［加速器によるブラックホール人為生成］が一切観念されていなかったとされる折柄にて同じくものことを［奇怪なやりよう］［不吉なやりよう］で事前言及しているといった筋合いの文物らが存在していることについて 補説1
直前頁までにあってカート・ヴォネガット小説作品『タイタンの妖女』が軽んじられるものではないとする三つの理由、すなわち、
第一。
「異星人に推進された人類「育種」の究極目標が［くろぽち（・）ひとつよりなる親書の異星系への伝達の補助］であった」
という同作の粗筋にあって気がかりとなるところとして
［地球は［地球質量］から見てブラックホールに換算するとcm（センチメートル）単位のものにしかならない］
との言われようがなされている ――換言すれば、「地球をそうしたサイズに圧縮すればブラックホールができあがる」とされている―― とのことがある。
第二。
［小説『タイタンの妖女』で重視されている時間等曲率漏斗（なるもの）の終点が赤色巨星ベテルギウスであったと設定付けられている］
とのこともが［ブラックホール］との絡みで不気味に映るとのこと「も」またある。
知識を有していないとの向きから見れば［気まぐれ］を超えての意味合いでは［『タイタンの妖女』に対するベテルギウス関連の設定の付与］の理由が「ない」とも思われるところであろうが、
［ベテルギウスの赤色巨星としての終焉が「小説『タイタンの妖女』刊行より後の日 ―時期的先後関係が重要となるところにての［後の日］― にて現実世界にて導き出された知見より」「近々の」ブラックホール化であるとの見方が（人類に災厄をもたらしかねない［ガンマ線バースト］との現象に関わるところとして）目立って問題視されるに至っている］
とのことがあり、また、と同時に、
［『タイタンの妖女』にてベテルギウスを終点としていると（何故なのか）設定付けられている［時間等曲率漏斗］というものが［くろぽち（・）ひとつよりなる親書を他星系に届けるための人類の育種］と当該フィクションの中で結びつけられている］
とのこと「も」があり、もって［相応の寓意性］を感じさせる、それがゆえ、［不気味に映る］とのことがある。
（：整理すれば、［くろぽち（・）マークのみよりなる親書の伝達のための人類育種］と［近々のブラックホール化を伴っての現象の発現可能性が（小説の刊行後にて）目立って問題視された天体］（時間等曲率漏斗のゴールとしてのベテルギウス）とが結びつけられていることにつき、（地球相当の質量をブラックホールに引き直すと［㎝メートル単位のブラックホール］が導出されるとの現代物理学にての指摘のされよう（先述）も加味して）、奇怪性が感じられると述べたいのである（お分かりだろうとは思うのだが、「『タイタンの妖女』刊行の折にはベテルギウスのブラックホール化が目立って問題視されるような事情（ガンマ線バーストという現象に関わる事情）が取り沙汰されていなかった ――時期的先後関係の問題も続いての段にて遺漏なくも解説試みる―― がゆえに奇怪である」とも述べているのである）。
第三。
「（上の第一、第二のことに加えて）カート・ヴォネガットの『タイタンの妖女』は同男由来の『タイムクエイク』（1997）という他小説と一緒くたに見た場合に［911の事件の前言をなしているが如く小説］に化けるようなものであるということ「も」ある」
とのことがある（その「911の事件の前言をなしているが如く小説に化ける」との側面が［偶然の賜物］ではないから「問題になる」と申し述べたきところとして、である）。
について解説をなし終えたとして、続いて、ここ補説1と銘打っての部にあって、
［カート・ヴォネガットの問題となる複数作品ら ――直近言及の『タイタンの妖女』に至るまでの複数作品ら―― ］
に関してここに至るまでいかなる指し示しをなしてきたのか、（多少、指し示しをなしてきた順とは順序たがえながらも）、箇条表記形式にてのまとめ・確認表記をなしておくこととする。
・カート・ヴォネガットは『スラップスティック』という自身の小説で［ロックフェラーに由来する双子ら］にして［ニューヨーク市にて生まれ、マンハッタンを住処としている双子ら］を登場させているが、そちらキャラクターについては
［「ロックフェラー関係者の影響力強くも」建設されることになった「ニューヨークのマンハッタンの」ツインタワー］
のことを想起させるものでもある（出典（Source）紹介の部64（3）および出典（Source）紹介の部64（8））。
・そうした［ツインタワーを想起させるような双子］を登場させている小説『スラップスティック』では
［ロックフェラーおよびマンハッタンと結びつけられての［双子］らの結合作用（なるもの）］
が
［（本来ならば非常に弱い力である（出典（Source）紹介の部64（10））とされている）［重力］の世界的増大現象 ――馬のような生物を圧死させ、建物を倒壊させるが如き重力増大現象―― ］
および
［粒子加速器を介しての生死両界の繋がり合い］
と
「どうしてこのような筋立てが?」
との塩梅にて結びつけられている（出典（Source）紹介の部64（2）から出典（Source）紹介の部64（6））。
そうした［［本来ならば弱い力であるはずの重力の世界的増大］と［粒子加速器］を ――双子の結合作用との留め金となる要素でもって―― 結びつけている粗筋］より、
［（『スラップスティック』（1976）が登場したよりも「後の日にて」問題視されだしたとの）粒子加速器による（重力の怪物たる）ブラックホール生成可能性］
のことが小説『スラップスティック』を媒介に想起される。
・小説『スラップスティック』では
［双子の結合による天才的閃きによってもたらされた重力理論の深化］
が中国をして
［立ってもいられなくなるほどに、建物を倒壊させるほどに、馬を殺すほど、といった按配の地球規模での重力の増大をなさしめる手法］
を開発させしめたらしいとの書きようがなされているのだが（無論、そこからして「どうしてそのような作品設定が?」とのものである）、同『スラップスティック』ではそうした国、中国の住人たる中国人に関して
［不可視化するまでに小型化するべくもの品種改良を自分たちに施した存在］
との描写がなされ、結果、彼ら極微化した中国人が死に至る病の病因になっている、すなわち、不可視の極微存在たる中国人を吸い込んで吸引者の普通の人間を死に至らしめるとの疫病［緑死病］が猖獗（しょうけつ）を極めているとの作品設定が採用されてもいる（出典（Source）紹介の部64（7））。
ここで［人間の極微化へのリサイズ］は「質量を極小点に圧縮しての」ブラックホールの特色ともかぶる節がある。については［（双子のアイディアを窃取して）地球規模の重力増大の原因となった国家］と作中にて臭わされている中国の民が極微化して［グリーン・デス］（緑死病）という名称の奇病の原因となっていると描写されること、そのことから［ペスト］にまつわる歴史的呼称［ブラック・デス］（黒死病／全身が真っ黒になって死ぬ病としてのペストに対する歴史的呼称）のことが想起されもし、そこからして［黒い穴］すなわち［ブラックホールを想起させての「わざと」の挙動］であると解すれば、間尺が合うとのこと「も」がある（だが、しかし、小説『スラップスティック』刊行の往時（1976年）にはまだ［加速器によるブラックホール生成可能性が専門家にすらまったくもって問題視されていなかった］とされていることが問題になる）。
・［ツインタワーを想起させるような双子］を登場させている小説『スラップスティック』で［双子の結合］が［重力増大をきたす挙動］および［粒子加速器］と「どうしてこのような粗筋が?」との塩梅にて結びつくようにされていると直上にて振り返りもしたが、［ツイン（双子）］と［2001年9月11日を示す数値列］と重層的に結びつくとの内容を有した［［ブラックホール］および［通過可能なワームホール］につき扱った「1994年初出」著作］が存在しているとのことが［関連事象］として想起されもするとのことがある（：小説『スラップスティック』が刊行されてよりかなり後（1994年）に世に出たキップ・ソーン著作、 BLACK HOLES & TIME WARP Einstein's Outrageous Legacy『ブラックホールと時空の歪み アインシュタインのとんでもない遺産』（訳書は白揚社）との内容を問題視してのことである。具体的には（本稿にての出典紹介部を羅列して表記なすとして）出典（Source）紹介の部28，出典（Source）紹介の部28－2，出典（Source）紹介の部28－3，出典（Source）紹介の部31，出典（Source）紹介の部31－2，出典（Source）紹介の部32，出典（Source）紹介の部32－2，出典（Source）紹介の部33，出典（Source）紹介の部33－2を包摂する一連の解説部にて『ブラックホールと時空の歪み アインシュタインのとんでもない遺産』という書がいかようにして［「双子の」パラドックス（1「911」年提唱）の機序の利用による二点間時差の応用］／［91101（米国にての日付け表記上、911の事件が発生した2001年9月11日と同文になる9/11/01と同じくもの数値列）との郵便番号（ZIPコード）ではじまる地パサデナを時空間（時間軸・空間軸）にての［始点］に置いてのタイムワープにまつわる設定の付与］／［同じくもの地パサデナで疾走させた爆竹付き自動車にまつわる思考実験による［双子のパラドックス］にまつわる説明の付与］／［［2000年9月11日］⇒［2001年9月11日］と通ずる［日時表記］の使用］／［他の関連書籍を介してのブラックホール⇔グラウンド・ゼロとの対応付けの存在］といった複合的要素を［一例としての思考実験］にまつわるところで「同時に」具現化させ、もって、［双子の塔が崩された911の事件］の前言と解されることをなしているのかについて（筆者の主観など問題にならぬ文献的事実にまつわるところとして）解説を講じている）。
・以上のような面で多重的に粒子加速器を巡るブラックホール生成問題と「これ奇怪に、」とのかたちで結びつくとの小説『スラップスティック』をものした作家、［アメリカ現代文学の旗手］として認知されていた（出典（Source）紹介の部64）ところのカート・ヴォネガットだが、同男による別小説として『猫のゆりかご』（1963）という作品が存在しており、同小説より派生した言葉（アイス・ナイン）が［ブラックホール生成と並ぶ加速器による世界崩壊関連リスク（ストレンジレット生成）］と ――実験機関公式報告書内容それ自体に関わるところとして―― 結び付けられているとの背景がある（出典（Source）紹介の部65にて解説のIce-nineを巡る関係性）。
・カート・ヴォネガットはその作家人生にあっての前半期、『タイタンの妖女』（1959）という小説をものしており、その小説内では［人類育種の究極目標はまるぽち（・マーク）にすぎない］との言及がなされている。他面、地球をブラックホールに圧縮しても1㎝にしかならぬということが科学的知見の問題としてある（出典（Source）紹介の部65（3））。
・上記のヴォネガットの『タイタンの妖女』という作品では［時間等曲率漏斗］なるもの、［入ったものを波動存在に変換するらせん状の時空間のゆがみ］とのものが登場を見ているが、その［時間等曲率漏斗］の終点は「なぜなのか」赤色巨星ベテルギウスに設定されている。そして、そちらベテルギウスが［ガンマ線バースト現象］を起こし、地球生命に対して存亡の危機を及ぼす可能性があるとのこと、また、に付随して、ベテルギウスがブラックホール化（ないしは中性子星化）するとの観点が近年、「目立って」、現実世界で取り沙汰されるようになったとのことがある。その点、［ガンマ線バースト現象］という現象の同定・捕捉さえ『タイタンの妖女』刊行時たる1959年にはなされていなかったとのことがある、しかし、にも関わらず、ヴォネガットが『タイタンの妖女』でベテルギウスを印象深くも用いているとのことからして問題であると受け取れもする（出典（Source）紹介の部65（4））。
・同じくもの『タイタンの妖女』にあっては［ヘラクレス］に関する目立っての序言が冒頭部にて「意図不明に」配されている、すなわち、
「地球がヘラクレス座のM13球状星団に近付いているのにも関わらず進歩がないと考える非順応論者がまだ存在している」
との序言が「まったくもって意図不明なるかたちで」冒頭部にて配されているとのことがある（出典（Source）紹介の部65（11）。その点、ヘラクレス座のM13の中心にもブラックホールがあるとされてもいることが気になるところではあるが、［911の事件］が［ヘラクレス功業］と結び付けてられているとの本稿にて具体的かつ入念に指し示さんとしていることとの絡みでも気がかりなところとなる。
・『タイタンの妖女』という小説作品にはヴォネガットの後にての他作品、『タイムクエイク』の中に登場する作中内小説『B－36の三姉妹』と結びつけられているような側面を伴っている（端的に述べれば、「双方とも時空間の歪みが重んじられる作品にて三人一対の女がモチーフとされている」とのことがある）。 そうもして『タイタンの妖女』との連続性が観念されるところの作中内小説『B－36の三姉妹』にまつわるところでの『タイムクエイク』内筋立てに［911の事件の前言としての色彩］が見て取れるようにもなっていることが「さらにもって」問題になる ――［グラウンド・ゼロという言葉のそもそもの由来となっている原爆投下地を広島と長崎に現出した爆撃機（出典（Source）紹介の部33－2）］および［原子力］つながりで［36］［29］［119］との数値規則を見出せるようになしているとの側面が見てとれるといった理由に因る等等―― （出典（Source）紹介の部65（12）から出典（Source）紹介の部65（15））。
上はすべて ――くどくも強調したきところとして――
「［文献的事実］として（特定文物に何々の記載がなされているということそれ自体に関わるところの事実）指し示せる」
とのこととなり、実際に本稿にては注力してその指し示しに筆を割いてきた次第である（：同じくものことにまつわっては「そうして指し示してきたことが「すべて、」［偶然の賜物］として成立するなどとは「およそ考えがたい」」とは強調してもしすぎにならないことであると口酸っぱくも申し述べたい次第でもある）。
そして、上につき、
［偶然の賜物］
ではない［恣意的やりよう］が介在しているのであるとすれば、 ―どうやって恣意的やりようを現出させたのかのその［機序］（作用原理）の問題はともかくも― 「極めて剣呑なること」になる。ブラックホールの人為生成にまつわる執拗なる事前言及がそこにて現出化していることになるからである。
以上、ここまでにて補説1の内容を振り返りもしたところで、である。
続けての補説部 ―補説1に続けての補説2― につなげるべくもの
［半ば［伏線］となるような話］
をなしたいと思う（：伏線、すなわち、［水面下に密かに伏させしめて後にて浮上させる類の話］としては「続いての段につながることである」と手ずから明らかにしている時点で自己矛盾あり、妥当ならざりしとなることかとも思うので「半ば［伏線］となるような話」との形容をなしている）。
その点、続いての部、補説2と銘打っての段では中途まで話を進めたところにて、
CONTACT『コンタクト』（カール・セーガンという著名な言論人（後述）の手になる1985年初出のハード・サイエンス・フィクション小説）
という作品の内容を問題視することにする所存である（：後にて作品に対する世俗的評価についての説明もなすが、そちら『コンタクト』という作品も『タイタンの妖女』と並んで米国をはじめ欧米圏で有名な作品となっている）。
（以下、微に入った話とはなるが）
上にて言及をなしたハードSF小説『コンタクト』は
［宇宙よりの電波探査活動（作中、［アーガス計画］と銘打たれている架空の電波探査活動）］
の中、
［ヘラクレス座のM13星雲］
を調べたその直後、そのヘラクレス座と接する琴座の方向より
［宇宙にあっての他の高度文明よりの通信］
を受信するとのかたちで話が展開していくとの著名フィクションとなる ――同『コンタクト』は女優ジョディ・フォスターが起用されてのハリウッド映画化もなされている作品となる―― 。
（⇒小説『コンタクト』では（直上言及の）［外宇宙の他文明よりの通信の受信］の後、その受信データに基づいて「それが何のためのものなのか」も理解できないものながらもの［十二面体構造を呈する装置の設計図］が暗号より再現されるに至る。
そして、ついぞその装置が何たるかを作中の人類が理解出来ないままに、
［装置（遥か外宇宙の彼方に装置に入り込んだ人間を送り出すことになったとのことが後に明らかになったとの装置）の構築計画］
が進められるとの方向に話が進んで行く（につき、［フィクション］ならぬ［現実世界］の物理学者らが［仕組み］・［機序］ではなく［作動態様］についての科学考証に関わったことがよく知られている装置、［カー・ブラックホール］や［通過可能なワームホール］といったものと結びつけるべくもの考証が入念になされもして当該フィクション（『コンタクト』）にそうした考証が活かされたとの装置が建設されるに至ったとの描写がなされている、そう、フィクション作中ではその原理も動作態様も分かっていない中ながら異星より送られてきた電波受信情報に入れ込まれていたとの設計図に基づき（甲論乙駁なされながら）装置が結果的に建設されるに至ったとの描写がなされている）。
そうした小説筋立てについても
「問題視すべきところがある」
との関係上、本稿の後の段で取り上げることになる（詳しくは続いての補説2の中段以降の段を参照いただきたい。尚、［外宇宙よりの電波探査計画］などとの話を耳にすると［いかにも空想家の領分］ととらえる向きもあろうかもしれないが、米国にあってはSETIこと Search for Extra-Terrestrial Intelligenceと銘打たれての［地球外知的生命体探索計画］が20世紀中葉より息長くも行われてきたとの経緯が実際にあり、ここにて問題視している『コンタクト』作者の科学者カール・セーガン（同男が［調査しても無為たることと分かりきっていたこと］らをやらせるべく用意された［担がれての駒］であったとしてもそうではなかったとしてもとにかくも［大物］の片鱗を見せていたとのメディア露出型カリスマ科学者）も早くから同じくもの計画 ――SETIこと［地球外知的生命体探索計画］―― に深くもコミットしていたことがよく知られている。については和文ウィキペディア［カール・セーガン］項目に立志伝調で記載されているところを引くが、（現行にてのウィキペディア記載内容より原文引用するところして）（セーガンは）1960年から1962年まではカリフォルニア大学バークレー校でミラー研究員となった。1962年から1968年までスミソニアン天体物理観測所で研究員を務め、ハーバード大学で教鞭をとった。それからコーネル大学へと移り、1971年には正教授になり、以降惑星科学の研究室を率いた。圏外生物学（宇宙生物学、天体生物学）の開拓者で、一般に地球外知的生命体探索計画のSETIと科学を押し進めたとされる。このように彼の業績には生命科学とのつながりが深いものが多く、惑星探査機、マリナー、バイキング、ボイジャー、ガリレオの実験計画の企画などに携わる。最初の妻は細胞内共生説を提唱した生物学者、リン・マーギュリスであった
（引用部はここまでとする）とされているようなことがある。そうした作者（カール・セーガン）による「著名な」フィクションが『コンタクト』であること、お含みいただきたい）
表記の如き内容を有しているとの小説『コンタクト』にあっては
［外宇宙よりの不明電波を受信するに至った電波探査計画を巡る経緯］（作中、［アーガス計画］と銘打たれての外宇宙電波探査活動を巡る経緯）
を取り扱った部にて
「［ヘラクレス座M13星雲］を電波探査計画にて調べた直後、近傍ヴェガ星系より［ワームホール（ないしブラックホール）を利用してのゲート装置設計図を暗号として混ぜ込んだものと「後にて判明した」電波］を捕捉・受信した」
との表記がなされ、その部にあって
［［Silenceサイレンス］と［Sirenサイレン］の掛詞（かけことば）］
が印象深くも露骨に用いられているとのことがある。
すなわち、（［ヘラクレス座M13星雲］を電波探査計画にて調べた直後、扉の構築につながった電波を受信することとなったとの下りにて）、
「［沈黙］（サイレンス）こそが［サイレン］（トロイア攻城戦で木製の馬の計略を考案してトロイアを陥落させた後、苦難の船旅を強いられることになったオデュッセウスを洋上にて惑わしたギリシャ神話の怪物 ―本稿にての出典（Source）紹介の部65（2）でも言及― ）の武器にして真に酷薄無情なるものである」
などとの申しようがなされてもいる ――［メディア露出型カリスマ科学者］として広くも認知されていたカール・セーガンによってそういう申しようがなされてもいる―― のである。
画家 John William Waterhouseの手になる妖異サイレンを描いた19世紀後半の画。
同画にては
［トロイア滅亡をもたらした木製の馬の奸計の主唱者たるオデュッセウスが船の帆柱に自らを繋がせ、なおかつ、他の船員の耳を蝋で塞いだうえにて船を座礁させる魔声とされた［サイレンの歌声］に耳を傾けんとしたとの有名な伝承上一幕ありよう］
が描かれているのだが、そうした同画にあって多数匹描かれているとのサイレン、伝承にてはカート・ヴォネガット小説『タイタンの妖女』に見る惑星タイタンの三対の彫像（サイレン彫像）よろしく、ないし、カート・ヴォネガット小説『B-36の三姉妹』に見る三姉妹よろしく三匹一組の存在、すなわち、
［Peisinoe（ペイシノエー）およびAglaope（アグラオペー）およびThelxiepeia（テルクシエペイア）の三匹一組の存在］
であるとされている ――本稿にての出典（Source）紹介の部65（2）でそこよりの記述を引いたビブリオテーケー（BIBLIOTHEKE／岩波文庫版『ギリシャ神話』）より再引用なせば、セイレーンの島を通過した。セイレーンはアケローオスとムーサの一人たるメルポメネーの娘で、ペイシノエー、アグラオペー、テルクシエペイアであった。この中の一人は竪琴を断じ、一人は唄い、一人は笛を吹き、これによってそこを航し過ぎる船人を留まるように説かんとしたのである
（再引用部はここまでとしておく）とされているような存在であるとされている―― 。
そうしたサイレンら、［三匹一組］として言及されることが多き存在が先程来、［ブラックホール］との絡みでそちら特性について解説をなしてきたとの小説カート・ヴォネガット『タイタンの妖女』と別作家の他の小説作品『コンタクト』とを結びつける［留め金］の一となっていることにまつわる［布石］としての話をここではなしている。
さて、最前にて言及のように小説『コンタクト』にあって
「ヘラクレス座のM13方面に対する（［アーガス計画］なる）宇宙電波探査計画の中での探査が他の宇宙文明よりの通信を受信した」
などとの話が［妖怪サイレン（Siren）の沈黙（サイレンスSilence）の声］と結びつけられるといった書きようにてなされているとのことは
（長大な小説のわずかな部、隻句にまつわる一致性にすぎないため、［情報］としても伝播せず、また、気付く人間もほとんどなかろうものことと言えそうなことではあるが）
「カート・ヴォネガットの The Sirens of Titan『タイタンの妖女』の冒頭序言の部にて付されたヘラクレス座M13への言及を意識してやってのことであろう」
と「自然に」想起されるところとなっている ――『コンタクト』作者たるカール・セーガンの意中・胸中が奈辺にあったかは解しかねるが、「自然に」想起されるところとなっている―― 。
本稿出典（Source）紹介の部65（11）にて引用なしたように The Sirens of Titanこと『タイタンの妖女（サイレンズ）』は
"Every passing hour brings the Solar System forty-three thousand miles closer to Globular Cluster M13 in Hercules . and still there are some misfits who insist that there is no such thing as progress."「一時間ごとに太陽系は四万三千マイルずつヘラクレス座のM13球状星団へと近づいている――それなのに、進歩なんてものはないと主張する非順応者がまだなくならない」
との冒頭部文句に見るように［ヘラクレス座M13星雲］が［サイレン］と結びつけられている作品と述べられるからである。
そのように、
［ヘラクレス座M13を探査した直後に琴座方面より異星系からの電波を受信したとの粗筋］
［妖異サイレンを沈黙サイレンスと［掛詞］としてつなげているとのやりよう］
が（カート・ヴォネガット『ザ・サイレンズ・オブ・タイタン』の［ヘラクレス座M13］にまつわる序言部を想起させるように）つなげられて表出しているとの『コンタクト』という小説作品は、
（繰り返すが）
［［異星系より受信した電波］（ヘラクレス座M13に対する電波探査活動が不首尾に終わったその直後、近傍の琴座より受信したという設定が付された怪電波）に暗号として隠されていた設計図を元に地球上にて［ブラックホール・ワームホールと結びつくゲート装置］が構築されることになったとのことを描いている作品］
となっている。
以上のことについては ―そちらが［文献的事実］の問題として認識認知されたうえでものこととして― 次のように考える向きもいそうなところか、とも思う。
『小説『コンタクト』（原著初出1985年／映画化作品1997年リリース）を世に出した米国の著名なる大物科学者たるカール・セーガンがカート・ヴォネガット『タイタンの妖女』に
［ブラックホール絡みのゲートに対する隠喩］
が「根深くも」含まれているとの可能性を顧慮の上、意識してヴォネガット作品に対する隠喩的言及をなしていたのではないか?』
が、筆者は上のようには考えていない。一義的には次のようなことがあるからである。
「『タイタンの妖女』にあっては ――（本稿にて既述のように「隠喩的・間接的な式での」そのことへの［予見的言及］はあったとは解されるのだが）―― 「明示的に」ブラックホールの類をゲートとするが如く観点は表出を見ていない（同作『タイタンの妖女』にあって［時間等曲率漏斗に入った男が目的達成のために利用されるとの筋立て］と［黒い点ひとつのために地球人類育種がなされてきたとの筋立て］がつなげられていても「明示的に」ブラックホール・ゲートに対する言及がなされているわけではない）。 それがゆえにカール・セーガンがそこまで穿っての視点を自著に反映したとはなかなか考えづらい。
また、 The Sirens of Titan『タイタンの妖女』原著が世に出た1959年は言うに及ばず、カール・セーガンContact『コンタクト』原著が世に出た1985年という時期からして
［人類最大規模の装置（加速器）が用いられた結果としてのブラックホール生成］
とのことが科学的に観念されて「いなかった」とのこともある。
従って、時代背景より、カール・セーガンには『タイタンの妖女』内容を意識してのその式での寓意を作品に込めるだけの動機がなかったと受け取れもする ――（であるから、カール・セーガン1985年小説が［異星人より送られてきた装置設計図を元にして人類一丸となって「ブラックホール」「ワームホール」と結びつくゲート装置の構築が試みられだす（ゲート装置と知らずにもの構築が試みられだす）］との粗筋を有していたことからして「ある種、予見的なること」と見えもする（ちなみに、後述するところとはなるが、セーガン『コンタクト』のゲート装置は原作小説それ自体では加速器とは何ら関連づけられていない。映画版DVD流布コンテンツでは紛らわしいような描写も一部認められるのだが）。その点、本稿では出典（Source）紹介の部1から出典（Source）紹介の部21－5（2）を包摂するそれ自体、相当程度の文量を蔵しての解説部にて［ブラックホール生成が加速器にてなされうる］と考えられるようになった（と科学界にて主張されるに至った）のが「ここ10数年内のこと」であるとのこと、詳述をなしている。同じくものことの事実関係の調査に多大な時間を割いてきた、勿論、座学ではなく自身の足を動かしての取材活動をもなしている人間として（1998年に登場した理論動向を受けて2001年よりその可能性が現実視されるようになった）とのブラックホール人為生成を巡る議論動向について詳述をなしている次第でもある）―― 」
一義的なるところを述べれば、上のようになるのだが、本稿で「その実の、」のこととして着目に値すると見ていることが（またもってして）ありもし、それはおよそ次のようなところとなる。
「カール・セーガンという人物（物故者）についてはその言説からして［世間で取り沙汰するのがまったくもって好まれないとのことをわざわざ口に出すような人間ではなかった］と見受けられるのだが、といった中で、『コンタクト』という作品に関しては
［二重話法（背面解釈可能な話柄）］［反対話法（望ましきことと望ましくなきことを反転させる話柄）］
を「多角的に」含んでいると解される側面が露骨に見受けられもする。
そして、小説『コンタクト』内部に見受けられるとのそれら［二重話法］［反対話法］関連部位が［カール・セーガンの属人的恣意の問題でおよそ済まされないような性質のものである］と見受けられるとのことがある（から問題である）。
それについては、たとえば、小説『コンタクト』という作品が
［災厄の因たるととれるもの］（［この地球上にブラックホールやワームホールの類を用いてのゲートを構築するためのものであるとその使用後にて判明した得体の知れない機械］）
をして
［実にもって望ましいもの］（［進化進歩を見守る温かい異星文明が渡してくれた人畜無害なる先進文明への切符］）
として担ぐとの作品となっているとのことも例となるところである（と明言したい）。
また、小説『コンタクト』が
［［ブラックホール生成問題］をして［「他の」911の事件の先覚的言及事物「ら」］（［カート・ヴォネガットの作品「以外」の先覚的言及事物］としての特定事物「ら」）と結びつけているが如くもの］
となっていること「も」問題になる（と明言したい） ――無論にしてこの段階では伝えんとしていること、おもんぱかりなどなしていただけないかとも思うのであるが、同じくもの点については続いての補説2と区分けしての部、そこにて『コンタクト』内容に言及するに至った段階で典拠挙げつつ詳述をなしていく） ―― 」
上記のことが事宜に適っているとの申しようなのか、黒白の問題としてどうなのか、ということについてはさらにもって後の段での解説部を検討してからご判断いただきたいのであるが（『コンタクト』という作品が具体的にどう問題になるかについては続いての補説2の段にての中盤以降の部にて詳述詳解をなす）、ここ本段ではとにかくも
［小説『コンタクト』が［ゲート装置の設計図受信］につながった電波探査計画との絡みでヘラクレス座M13をいかように作品内に登場させているのか、また、その部がいかようにして［サイレン］の類と結びつくようになっているのか］ （すなわち、［［サイレン］を作品タイトルに冠し、また、［ヘラクレス座M13］に関する印象的な切り分けての序言部を含んでいるとの作品、そして、［ブラックホール］のことを想起させるとの作品たる『ザ・サイレンズ・オブ・タイタン』といかように接合性を観念できるようになっているのか］）
とのこと（上にて言及したこと）の出典を先んじて挙げておくこととする（直下続けての内容を参照されたい）。
