生成可能性のことが問題視されていた]
とのことを知っていればどうか。そう、奇縁あって(リークされた情報に対する仄聞といったかたちで)同じくものことについて聞き及んで知っていたらば、どうか。70年代より生成が問題視されていた[異常核物質](超高密度の異常核物質)についてはそれが加速器Bevalacにて生成された折には際限なく[重いもの]になるとの見立ても(人知れず)内輪の加速器実験関係者に呈されていたのであり、また、それが融合作用を伴っていれば、地球と人類に破滅的事態をきたすとの懸念もあった。そうした内輪の懸念のことを作家カート・ヴォネガットが[揶揄]していた可能性とて否定しきれないではないか」
上のことは本稿にての
出典(Source)紹介の部11
で解説していることに委細がみとめられるところとなっている(ので、直下、そちら出典(Source)紹介の部11にての引用元文書 ――加速器実験関係者が世間に全く知られないかたちでの内輪での集いで地球崩壊リスクの可能性を俎上に載せていたとのことを扱っている物理学者の回顧録としての性質帯びての文書( Accelerator Disaster Scenarios, the Unabomber, and Scientific Risks(2007―2008年、ドイツのュプリンガー社が刊行する Physics in Perspective誌に掲載されたとの回顧録的論稿で訳せば『加速器による災厄のシナリオら、ユナボマー、そして、科学の孕むリスク』とでもなろう文書、著者は Joseph I. Kapustaという物理学者)―― よりの再引用をなす)
(直下、オンライン上流通文書 Accelerator Disaster Scenarios, the Unabomber, and Scientific Risks(訳せば『加速器による災厄のシナリオら、ユナボマー、そして、科学の孕むリスク』とでもなろう文書)、その論稿配布サーバー(arXivサーバー)よりオンライン上にて配布されているPDF版p.7からp.9よりの([中略]なしつつもの)掻い摘まんでの再度の原文引用をなすとして)
The primary purpose in combining the SuperHILAC and the Bevatron to form the Bevalac was to create dense nuclear matter in the laboratory for a brief moment of time. During 1974-1975 the first beams of carbon and oxygen nuclei were accelerated up to 2.1 GeV per nucleon and smashed into various nuclear targets. An upgrade was necessary to accelerate uranium nuclei, and in 1981-1982 uranium was accelerated to 1 GeV per nucleon beam energy.
[ . . . ]
When the experimental program at the Bevalac began, no one really knew what to expect when nuclear matter was compressed to three-to-four times the density of atomic nuclei.
[ . . . ]
As noted above, in 1974 Lee and Wick suggested that in a limited domain of space a neutral scalar field may acquire an abnormal value (when compared to the rest of the universe), and that this state may be metastable. If the scalar field has suffciently strong coupling to nucleons, then their masses would be greatly decreased, leading to a yet-unobserved physical system. They suggested that this might occur inside a heavy nucleus, but compressing nuclei in heavy-ion collisions was an obvious way to search for this new state of nuclear matter.
[ . . . ]
The curve in the middle shows a metastable "Lee-Wick abnormal state" at some density above the density in atomic nuclei; this state would eventually decay to the lower-energy state. The curve on the right illustrates an extreme case in which the "Lee-Wick abnormal matter" lies lower in energy than normal nuclear matter; in this case, ordinary nuclei would eventually decay into this new state of nuclear matter. Our knowledge about high-density nuclear matter was so poor at this time that no one could rule out these last two possibilities.
Lee and Wick actually were not the first to publish such a speculation: In 1971 Arnold Bodmer suggested on the basis of quark models and soft interactions between nucleons that collapsed nuclei might be formed. He called the abnormal states shown in figure 5 isomers in analogy to molecular isomeric states, but they soon came to be called "density isomers." For whatever reason, however, Lee and Wick, rather than Bodmer, are usually cited as the originators of the concept of "abnormal" or "isomeric" nuclear states.
No one had a clear idea about how the formation of such new abnormal or isomeric states of nuclear matter could be identified in heavy-ion collisions at the Bevalac. Some said, with tongue-in-cheek, that: "Heavy-ion collisions will compress the nuclei to such a degree that abnormal nuclear matter will be formed in the core of the compressed nuclei. This abnormal nuclear matter, being more stable than ordinary matter, will accrete stuff around it and grow to visible size. Being so massive it will drop to the floor of the experimental hall where one can weigh it and measure its radius, thereby determining its density!" Such an object, however, would be denser than ordinary nuclear matter (2×1014 grams per cubic centimeter) and hence cannot be supported by steel or concrete and would fall to the center of the Earth! Further, what would prevent it from growing larger and larger until it would occupy the entire Earth? Simple estimates suggested that this could occur in a matter of seconds ― and if it did no physicist would be around to be blamed for it! Moreover, it guaranteed that no physicist would ever win a Nobel Prize for the discovery of stable abnormal nuclear matter, since either this new state of nuclear matter does not exist, or the world would end before the Prize could be awarded. No one took all of this too seriously, and experiments with colliding beams of light and intermediate-mass nuclei proceeded apace.
(上に対する訳として)
「SuperHILACとBevatron(訳注:1954年から運用開始を見ていた加速器)を結合してBevalacとすることとなした主たる目的はその折に相応しかった濃密度の核物質を生成することにあった。1974年から1975年にかけて炭素および酸素の原子核にてのビーム(最初期ビーム)を2.1GeV(2.1ギガエレクトロンボルト/21億ボルト)にまで加速し、それを諸種様々な核の対象らに衝突させた。ウラニウムの原子核を加速するためのアップグレードが必要となっており、1981年から1982年にかけてウラニウムが1核子に対応するビームエネルギーにて1GeVのところまで加速された。・・・(中略)・・・Bevalacにての実験計画がはじまった折、誰も核物質が原子核の密度より3から4倍に圧縮された折に何が期待されることになるのか、分かってはいなかった。
・・・(中略)・・・
上にて記しているように1974年、リーとウィックが提案していたところでは「制約課されての空間の領域、中性のスカラー場では異常な値(他の残りの宇宙と比した際にあっての異常な値)が得られるかもしれず、この状況は準安定的なことになりかねない」とのことであった。「仮にもしスカラー場が核子に対する結合にあって十分に強いものであるのならば、それら質量は甚だしくもの減少を見、未だ観測されざりし物理系に導くとのことになる」。彼らは「これは重い原子核の中で起こるかもしれないことだが、重イオン衝突時にての原子核の圧縮はこの新しき核物質の状況を探索するのに明らかに適した方法である」と提案していた。
・・・(中略)・・・
上遷移図(訳注:元となったPDF資料には三種の状態遷移図が挙げられている)にあっての中程のものは原子核にての密度を超えたところにある順安定的な
[ある種の密度におけるリーとウィックの異常状況]
を示して見せている。
同遷移図の右側は[リーとウィックの異常状況]が通常の核物質より低いエネルギーにて存在しているとの極端な場合を示しているとのものとなり、この場合にては通常の原子核は結果的に新しい核物質の状態へと結果的に崩壊していく。我々の高密度状態の核物質に関する知識はこのとき、あまりにも貧弱なるものであったため、誰も残り二つの可能性を排除することができなかった。
リーとウィックがそのような推測をした最初の人間ではなかった。1971年、Arnold Bodmerがクォークのモデルおよび核子らの間の軽い相互作用のところ、その基礎分野にあって崩壊した原子核が形成されることになるかもしれないとの提案をなしていた。彼(
Arnold Bodmer )は図5に示されるようなその異常状態をもってして分子にての異性体の状況との類似性を顧慮して異性体(isomer)と呼んだが、しかし、すぐにそれらは密集異性体( density isomers )と呼ばれるようになった。いかな理由あれ、しかしながらのこととしてBodmerではなくリーとウィックが一般に異常な、ないしは、異性体的な核の状態の提唱者として知られている。
誰もそのような
[新種の異常ないし異性体的な核物質(生成)の状況の具現化]
がベバラックにあっての重イオン衝突下にて特定化されうるところなのか、分からなかった。
幾人かの者達は舌先でチークダンスを踊るように軽々しくも次のように述べている。原子核の中心にて異常なる核物質が生成されうるとのそうした程度にまで重イオン衝突が原子核を圧縮するだろう。この異常なる核物質、通常の物質よりも安定しているとのその物質はその「周辺の物質を付着させ増大していき」(accreteの辞書的定義は Grow or become attached by accretion(accretion付着の過程で成長または付属化させていくとなる)、そして、視認できるほどに巨大化する。とても重い物へと成長していくため、重さを量ることが可能、半径を測ることが可能との実験ホールの床に落とし込まれ、そこにはじめて密度を決することができるだろう!そのような物体は、だがしかし、普通の核物質(1立方メートルあたり2×10の14乗グラム)よりも濃厚なるものであるため、鉄製およびコンクリートでは支えきれずに、地球の中枢へと落ちていくだろう!さらに遠くまで行って述べれば、それがそれが地球上のすべてを占有するまで大きく大きくなっていることを妨げるものがあるだろうか。単純な推論はこれが数秒の間に起こると提案し、そして、周囲に物理学者が非難の対象とすべき物理学者がいないとのことになるのかもしれない!加えて、それはいかなる物理学者も[安定した異常な核物質]の発見によってノーベル賞を勝ち得ないことを保証してくれている、というのも、世界は賞の授賞の前に終わりを迎えているからである。誰もこのことすべてを重く受け取っておらず、光のビームと中間質量の原子核を衝突させての実験は速やかなる進行を見てきた」
(訳を付しての引用部はここまでとしておく)
くどくも繰り返しをなすが、
Some said, with tongue-in-cheek, that: "Heavy-ion collisions will compress the nuclei to such a degree that abnormal nuclear matter will be formed in the core of the compressed nuclei. This abnormal nuclear matter, being more stable than ordinary matter, will accrete stuff around it and grow to visible size. Being so massive it will drop to the floor of the experimental hall where one can weigh it and measure its radius, thereby determining its density!" Such an object, however, would be denser than ordinary nuclear matter (2×1014 grams per cubic centimeter) and hence cannot be supported by steel or concrete and would fall to the center of the Earth! Further, what would prevent it from growing larger and larger until it would occupy the entire Earth? Simple estimates suggested that this could occur in a matter of seconds ― and if it did no physicist would be around to be blamed for it! Moreover, it guaranteed that no physicist would ever win a Nobel Prize for the discovery of stable abnormal nuclear matter, since either this new state of nuclear matter does not exist, or the world would end before the Prize could be awarded. No one took all of this too seriously, and experiments with colliding beams of light and intermediate-mass nuclei proceeded apace.
「原子核の中心にて異常なる核物質が生成されうるとのそうした程度にまで重イオン衝突が原子核を圧縮するだろう。この異常なる核物質、通常の物質よりも安定しているとのその物質はその「周辺の物質を付着させ増大していき」(accreteの辞書的定義は Grow or become attached by accretion(accretion付着の過程で成長または付属化させていくとなる)、そして、視認できるほどに巨大化する。とても重い物へと成長していくため、重さを量ることが可能、半径を測ることが可能との実験ホールの床に落とし込まれ、そこにはじめて密度を決することができるだろう!そのような物体は、だがしかし、普通の核物質(1立方メートルあたり2×10の14乗グラム)よりも濃厚なるものであるため、鉄製およびコンクリートでは支えきれずに、地球の中枢へと落ちていくだろう!さらに遠くまで行って述べれば、それがそれが地球上のすべてを占有するまで大きく大きくなっていることを妨げるものがあるだろうか。単純な推論はこれが数秒の間に起こると提案し、そして、周囲に物理学者が非難の対象とすべき物理学者がいないとのことになるのかもしれない!加えて、それはいかなる物理学者も[安定した異常な核物質]の発見によってノーベル賞を勝ち得ないことを保証してくれている、というのも、世界は賞の授賞の前に終わりを迎えているからである。誰もこのことすべてを重く受け取っておらず、光のビームと中間質量の原子核を衝突させての実験は速やかなる進行を見てきた」
とのことが70年代より異常核物質( density isomers )にまつわるところとして言明されているとのことがあるのである。
本稿出典(Source)紹介の部11の内容より再度の引用をなしつつもの話を続ける。
(直下、オンライン上流通文書 Accelerator Disaster Scenarios, the Unabomber, and Scientific Risks(訳せば『加速器による災厄のシナリオら、ユナボマー、そして、科学の孕むリスク』とでもなろう文書)、その論稿配布サーバー(arXivサーバー)よりオンライン上にて配布されているPDF版p.7からp.9よりの([中略]なしつつもの)掻い摘まんでの再度の原文引用をなすとして)
To my surprise and satisfaction, Das Gupta and Westfall thanked me "for providing the impetus for writing this article," and they incorporated words from my draft paragraph almost unchanged, namely, writing that: "Meetings were held behind closed doors to decide whether or not the proposed experiments should be aborted." "Experiments were eventually performed, and fortunately no such disaster has yet occurred."
The committee that had met behind closed doors included and reported to Bernard Harvey, Associate Director of LBL's Nuclear Science Division; it is dated May 14, 1979, and I provide a transcription of it in the Appendix. The committee thus met about five years after the first experiments with light ions had begun at the Bevelac, but about two years prior to its upgrade to accelerate heavy ions like uranium. Thus, there apparently was little concern that colliding light ions would lead to abnormal nuclear matter, but considerable concern that colliding heavy ions might. In any case, based upon
this one-page report the upgrade of the Bevalac was completed and heavy-ion experiments were carried out with it. No one seriously believed that a disaster of the type imagined could ever occur, given that QCD is the relevant theory of the strong interactions and that high-density nuclear matter should not be described as such, but as quark matter. Nevertheless, this astonishingly brief report was never widely circulated among physicists. Indeed, my request to the LBNL Director's Office for a copy of it was acknowledged conscientiously, but their search came up empty: The LBNL Director's Office has no official record of it.
(拙訳として)
「私が驚き、また、と同時に、満足させられもしたところとして、 Das GuptaおよびWestfallは「この記事を執筆する原動力を与えてくれた」とのことで私に謝意を表してくれもし、そして、彼らはほとんど手つかずの式にて私の草稿に合筆をなしもしてくれ、次のように書いてくれた。
「提案された実験が中止されるべきか否かの会合は閉じたドアの後ろ側で行われた( Meetings were held behind closed doors to decide whether or not the proposed experiments should be aborted.)」
「実験は結局実施され、幸運なことに何ら災厄は発生しなかった( Experiments were eventually performed, and fortunately no such disaster has yet occurred.)」
[閉じたドアの向こう側で実施を見た会合]はLBL(ローレンス・バークレー研究所)科学部門のアソシエイト・ディレクターたる Bernard Harveyを含んで実施されたもの、そして、彼に報告されたとのものである。それは1979年5月14日の出来事であり、私は付録としてその転写記録を提供した。この会合はこのように
[最初のベバラックの軽イオンによる実験が開始されてより5年を経て後のもの]
であったが、ウラニウムのような重いイオンを加速させるためのアップグレードには二年ほど先んじてのものであった。このように明らかに軽イオンが異常な核物質への導きをなすとの懸念はほどんどなかったわけだが、重イオンがそれをなしうるとの懸念は思慮に値するものであった。
なんであれ、この「1ページの」完成を見たベバラック・アップグレードの報告書に基づいて重イオン実験らはそれとともに実行されてきた。QCD(量子色力学/クォンタム・カラー・ダイナミクス)が強くもの相互作用に関わる関係性の理論であること、そして、高密度の核物質がクォークがそうであるようにそうして表されるものであるところを受け 誰も真剣には想像されるタイプの災厄が従前起こりえたかもしれないことを信じていなかった。にもかからず、この驚くべきほどに簡潔な報告書(本件報告書)は決して広くも物理学者らの間で流通を見なかった。「本当に、」私のLBNL(ローレンス・バークレー国立研究所)責任者部署へのコピーを求めての要請は入念に(訳注:この場合、conscientiouslyコンシエンシャスリーは「良心的に」というより「入念に」と訳されるべきところである)も承認を見、しかし、彼らの調査の結果出てきたのは空っぽのものであった。LBNL(ローレンス・バークレー国立研究所)の統括オフィスはそれについての公的なる記録を何ら保持していなかったのだ」
(訳を付しての引用部はここまでとする)
上に見るように[異常核物質]が生成されて世界が終わる可能性があるとの仮説が一部で呈示されていたにもかかわらず、その[検討](真摯さを伴っているとは思えぬ検討)は「決して表に出ぬようなやりようでなされ」、かつ、「その記録文書も何ら残置残存を見ていない」とされている ――いいだろうか。オンライン上には相応の者達が(愚劣なやりようで真実を毀損するためであろうと容易に察しがつく式にて)フリンジ・サイエンスにまつわる証拠も出揃っていないところで不適切な資料を挙げて陰謀「論」を展開しているとのことがあるようだが(そしてそういう愚劣なるもののにおいを筆者のような人間に由来する言辞にも添付するように努めているようんだが)、ここで挙げているのは当時の加速器実験にて携わっていた一線の物理学者( Joseph I. Kapusta )による回顧録であることを忘れないでいただきたい―― 。
そうした経緯を望見しつつも、述べれば、である。
「とにかくも、カート・ヴォネガット著作『スラップスティック』が1976年に刊行される前から[異常核物質]が[極めて重い物質]として加速器によって生成され、それが地球と人類に引導を渡すことになるとの懸念が人知れず内輪で問題になっていた(ただその検討のための「秘密裡の」会合は70年代末葉まで開かれなかったとも上にては記載されている)とのことがある。であるから、[そうしたことを知っていたヴォネガットが『スラップスティック』で[揶揄]をなしていた可能性もある・・・・]と主張なせるような背景も(若干ながら)ある」
以上は、だが、(極めて遺憾なことなのだが)、
[有効なる安心材料たりえない]
と斥けられるものとなっている。
次のような事由からである。
・カート・ヴォネガットが[黒死病(ザ・ブラック・デス)]と[重力増大機序]と[人間圧縮の寓意]とを結びつけている(:繰り返すが、ヴォネガットは『スラップスティック』にて[黒死病]を意識させる[緑死病]の原因を[極微に圧縮された中国人]に求めており、[極微に圧縮された者達の国家]たる中国が[重力増大機序]をもたらしたとの設定を付与している)との件につき、(黒き死との兼ね合いで)[ブラックホールに対するこだわり]を感じさせるようなところがある。 ブラックホールは(直近にての資料に見られるような)[70年代より問題視されていた超高密度の異常核物質]とは異質なるものである。それがゆえに疑念は(皮相的なるところからして)払拭されない。
・こちらが重要である。(続いて取り扱うことにもなるのだが)ヴォネガットやりように関しては
「[911の前言]が如くことを[「他の」ブラックホール関連文物]と共有している」
とのことがある。いかに話として奇矯なることでも、これより詳述をなしていく所存でもあるそうした側面から見れば、何れにせよ、疑義は払拭されえないとのことになってしまう。
上にて言及していることに誇張・こじつけの類があるか。本稿にての先行する段および後続する段の熟読によって是非とも批判的検討をなしていただきたいと筆者としては強調するところである。
(以上でもって補足の部を終えることとする)
ここまでの内容 (出典(Source)紹介の部64から出典(Source)紹介の部64(10)を包摂する内容) にて
[米国文壇の寵児]として押しも押されもせぬとの立ち位置にあった著名作家カート・ヴォネガットによってものされ、1976年に刊行されたとの Slapstick, or Lonesome No More(邦題)『スラップスティック』という小説作品がある。
上作品『スラップスティック』(1976)にあってはロックフェラーに由来する一対の双子が合体した際に[天才的閃き]が現出するとの(一見にして)奇態なる設定が採用されている。
『スラップスティック』(1976)にあっては双子の合体時に顕在化するとの作中設定が付されての[天才的閃き]が応用されてのものらしいとのかたちで[地球規模で重力が増大を見ているとの状況]に至っているとの描写がなされてもいる(双子の天才的閃きを利用して中国がそういう状況、地球規模の重力増大をもたらす装置を造り上げたらしいとのことが作中にて臭わされている)。
『スラップスティック』(1976)にあっては合体することで[天才的閃き]を呈するとの双子らが一方が片方に先立ち早世するとのかたちで離別を見ることになるが、後に[粒子加速器]([フーリガン]と作中呼称される放棄された加速器)の遺構が幽冥境にする彼・彼女ら双子を「再」度結合させることになったとの筋立てが採用されてもいる。
『スラップスティック』(1976)にあっての(c.からd.にて言及したところの)特性は[重力増大状況]と[粒子加速器]が[双子の結合]との側面で結びつけられているがために[加速器によるブラックホール生成]のことをも観念させるものでもある(:双子が結合した際に[重力増大状況]につながるアイディアが生まれたとの設定、そして、双子の生死両界をまたいでの再結合が[粒子加速器]によって実現されるなどという設定、すなわち、「どうしてこのような意味不明な設定が?」との筋立てが採用されていることに関して「粒子加速器と重力増大状況が際立ってのブラックホールの関係性にまつわる意図的言及がなされているのでは?」と見ることに無理はない)。
また、小説『スラップスティック』のロックフェラーの血筋に属する双子の持ち出しようには形態的に(ロックフェラー一門の後押しがあって建設に至ったとの)ツインタワーのことを想起させるような側面が伴っている。 他面、[ツインタワーが崩落を見たとの911の事件]と[[通過可能なワームホール](ブラックホールと質的につながるもの)を扱った書として911以前に刊行を見た著作キップ・ソーン『ブラックホールと時空の歪み』]とが結びつくようになってもいるとのことが ――(馬鹿げて聞こえもして然るべきことである中でながら本稿の先立っての段にて詳述なしてきたところとして)―― この世界には「現実に」ある。
とのa.からf.のことらが述べられるようになっており、それがため、甚だしくも奇怪である(加速器によるブラックホール生成が観念されるようになったのはここ10数年であることもあって奇怪である)」
とのことについて指し示すべくことの多くを指し示してきた。