黄金比にまつわっての問題性摘示をなしてきたカール・セーガン小説『コンタクト』にあって「これまた問題となる」他の予見的文物との接点について 補説2
振り返る。ここ本段に至るまでにあって本稿にあっては幾頁にも分けて[a]から[f]と分けもしての一連の話を展開してきた。
具体的には、である。以下、再述なすような経緯あって[a]から[f]と振っての一連の話をなしもしてきた。
(以下、振り返っての表記をなすとして)
[a]から[f]と分けもしての一連の話に入る前のこととして本稿(にあってのここ補説2と振ってのセクション)では下にて再掲のα1からα8、そして、βと振ってのことらについて「証して」「示す」、証示なすとの式での入念なる指し示しに注力してきたとのことが(事前経緯として)ある。
(金星にまつわる会合周期にあって具現化するとの指摘もなされてきた)[五芒星相似形]を[ブラックホール絡みの話]と接合させるような奇怪なることらがある。すなわち、次のようなことら(α1からα8)がある。
地球と金星と太陽の内合(インフェリアー・コンジャンクション)時にあっての天体座標を結んで出来上がるとのことがよくも取り上げられるとの[五芒星]は[五角形]と結びつく図形でもある。[(ほぼ正確な)[五芒星]が描写される局面]というのは[(ほぼ正確な)[正五角形]に近しきものが内にて形成される局面]であるとも述べられる。どういうことか。[(正確な)五芒星]というものは[正五角形]に内接される図形として描けるものであり、[正確な五芒星の各点]を構成する五点というのが正五角形の各点にそのままに対応することになるとのことがあるのである。
正五角形、英語に直せば、[レギュラー・ペンタゴン]との特質を持つのがアメリカの国防総省の本部庁舎である。そのペンタゴンの広場は先の911の事件の起こる前から[ワールド・トレード・センターの跡地]がそう述べられるようになったのと同じ言葉で呼び慣わされていた、[グラウンド・ゼロ]との言葉でもって呼び慣わされていた。
グラウンド・ゼロという言葉は911の事件が発生する前からペンタゴンの広場と歴史的に結びつけられてきたとの沿革がある(上のα2にて言及)のだが、そちらグラウンド・ゼロという言葉、かの911の事件が起こる「前」から[使用局面が際立って限られていた特殊用語]として存在していた同語を[ブラックホール]と関係させるとのかたちで用いていたとの書籍が存在しており、その書籍、「不可解極まりない911の予見的言及とも関わる」とのことを本稿の先だっての段で先述なしてきたとの書籍でもある
ZERO:The Biography of a Dangerous Idea(邦題)『異端の数ゼロ』
となる。
同著『異端の数ゼロ』序盤部にては[五角形と五芒星の相互に「無限に」外接・内接しあう関係性]のことが[最小の単位(無限小)に向かう力学]を指し示すようなものとして取り上げられているとのことがあるのである(α1の出典とも重なるところとなる)。
さて、そのように問題となる ―「どうしてそういうことが?」の問題はともかくにもの911の異様なる先覚的言及をなしているとの式で問題となる― 書籍で取り上げられている[五角形と五芒星の相互に「無限に」外接・内接しあう関係性]にて「も」表象される[最小の単位(無限小)に向かう力学]は言い換えれば、[原子核の領域に向かう力学]、さらに述べれば、
[原子核を構成する陽子や中性子の領域、そして、陽子を複合して構成するクォークのようなより極微の素粒子の世界に向かう力学]
のことを想起させるものでもある。
何故か。
原子のなかで原子核の占める割合はおそろしく小さい、そのような原子核を構成するのが中性子や陽子であるといったかたちで(小さきことをひたすらに突き詰めていった際の)極小の世界というものは展開しているからである。[五角形(ペンタゴン)および五芒星の両者の図形的特性]のことを知っていれば、自然に想起されるのが[最も小さな極小の世界へ向けての力学]であり、それは換言すれば、[素粒子物理学などが領分とする極小の世界へ向けての力学]であると言い換えられるようなところがあるのである。
そして、そうした限りなくものゼロ・スケールに向かって展開する極微の世界の領域の研究(たとえばヒッグス粒子や超対称性粒子なぞと命名されてのものを発見に血道をあげるとの「研究」)を声高に唱道、[原子核を壊す中での膨大なエネルギー](と述べても極微領域に集中しているからこその膨大なエネルギー)で[ブラックホール]さえもが生成される可能性が取り沙汰されているのが素粒子物理学系や核物理学系の物理学者らが集まってのLHC実験であると言われている。
ZERO:The Biography of a Dangerous Idea(邦題)『異端の数ゼロ』との書籍は911の事件が起こる「前」から特異な言葉であるとのグラウンド・ゼロという言葉をブラックホールとの関係するかたちで用いているとの書籍、かつもって、不可解なる911の予見的言及とも関わっているとの書籍でもある(←α3で言及したことである)。そして、同著『異端のゼロ』は[五角形と五芒星の「無限に」相互内接しあう関係性]と結びつくことに言及しているとの書籍でもある(←α1およびα3にての出典にまつわるところでもある)。
そうした書籍で扱われる
[ゼロの世界][極小の世界]
に近しきところで(原子に比してその比率が恐ろしく小さいとの極小の存在たる)[原子核]を破壊しようとのことをなし、そこにて発生する膨大なエネルギーからブラックホールを生成しうるとのところにまで至ったのがLHC実験であると「される」(←α3にて言及のことでもある)のだが、他面、[911の事件]では何が起こったのか。[[正五角形]との形状を呈するとのペンタゴンが崩された]とのことが起こっている(←α2で合衆国国防総省庁舎たるペンタゴンが(正確な五芒星と無限に続く相互内接外接関係を呈するとの)[正五角形]であることを問題視している)。
以上のことより[次の関係性]が想起されもする。
[現実世界で911の事件が起こる「前」からアメリカ国防総省本部庁舎たるペンタゴン(正五角形)の広場と結びつけられてきたグラウンド・ゼロという特殊な言葉(←α2)] ⇔ [911の事件が起こる前から[グラウンド・ゼロ]との特殊な言葉とセットとなっていた現実世界でのペンタゴン([正五角形]状の米国国防総省庁舎)の911にあっての部分崩壊] ⇔ [正五角形(;合衆国国防総省庁舎ペンタゴンとの同一形状)の(911にての)部分崩壊(α3)] ⇔ [911の事件が起こる「前」から特殊用語として存在していた[グラウンド・ゼロ]という言葉をブラックホールとの関係するかたちで用いているとの書籍であり(そして911の不可解なる予見事物とも通ずるようになっている書籍ともなり) またなおかつもってして、五芒星と五角形(ペンタゴン)の間の無限に続く相互内接・外接関係によって表象されもする極小の世界へ向かう力学に言及している著作ともなる ZERO:The Biography of a Dangerous Idea(邦題)『異端の数ゼロ』という著作の内容] ⇔ [無限小に至る方向性での中での破壊挙動、原子核を壊す中での膨大なエネルギー発現状況でもってブラックホールを作り出しうると言われるに至っているLHC実験を想起(α3)]。
以上のような⇔で結んでの関係性については
『何を述べているか理解しがたい』
と受け取られるか、あるいは、
『穿ち過ぎ(考えすぎ)である』
と思われるところか、とも思う。それゆえ、そうした物言いがなせてしまう「他の」事情があることにつき続く段で「補いながらもの」表記をなす。
[グラウンド・ゼロ]という言葉 ―(本来、[広島・長崎の爆心地]を指すべくも考案された特別な言葉であり、また、冷戦期、核戦争の標的たるところと結びつけられるに至った言葉である)― と[911]の事件の発生前から結びつけられていた[ペンタゴン](アメリカ国防総省本庁舎)というのはレズリー・グローヴズという男(往時、米国陸軍工兵隊大佐)を責任者にして1941年「9月11日に」建設が開始されたとの建物である。
そちらペンタゴンの建設計画を指揮していたレズリー・グローヴズという男が「ペンタゴン建造中に」大佐から准将に昇進、主導することになったのが[マンハッタン計画]となっており、同[マンハッタン計画]で実現・現出を見たのが[原子爆弾]と[広島・長崎への原子爆弾の投下]([グラウンド・ゼロ]との言葉がはじめて用いられるようになった爆心地を現出させた挙動との意味合いで本稿の先の段でも取り上げていた原爆投下)となる。
そこに見る[原子爆弾]というのは[極小領域たる原子核のレベルでの崩壊現象、[核分裂反応]によって実現を見た兵器]でもある (:1941年9月11日から建設開始(着工)を見ていた[ペンタゴン]の建設計画を指揮していた男レズリー・グローヴズが[マンハッタン計画]の責任者でもあったわけであるが、[マンハッタン計画]というのはそも、[極小の領域、原子核のレベルでの崩壊現象が原子爆弾を実現ならしめること]が着想されて開始された計画である。[原子核レベルでの崩壊現象を利用しての核兵器開発]と[ペンタゴン]が結びつく、そう、[五芒星形と五角形(ペンタゴン)が無限に相互に内接・外接しあいながら無限小へ至る方向(原子核や素粒子の世界へ至る方向)を指し示すもの]であることを想起させるように結びつくとのことが歴史的沿革として存在していることが問題となる)。
金星の内合ポイントにてその近似物が具現化するとの五芒星は史的に見て[退魔の象徴]とされてきたとの経緯があるものである。
さて、その[退魔の象徴としての五芒星]と結びつくような[退魔の象徴物としてのペンタゴン(アメリカ国防総省本庁舎)]が爆破されて「異次元から」干渉する外側の銀河由来の妖怪が解き放たれるとの[荒唐無稽小説]が世に出ている。それが本稿の先の段で「911の「奇怪なる」予見的言及をなしている」との要素を同作が多重的に帯びていることにつき仔細に解説してきた70年代欧米でヒットを見たとの小説作品、『ジ・イルミナタス・トリロジー』である。
につき、
[退魔の象徴としての五芒星と結びつくが如き退魔の象徴としてのペンタゴンの崩壊、および、911の事件の発生(マンハッタンとペンタゴンが同時攻撃されたとの事件)を前言しているが如くの奇怪なる文物]
などとのものより想起されるのは ―繰り返しになるも― 次のようなこととなる。
⇒[(直近にて言及の)書籍『異端の数ゼロ』に特性として認められるとの[五角形(ペンタゴン)と五芒星の内接関係を無限小に至る機序として呈示するとのやりよう]・[グラウンド・ゼロという言葉を911の事件が発生する前からブラックホールと結び付けているとのやりよう]・[不可解なる911の予見的言及と関わりもするとの側面]]←→(関係性の想起)←→[ペンタゴン(1941年「9月11日」に建造開始の国防総省庁舎)の建設計画を主導した軍人が同様に主導して[原爆]と[グラウンド・ゼロという言葉]を具現化させることになった[無限小に至る力学(五角形と五芒星が相互に無限に内接・外接されるかたちで表象される力学)の過程での原子核崩壊作用]を利用しての[マンハッタン計画]に見るありよう]。
会合周期(具体的に述べれば、8年単位で現出する5回の地球との周期的内合関係)でもって[五芒星]を描くとされる存在が金星となるとのことを先述した。また、同文に金星が悪魔の王ルシファーと欧州にて歴史的に結びつけられてきた星であることも先述した。
さて、歴史的に惑星金星と結び付けられてきたとの悪魔の王ルシファーとのつながりで述べれば、ダンテ『地獄篇』にもミルトン『失楽園』にも[ルシファーと結びついた罪の領域]にあって[今日的な観点で見てのブラックホールの近似物]が多重的に具現化していると申し述べられるようになっていること、解説をなしてきたのが本稿である。
[五芒星]は[黄金比]と際立って結びつく図形でもある。そこに見る[黄金比]と[ブラックホール]が結びつくことを論証しようとの学究申しようが欧米圏にてささやかなる注目を浴びているということがある。
日本でも五芒星紋様が用いられてきたとのことがある。それは海女による[セーマン・ドーマン]と呼ばれる紋様の使用にまつわる話となる。その点、海女によるセーマンこと五芒星の使用は[竜宮]に引き込まれないための呪(まじな)いであるとの物言いがなされてもいる。さて、伝承に見る[竜宮]とはどういう場か。
[時空間の乱れが発生した場]([外側に対して時間の進みが遅い場])
とされる場である。
他面、重力の化け物、ブラックホールおよびその近傍領域も[時間の乱れ]が問題となるものである。
以上のこともそれ単体で述べれば、「考えすぎ」の謗(そし)り免れないこととあいなろうが(当たり前ではある)、上(のαの段)にて述べてきたようなことがすべて[事実]であると網羅的に指し示されたとき、ここβの申しようも「考えすぎ」では済まされぬものとなって「しまう」だけのことがある。
以上、各部、入念に典拠となるところを挙げてきたことら(たるα1からα8及びβ)にあっての
[五芒星]は[黄金比]と際立って結びつく図形でもある。そこに見る[黄金比]と[ブラックホール]が結び つくことを論証しようとの学究申しようが欧米圏にてささやかなる注目を浴びているということがある。
との部に強くも関わるところとして本稿では
[特定文物の間にあっての繋がり合い] ([911発生にまつわっての予見性]を帯びていること、解説してきたとの(一見する限り荒唐無稽小説の体裁をとるとの)『ジ・イルミナス・トリロジー』という作品とジュール・ヴェルヌの手になる『海底二万里』の間に存する[黄金比][五角形(としての異界の扉)][アトランティス沈没]に関わるところの繋がり合い)
のことを指し示すことに(続いて)意を割いてきた。
そうもした指し示しをなしたところでそちら指し示し事項、(巨視的問題事に向けての摘示のために)[取っ掛かり]として引き合いに出しもしたとの、
[特定文物の間にあっての繋がり合い] ([911発生にまつわっての予見性]を帯びていること、解説してきたとの(一見する限り荒唐無稽小説の体裁をとるとの)『ジ・イルミナス・トリロジー』という作品とジュール・ヴェルヌの手になる『海底二万里』の間に存する[黄金比][五角形(としての異界の扉)][アトランティス沈没]に関わるところの繋がり合い)
と先行して証示に努めてきたところのα1からα8およびβの各点に至るまでのことを多重的・多層的に結びつけるだけのことがある、そのように申し述べもし、「そのための指し示しを分けてもなす」として、[a]から[f]と振っての流れに入ったとのことがある。
以上、振り返りなしたうえでここ本頁以降では([b]と振っての部までを終えた直前頁に続いて)[c]と振っての部に入ることとする。
(脇に逸れての段から本論に引き戻し([a]から[f]に分けてのカール・セーガン著作『コンタクト』から押し広げて何が述べられるかの話に引き戻し)、続いて、[c]と振ってのことを呈示することとする)
本稿にての先の補説1と銘打った段にあって(の出典(Source)紹介の部66を包摂する解説部にて)
[伏線となるようなところ]
として述べていたことともなるのだが、カール・セーガン著作『コンタクト』 ―(既に細かくも解説してきたように[ブラックホール]・[911の事前言及文物(などという尋常一様ならざるもの)]・[黄金比と結びつくところへの固執]といった[他作品らの間に見受けられる属性]を一直線に接合させるとの奇怪な作品/表向きはハード・サイエンス・フィクションとして異例としてのベストセラーを記録した名作と認知されているものの、その実の奇怪な作品)― は他作家、[米国文壇寵児として君臨していた超が付くほど著名な作家]となっていたカート・ヴォネガット(同カート・ヴォネガットのカール・セーガンに比肩しようとの知名度・著名性については出典(Source)紹介の部64にて既に呈示している)という作家の手になる、
The Sirens of Titan『タイタンの妖女』
という作品と接合関係を呈しているといった側面を伴っているものとなる ――そちら『タイタンの妖女』と『コンタクト』の接合性については本稿の補説1と振っての先の段の掉尾の部(ほぼ書き納めの部)にあって[布石]として呈示したことでもある―― 。
その点、(『そのことからして問題になる』との認識でもって細々としたことながら取り立てて問題視なしていたところとして)、
[著名作家(米国現代文学の旗手とされていたカート・ヴォネガット)の手になる著名作品『タイタンの妖女』ことザ・「サイレン」ズ・オブ・タイタンは「まったくもって意味不明に」ヘラクレス座のM13に関する言及からはじまる本編から切り離されての序言部を含む ――(M13星雲につき表記した英文Wikipedia[ Messier 13 ]項目にても「現行は」その旨の言及がなされているぐらいにインパクトあるやりようで Every passing hour brings
the Solar System forty-three thousand miles closer to Globular Cluster
M13 in Hercules . and still there are some misfits who insist that there
is no such thing as progress.
「人類はヘラクレス座のM13星雲に日々近づいているのにも関わらず、それであるのに進歩がないと述べる非順応者が絶えない」との巻頭にての序言部を小説作品『タイタンの妖女』は含む)―― との作品となっているのに対して、カール・セーガン『コンタクト』は[サイレン]の寓意が ―サイレンス沈黙という言葉を掛詞(かけことば)にしているといった段で― [ヘラクレス座に対するM13への言及]と結びつけられているとの側面が伴っている作品となっている(ブラックホールないしワームホールによるゲートの装置設計図の受信プロセス、外宇宙の異星文明由来の電波受信プロセスと通じるところでそうもした側面が伴っている)]
とのことがある(:片方(『タイタンの妖女』こと『ザ・サイレンズ・オフ・タイタン』)が表題に[サイレン]を掲げ、なおかつ、作品の冒頭部にて本編と直接的に関わりの無い[ヘラクレス座のM13]関連の序言を目立ってなしているとの作品であるのに対して、もう片方(カール・セーガン『コンタクト』)は[サイレン]という言葉を[ヘラクレス座M13]と作中にて結びつけるような使用のなしかたを(執拗さが感じられる式で)なしている作品となっている。につき、カール・セーガン小説『コンタクト』ではギリシャ神話に登場する百眼巨人アーガスの名を冠するアーガス計画(後述)なるものの一環として宇宙よりの電波を探査するとのことがなされていた中、ヘラクレス座のM13星雲を探知しても何も見つからなかった、しかし、その直後、(複合的にサイレンの比喩が持ち出されての中の直後)、人類が[琴座]方向からの電波を受信、その電波によって送られてきた暗号を解読し、結果的に異星文明との直接的コンタクトを実現するための装置だと後にて判明する十二面体構造のマシーンを建造するとの流れで話が進んでいく)。
区切っての再表記の部をここにて設けておく。
(さて、)本稿の先だっての段、出典(Source)紹介の部66にあっては、
[小説『コンタクト』にあっては[ヘラクレス座M13方面の探査の直後、そのすぐ近傍の琴座方面より外宇宙生命体由来の通信を受信することになった(そして、後にその通信受信がブラックホールないしワームホールのゲート構築に繋がった)]とのことが描かれるとのまさにものその下りに関わるとの複数章の書き出し部(章はじめの題句の部)にあってサイレンの声に対する言及が「不自然に」「執拗に」なされている]
とのことを原文引用にて示し、もって、そのことが冒頭部よりヘラクレス座M13のことを殊更かつ意図不明瞭にもちだしている『タイタンの妖女』(原題:ザ・サイレンズ・オブ・タイタン)との繋がり合いを想起させるものであるとのことを示さんとしもしていた。
以下、その点に関わる当該小説(『コンタクト』)内記載内容の再度の呈示と、に対する、端的なる再度の解説をなしておくこととする。
表記のことについてはまずもって下のような引用をなしていた。
(直下、『コンタクト(上)』(新潮「文庫」版 ――池央耿/高見浩訳―― 、重版重ねての第六刷版)にあってのp.70-p.72よりの掻い摘まんでの「再度の」原文引用をなすとして)
第三章 白色雑音
耳にひびくメロディーは美しい。が、耳に聞こえぬメロディーはもっと美しい。
――ジョン・キーツ『ギリシャの壺の歌』もっとも残酷な嘘は、しばしば沈黙のうちに語られる。
――ロバート・ルイス・スティーヴンスン『青年男女のために』
・・・(中略)・・・デスク・ランプのスイッチをひねり、しばらく引出しの中をかきまわしてから、彼女は一対のイヤフォンをとりだした。デスクのわきの壁に貼られた、フランツ・カフカの『寓話』からの引用が、一瞬、ライトの光に浮かびあがった。
歌よりもおそろしいサイレンたちのもう一つの武器
それは沈黙・・・・・・
彼女らの歌を逃れる者あろうとも
その沈黙から逃れうる者は
一人としていない片手をふってライトを消すと、彼女は仄暗闇(ほのぐらやみ)をつっきって戸口にむかった。
制御室に入ると、万事異常ないことをすぐに確認して安心する。窓ごしに、ニューメキシコの砂漠上数十キロにわたって並んでいる百三十一個の電波望遠鏡の一部が見えた。いずれも、空に向かって語りかけている、奇妙な機械の花のように見える。
(国内で流通を見ている訳書よりの掻い摘まんでの引用部はここまでとする)
上にての訳書よりの引用部に対してオンライン上より確認できるところのContact(1985)の原著版テキストも再度挙げておくこととする。
(直下、カール・セーガンCONTACT原著にあってのCHAPTER 3 White Noise冒頭部よりの「再度の」引用をなすとして)
CHAPTER 3 White Noise
Heard melodies are sweet, but those unheard Are sweeter.
-JOHN KEATS "Ode on a Grecian Urn" (1820)
The cruelest lies are often told in silence.
-ROBERT LOUIS STEVENSON Virginibus Puerisque (1881)
[ . . . ]
Turning on a desk lamp, she rummaged through a drawer, finally producing a pair of earphones. Briefly illuminated on the wall beside her desk was a quotation from the Parables of Franz Kafka:
Now the Sirens have a still more fatal weapon than their song, namely their silence... Someone might possibly have escaped from their singing; but from their silence, certainly never.
Extinguishing the light with a wave of her hand, she made for the door in the semidarkness. In the control room she quickly reassured herself that all was in order. Through the window she could see a few of the 131 radio telescopes that stretched for tens of kilometers across the New Mexico scrub desert like some strange species of mechanical flower straining toward the sky.
(現行はオンライン上より確認なせるところの原著よりの引用部はここまでとしておく)
上にての訳書および原著(オンライン上よりその文言すべてを[文献的事実]として確認できるところの原著)より引いたところに見るように小説『コンタクト』では
[章(Chapter表記の部)の冒頭にて作品に興趣を添えるためになしているように(普通には)とらえられる他の文物よりの引用](具体的には英国詩人ジョン・キーツ作品および[ジキルとハイドの物語]でも有名なスコットランド小説家ロバート・ルイス・スティーヴンスン作品よりの引用)
がなされた後(うち、スティーヴンソンのそれは The cruelest lies are often told in silence.[もっとも残酷な嘘は、しばしば沈黙のうちに語られる]とsilenceサイレンスと結びつけられているとのものとなっている)、その直後、第三章中身に入って、の中で、
Now the Sirens have a still more fatal weapon than their song, namely their silence...「歌よりもおそろしいサイレンたちのもう一つの武器 それは沈黙・・・・・・」
とのフランツ・カフカよりの引用がさらにもなされつつ([妖異サイレンズの武器は沈黙(サイレンス)なり]という引用がなされつつ)、それが『コンタクト』本編にて描かれる
[外宇宙よりの電波探査計画]
と結節させられているとのコンテキストが現出を見ている(制御室に入ると、万事異常ないことをすぐに確認して安心する。窓ごしに、ニューメキシコの砂漠上数十キロにわたって並んでいる百三十一個の電波望遠鏡の一部が見えた。いずれも、空に向かって語りかけている、奇妙な機械の花のように見える
との上にての表記引用部テキストは『コンタクト』作中にて重きをなす[宇宙電波探査計画供用施設]に関する描写である)。
以上、言及したうえでのさらにもってしての「再度の」引用をなす。
(直下、邦訳版『コンタクト(上)』(新潮「文庫」版 ――池央耿/高見浩訳―― 、重版重ねての第六刷版)にあってのp.99-p.100、p.103-p.105よりの掻い摘まんでの「再度の」原文引用をなすとして)
第四章 素数
月、このわれらが哀れな異教の星に、モラビア派信徒は一人もいないのだろうか、そこに文明を植えつけ、キリスト教を広める宣教師はただの一人も訪れていないのだろうか。
――ハーマン・メルヴィル『ホワイト・ジャケット』(一八五〇)沈黙のみが偉大である。他のすべては弱点にすぎない。
――アルフレッド・ドヴィニー『狼の死』(一八六四)・・・(中略)・・・
彼は管制室に入った。電波探査のプロセスをモニターしている十二のテレビ・スクリーンを、ひとわたり見まわす。<アーガス>はヘルクレス座を調べ終えたばかりのところだった。地球から数億年も離れている、銀河系のはるか彼方にある広大な銀河の群、ヘルクレス銀河団の中心部をのぞいたのである。二万六千光年彼方の、銀河系をめぐる軌道に沿って移動している、重力的にかたまった約三十万個の星の群れ、M-13にも照準をしぼってみた。
・・・(中略)・・・
望遠鏡の何台かは、依然ヘルクレス座にむけられている。聞きのがしたデータがあったら、拾い直すためだ。残りの望遠鏡はすべて、その隣の天空領域、ヘルクレス座の東の星座にむけられている。いまから数千年前、東地中海に住んでいた人々の目に、その星座は絃(げん)を張った楽器のように見えたらしく、ギリシャ人のカルチャー・ヒーロー、オルフェウスと結びつけられた。その星座は"こと座"と呼ばれている。
・・・(中略)・・・
声が急にうすれて制御台に目が吸いよせられた。突然、警告灯が眩く点滅しはじめたのだ。"強度VS周波数"と記されたディスプレイ上で、垂直の棒線が急上昇しつつあった。
「おい、見ろよ、単色信号だぜ」
"強度VS時間"と記された、別のディスプレイでは、ひとまとまりのパルスが左から右に流れてスクリーンから消えている。
「これは数字だな」ウィリーが、かすれた声で言った。
(国内で流通している訳書よりの掻い摘まんでの引用部はここまでとする)
上記引用部に対するオンライン上より確認できるところのContact(1985)の原著版テキストも再度もってして下に挙げておく。
(直下、カール・セーガンCONTACT原著にあってのCHAPTER 4 Prime Numbers冒頭部よりの「再度の」引用をなすとして)
CHAPTER 4 Prime Numbers
Are there no Moravians in the Moon, that not a missionary has yet visited this poor pagan planet of ours to civilize civilization and Christianize Christendom?
-HERMAN MELVILLE White Jacket (1850)
Silence alone is great; all else is weakness.
-ALFRED DEVIGNY La Mort du Loup (1864)The duty officer entered the control area. He made a quick survey of dozens of television screens monitoring the progress of the radio search. They had just finished examining the constellation Hercules. They had peered into the heart of a great swarm of galaxies far beyond the Milky Way, the Hercules Cluster--a hundred million light-years away; they had tuned in on M-13, a swarm of 300,000 stars, give or take a few, gravitationally bound together, moving in orbit around the Milky Way Galaxy 26,000 light-years away;
[ . . . ]
A few of the telescopes, the duty officer could see, were devoted to picking up some missed data in Hercules. The remainder were aiming, boresighted, at an adjacent patch of sky, the next constellation east of Hercules. To people in the eastern Mediterranean a few thousand years ago, it had resembled a stringed musical instrument and was associated with the Greek culture hero Orpheus. It was a constellation named Lyra, the Lyre.
[ . . . ]
His voice trailed off as an alarm light flashed decorously on the console in front of them. On a display marked "Intensity vs. Frequency" a sharp vertical spike was rising."Hey, look, it's a monochromatic signal." Another display, labeled "Intensity vs. Time," showed a set of pulses moving left to right and then off the screen. "Those are numbers," Willie said faintly. "Somebody's broadcasting numbers."
(現行はオンライン上より確認なせるところの原著よりの引用部はここまでとしておく)
上にての掻い摘まんでの引用部(邦訳文庫版『コンタクト』上巻99ページから100ページ、103ページから105ページより引用したところ)は先立って掻い摘まんでそこよりの引用なしたところ(邦訳文庫版『コンタクト』上巻70ページから72ページより引用したところ)と同文に[Silence]に対するこだわりが垣間見れるとの按配のものである(沈黙のみが偉大である。他のすべては弱点にすぎない。――アルフレッド・ドヴィニー『狼の死』(一八六四)Silence alone is great; all else is weakness.-ALFRED DEVIGNY La Mort du Loup (1864)と記載されていることにそのことが垣間見れるとの按配のものである)。
先立って引用なしているように[サイレンス]と[サイレン]の掛け詞をカール・セーガンが『コンタクト』にて目立つように持ち出している(章にての冒頭部にて The cruelest lies are often told in silence.[もっとも残酷な嘘は、しばしば沈黙のうちに語られる]との『ジキルとハイド』でも有名な作家 Robert Stevensonの言を引いたうえでのこととしてそうした掛け詞 ―― Now the Sirens have a still more fatal weapon than their song, namely their silence... Someone might possibly have escaped from their singing; but from their silence, certainly never.「歌よりもおそろしいサイレンたちのもう一つの武器.それは沈黙・・・・・・彼女らの歌を逃れる者あろうともその沈黙から逃れうる者は一人としていない」とのフランツ・カフカ Franz Kafka作品に由来する掛け詞―― を持ち出している)ことに鑑みて、同じくも題句にて持ち出されているとの Silence alone is great; all else is weakness.[沈黙のみが偉大である。他のすべては弱点にすぎない』要するに、そこにも[サイレン]へのこだわりがあると見える。
(これまた先だっての解説をそのままなぞるように続けるが)そうした部にて
[外宇宙よりの電波探査計画](架空のアーガス計画というもの)
という小説『コンタクト』にて重きをなす計画が
「ヘラクレス座のM13界隈を調べて成果が得られなかった直後にその近傍の
[琴座方面] (作中にて(再度の引用をなすところとして)残りの望遠鏡はすべて、その隣の天空領域、ヘルクレス座の東の星座にむけられている。いまから数千年前、東地中海に住んでいた人々の目に、その星座は絃(げん)を張った楽器のように見えたらしく、ギリシャ人のカルチャー・ヒーロー、オルフェウスと結びつけられた。その星座は"こと座"と呼ばれている
(原著にては The remainder were aiming, boresighted, at an adjacent patch of sky, the next constellation east of Hercules. To people in the eastern Mediterranean a few thousand years ago, it had resembled a stringed musical instrument and was associated with the Greek culture hero Orpheus. It was a constellation named Lyra, the Lyre.
と表記されているところ) )
より電波を受信する」
とのかたちで急転直下の展開を見せだしたとのことが描かれているわけである。
(さらにもの再表記として:小さなことをくだくだと書くようだが、ここにて引用なしているのが章を隔てての[第三章]と[第四章]にあっての記載内容となることより
「離隔があるところから引用をなして、それがつながるように述べている.であるから、こじつけがましくもとれる」
と(一知半解といったかたちで)とらえる向きもあるかもしれない。
ゆえに書いておくが、[こじつけ]と見なされるような位置的離隔も内容的離隔もここでの関係性にまつわる話にはさして認められ「ない」とのことがある。
第一。小説Contact『コンタクト』原著は計24章からなるが ――ちなみに邦訳されての『コンタクト』(新潮社)文庫版上下巻では全三部に分かたれ、第一部は計九章、第二部は計九章、第三部は計六章との訳書特有の章の割り振りが(章のタイトルは原著そのままに)なされている―― 、そうもして24章からなる『コンタクト』にあっての第3章と第4章の前半部描写とのことであれば、紙幅にあっての離隔はさしてないこと、お分かりいただけるだろう。
第二。内容上の離隔もさしてないということがある。すなわち、[それまでなしのつぶてであった宇宙探査計画にまつわる一連の描写である][サイレンスとサイレンの関係を想起させるやりようが連続して第三章および第四章でとられている]、そういう意味で内容上の隔たりもない(それがゆえにこじつけがましい話をなしているわけでもない)ということがある)
再表記の部はここまでとする。
以上、紙幅にしてかなり前に遡りもするとの本稿の従前の段の内容を振り返りもしたうえで書くが、小説『コンタクト』(ブラックホールないしワームホールによるゲートの構築が作品主軸となっているとの作品)に先行するところとして世に出、
[[サイレン]と[ヘラクレス座M13]の結びつき]
が想起される作品となっている ―繰り返すが、現行、英文ウィキペディアの[M13(星雲)]項目にてもM13作品内言及作品として紹介されているように本編とはなんら関係ない、そして、意味不明ながらも印象深いとの式で
Every passing hour brings the Solar System forty-three thousand miles closer to Globular Cluster
M13 in Hercules . and still there are some misfits who insist that there is no such thing as progress.
「人類はヘラクレス座のM13星雲に日々近づいているのにも関わらず、それであるのに進歩がないと述べる非順応者が絶えない」との冒頭部題句から話が始まる― との、
The Sirens of Titan『タイタンの妖女』(原著1959年刊)
という小説(米国にあっての著名作家による著名小説)については次のことが述べられるようになっている。
・『ザ・サイレンズ・オブ・タイタン』こと『タイタンの妖女』は「時期的に不可解なかたちで ―際立っての先覚性を呈してのかたちで― 」ブラックホールの生成問題を想起させる「ような」ことに触れている作品となっている。
・上の点(・)に見るような『タイタンの妖女』ありようはその作者カート・ヴォネガットの他の作品「ら」からして[ブラックホール生成問題に対する先覚的言及作品としての要素]が見出せるために重みが伴ってくる。
・『タイタンの妖女』という作品は[同作と接合しての内容を有している作者カート・ヴォネガット他作品にての[911の事前言及]をなしているが如き側面]からそちら方面での奇怪性「もまた」観念されるとの作品となっている。
上記のことらについて「も」本稿にてのかなり遡っての段 ――[本稿出典(Source)紹介の部64から出典(Source)紹介の部64(10)、および、出典(Source)紹介の部65(3)から出典(Source)紹介の部65(15)を包摂する解説部にて同じくものことを詳説していたとの[補説1]の部―― にての内容をまとめて下に振り返り表記しておくこととする。
(本稿にての先の段でも問題視していたところの『タイタンの妖女』を含むカート・ヴォネガット作品らを巡る相関関係に関しての整理・再表記の部として)
・カート・ヴォネガットは『スラップステイック』という小説で[ロックフェラーに由来する双子]にして[ニューヨーク市にて生まれ、マンハッタンを住処としている存在]というキャクラター(ら)を登場させているが、そちら双子は「ロックフェラー関係者の影響を強くも受けて」建設されることになった「ニューヨークのマンハッタンの」ツインタワーのことを想起させる存在でもある(出典(Source)紹介の部64(3),出典(Source)紹介の部64(8))。
・そうした[ツインタワーを想起させるような双子]を登場させている小説『スラップスティック』では[ロックフェラーおよびマンハッタンと結びつく双子らの結合]が[(本来ならば非常に弱い力であるとされている)重力を世界的に増大させる挙動 ――建造物が倒壊する、馬などが圧死するとのかたちにて重力を世界的に増大させる挙動―― ]および[粒子加速器を介しての生死両界を結びつける作用]と『どうしてこのようなあらすじが』との塩梅にて結びつけられている(出典(Source)紹介の部64(2),出典(Source)紹介の部64(4),出典(Source)紹介の部64(5),出典(Source)紹介の部64(6))。そこより、[本来ならば弱い力であるはずの重力の世界的増大挙動]と[粒子加速器]を ――双子の結合との留め金となる要素でもって―― 結びつけるような粗筋を有している同小説の筋立てより(『スラップスティック』(1976)が登場したよりも「後の日にて」)問題視されだした粒子加速器によるブラックホール生成可能性のことが想起されるもする。
・小説『スラップスティック』では[双子の結合による天才的閃きによってもたらされた重力理論の深化]が[そちら理論を隠しカメラで窃用したとの中国]による[立ってもいられなくなるほどに、建物を倒壊させるほどに、馬の臓器が馬を殺すほどに垂れさがらせるほどに、といった按配の地球規模での重力の増大をなさしめる手法]の開発を促したらしいとの書きようがなされているが(無論、そこからして「どうしてそのようなあらすじが?」とのものである)、同じくもの作中内でそうした重力増大メカニズムの開発元らしいとされている国、中国の住人たる中国人につき[小型化するべくもの品種改良を自分たちに施していた人間ら]との描写がなされ、結果、中国人らが極微化したためにグリーン・デスこと[緑死病]、アレルゲンとしての不可視の中国人を吸い込んで死に至るとの疫病が猖獗(しょうけつ)を極めているとのことが判明した、加速器遺構によっての双子の生死両界を挟んでの再結合プロセスによって判明したなどとの粗筋設定が採用されている(出典(Source)紹介の部64(7))。ここで[人間の極微化とのリサイズ]は質量を圧縮してのブラックホールの特色ともかぶる節があり、それが[地球規模の重力増大の原因(双子の発生を利用しての原因)]と作中にて臭わされている中国人と結び付けられているとのことはグリーン・デス(緑死病)という名称からペストにまつわる歴史的呼称ブラック・デス(黒死病.全身が真っ黒になって死ぬ病)のことが想起されることとあわさって[奇怪]である。といったことが黒い穴、[ブラックホールを想起させてのわざとの挙動]と解すれば、間尺が合うが、だが、小説『スラップスティック』刊行の往時(1976年)にあっては(繰り返すが)まだ加速器によるブラックホール生成可能性が専門家にすらまったくもって取り沙汰されていなかった ――[1998年に初出の新規理論(ADDモデル)が登場するまで理論的に取り沙汰される余地がなかった]との物言いがブラックホール生成可能性が問題視されるようになったとここ十数年の論法として科学界にて持ち出されている―― とされることがある。
(本稿の先だっての段で呈示していた図解部の「再度の」呈示として)
上掲図の上の段は英文Wikipedia[ Black Death ]項目にて掲載されている画像、著作権の縛り無きこと、現行、明示されている画像を挙げたものとなる(それら上の段の図らにあっての左側の方は14世紀英国にて編纂された百科事典 Omne Bonum掲載の中世にてのペスト罹患者らを描いたとの図葉、右側の方はペスト罹患者の[進行ペスト壊死症状]を写し撮ったとの写真となる)。それら図らに見るようにペストに冒されると
[全身が黒色を帯びて死地を歩む]
ことになる(:同じくものことについては英文Wikipedia[ Black Death ]項目にて(現行記載内容を引用するところとして)[ Swedish and Danish chronicles of the 17th century described the events as "black" for the first time, not to describe the late-stage sign of the disease, in which the sufferer's skin would
blacken due to subepidermal hemorrhages and the extremities would darken
with a form of gangrene, acral necrosis, but more likely to refer to black in the sense of glum or dreadful and
to denote the terror and gloom of the events. ]
(訳として)「17世紀にてのスウェーデンおよびオランダの年代記にあってはペストの猖獗それ自体をもってして初めて[黒]との言葉と結びつけたのだが、それについては[病の後期段階にて罹患者表皮が皮下出血のために暗色を呈し、罹患者四肢が壊疽とのかたちで(黒色を呈して)壊死していくとのありよう]について言及したというよりもむしろ悪疫猖獗に対する恐怖・陰鬱さとの意味合い、消沈ないし恐れを示すとの心中でもって[黒]との言葉を使った節がある」(引用部訳はここまでとする)と表記され、他面、和文ウィキペディア[ペスト]項目にての[ペスト敗血症]の節にて、多少、英文ウィキペディアと内容を異にしながらも、(原文引用するところとして)ペスト菌が血液によって全身にまわり敗血症を起こすと、皮膚のあちこちに出血斑ができて、全身が黒いあざだらけになって死亡する。ペストのことを黒死病と呼ぶのはこのことに由来する
(引用部はここまでとする)と表記されているようなところともなる)。
上掲図にあっての下段の[英文テキスト原文引用による関係性摘示部]の方については本稿のここまでの流れを把握しているとの向きには説明不要のことか、とは思うが、カート・ヴォネガット小説『スラップスティック』に(黒死病ことブラック・デスをもじっての)グリーン・デスこと[緑死病]なる架空の病が登場し、そちらが[小型化した(マイクロスコプティック、視認不可能なまでに小型化した)中国人が吸引されて彼らが吸引者の肺に悪影響を及ぼして死に至らしめる病気である]と説明されていること(そうもした奇異なる説明に至るまでのプロセスとしてこれまた奇異なることに【死別した双子らの加速器遺構を介しての生死両界をまたいでの再結合によってそうもした説明がもたらされた】などとの作中設定が採用されてもいる)、また、その[緑死病]の原因たる中国が作中世界にて[世界規模で重力を増大させる機構]を開発した国家であるらしいと描写されているとのこと、それらのことにまつわる原著記述を引用なしてのものとなる(:ポイントは[超コンパクトな存在へと国民を圧縮した国家]が[ブラック・デス]をもじっての[グリーン・デス]の原因となっている存在にして、なおかつ、[世界規模の重力増大をもたらしたらしい存在]と描写されていること(そちら描写には加速器遺構を介しての双子の再結合が関わる)、そのことに加速器と重力の増大を結びつけている小説にあっての【加速器による重力の怪物たるブラックホール ――膨大な質量を極小の点に圧縮しての「ブラック」ホール―― の生成問題】に対する先覚的言及がさらに見出せるように感じられるとのこと、そして、(続く段にて本稿冒頭部を振り返っての表記もなす所存であるところとして)、「奇怪なことに、」カート・ヴォネガットがSlapstickを世に出した1976年という折には加速器によるブラックホール生成リスクのことなどなんら取り上げられて「いなかった」し、そのような着想が想起されるところではなかったと判断できるようになっていることである)。
・[ツインタワーを想起させるような双子]を登場させている小説『スラップスティック』で[双子の結合]が[重力増大をきたす挙動]および[粒子加速器]と「どうしてこのようなあらすじが?」との塩梅にて結びつくようになっていると先述したが、[ツイン(双子)]と[2001年9月11日を示す数値列]と重層的に結びつく[[ブラックホール]および[通過可能なワームホール]につき扱った「1994年初出」著作]が存在していることもあわせて問題になる](:小説『スラップスティック』が刊行されてよりかなり後に世に出たキップ・ソーン著作、 BLACK HOLES & TIME WARP Einstein's Outrageous Legacy『ブラックホールと時空の歪み アインシュタインのとんでもない遺産』(訳書は白揚社)との内容を問題視してのことである。具体的には出典(Source)紹介の部28から出典(Source)紹介の部33-2を包摂する一連の解説部にて『ブラックホールと時空の歪み アインシュタインのとんでもない遺産』という書がいかようにして[「双子の」パラドックス(1「911」年提唱)の機序の利用による二点間時差の応用]/[91101(米国にての日付け表記上、911の事件が発生した2001年9月11日と同文になる9/11/01と同じくもの数値列)との郵便番号(ZIPコード)ではじまる地パサデナを時空間(時間軸・空間軸)にての[始点]に置いてのタイムワープにまつわる設定の付与][同じくもの地パサデナで疾走させた爆竹付き自動車にまつわる思考実験による[双子のパラドックス]にまつわる説明の付与]/[[2000年9月11日]⇒[2001年9月11日]と通ずる[日時表記]の使用]/[他の関連書籍を介しての「ブラックホール⇔グラウンド・ゼロ」との対応図式の介在]といった複合的要素を[一例としての思考実験]にまつわるところで「同時に」具現化させ、もって、[双子の塔が崩された911の事件]の前言と解されることをなしているのかについて(筆者の主観など問題にならぬ客観情報にまつわるところとして)解説を講じている)。
・以上のような面で多重的に粒子加速器を巡るブラックホール生成問題と「これ奇怪に」結びつくとの小説『スラップスティック』をものした[文豪]として認知されていた(出典(Source)紹介の部64)ところのカート・ヴォネガットだが、同男による別小説として Cat's Cradle『猫のゆりかご』(1963)という他の作品が存在しており、同小説より派生した言葉(アイス・ナイン)が[ブラックホール生成と並ぶ加速器による世界崩壊関連リスク(ストレンジレット生成)]と ―際立っての科学者申しよう・実験機関報告書内容に関わるところとして― 結び付けられているとの背景がある(出典(Source)紹介の部65にて解説のいわゆるIce-nineを巡る関係性)。
・カート・ヴォネガットはその作家人生にあっての前半期、小説『タイタンの妖女』(1959)をものしており、同小説内では[人類育種の究極目標はまるぽち(・マーク)にすぎない]との設定が採用されている(「人類文明は外宇宙文明によって育成されたものであるものの、その文明の目的が[[まるぽち(・マーク)ひとつよりなる親書の送達]の役割を担っていたものの故障して土星の衛星タイタンに逗留していた宇宙船に対する代替部品の供給を人類になさしめる]との一事に尽きるとのものであった」などとの描写がなされている、「まるぽち(・マーク)は異星語で「よろしく」との意味である」などとのおちゃらけた解説と共になされているとの格好となっている)。 その点、フィクションから現実世界の科学理論に視点を変えれば、地球をブラックホールに圧縮しても1㎝にしかならぬということが科学的知見として呈示されているとのことが気がかりなところとしてある(出典(Source)紹介の部65(3))。
・上記のヴォネガットの『タイタンの妖女』という小説作品では[時間等曲率漏斗]なるもの、[入ったものを波動存在に変換するらせん状の時空間のゆがみ]とのものが登場してくるが、その[時間等曲率漏斗]の終点は赤色巨星ベテルギウスであるとされている。そのベテルギウスがガンマ線バースト現象を起こし、地球生命に対して存亡の危機を及ぼす可能性があるとのこと、また、それに付随してベテルギウスがブラックホール化するとの観点が呈示されたとのことがあるのだが、ベテルギウス・ブラックホール化の観点は(ガンマ線バースト現象に対する発見さえ『タイタンの妖女』刊行時たる1959年にはなされていなかったため)『タイタンの妖女』が刊行された折柄には目につくかたちで着目されていなかったところと解される。にも関わらず、ヴォネガットは『タイタンの妖女』で ――時空間の歪みの終点として―― ベテルギウスを印象深くも用いている(出典(Source)紹介の部65(4))。
・『タイタンの妖女』(911の事件がその[功業]と結び付けてられていると問題視しているところのヘラクレスにまつわる序言をM13球状星団との兼ね合いで冒頭部にて別個になしているとの小説)はヴォネガットの他作品、『タイムクエイク』の中に登場する作中内小説『B-36の三姉妹』と結びつく側面がある(双方とも時空間の歪みが重んじられる作品にて三人一対の女がモチーフとされている)。その『B-36の三姉妹』にまつわる『タイムクエイク』内にての登場の仕方に[911の事件の前言]としての色彩を見て取れるようになっている、具体的には[グラウンド・ゼロという言葉の由来となっている爆心地]を原爆投下地としての広島と長崎に現出しもした爆撃機(B-29)と同爆撃機と原子力でつながりもする別の爆撃機(B36)を一緒くたに小説内作中小説らの主題として描き、そこに[29][36][119]との数値規則が見出せるようになりもしているとのことがありもし(「2+9=11」(原爆投下機体B-29)「3+6=9」(米国原子炉搭載飛行機B-36)「「11」「9」」(ソ連版B-36とも言うべき原子炉搭載飛行機Tu-119)との関係性が見出せるようになっており、それゆえ、911との数値規則との接合性が見てとれるとのことがあり)、かつまた、同じくものところに(小説リリース時より数年先にあたる未来の)[2001年夏開催のベイクドパーティなるもの]と[第一次湾岸戦争を露骨に想起させる日付を起算点としての一連の出来事の繰り返しの発生]との結びつけもが見出せるようになっている ―先の911の事件については(日本の暦の上では秋だが)米国基準に見て2001年夏に発生した多くの焼死を伴った事件とも言えもし、またもって、第一次湾岸戦争を再演するが如しの出来事が結果、発生した事件とも述べられるようところがあるために予見性が問題になる― とのことがある(出典(Source)紹介の部65(12)から出典(Source)紹介の部65(15))。
・カート・ヴォネガット The Sirens of Titan『タイタンの妖女』(1959)という作品は、また、と同時に、アーサー・クラークの 2001: A Space Odyssey『2001年宇宙の旅』小説版(1968)とも複合的類似要素でもって結びついている作品となる(1.両作共々、[土星]界隈を最終目的地点としているとの宇宙の旅が描かれる作品である(ただし「映画版の」『2001年宇宙の旅』の方の目的地は木星となる)/2.両作品共々、ギリシャ叙事詩『オデュッセイア』(ΟΔΥΣΣΕΙΑ)の顕著な影響下にある作品である/3.両作品共々[養殖されるように育てられた人類文明・造られた歴史の背後に控える目的意識]とのことを作中テーマしている作品である/4.両作品共々、[[生身の人間から時間と空間を超越するに至った超人]が[外宇宙星系由来の存在]と協働している]との[実にもって特異なる筋立て]をメインテーマとして含む作品であるの1.から4.の点らを介しての結びつきについて先だって詳述なしてきたとの経緯がある)。 そして、アーサー・クラークの『2001年宇宙の旅』の方については ―物理学者のような識見蔵した向きの言い分を引いたところとして― その作中にあっての[スター・チャイルド(なるもの)へと選ばれた男が進化していくプロセス]がブラックホール Black Holeを想起させる描写と結びつけられているとの指摘を伴っているとの小説作品となっている。だけではない。アーサー・クラークの『2001年宇宙の旅』はそうも[ブラックホールと相通ずるとの指摘がなされるが如く作品]となっていると指摘される(そちら典拠はポール・ハルパーン Paul Halpernという物理学者の手になる Cosmic Wormholes: The Search for Interstellar Shortcuts(邦題)『タイムマシン ――ワームホールで時間旅行―― 』との書籍の記載内容を引用するとのかたちで挙げもしていたとのところである)のみならず[911の予見的言及]「とも」通じている、作者アーサー・クラークやりようを介して[911の予見的言及]「とも」通じているとの作品となっている([911の予見的言及ありよう]にまつわっては「かなり後の段にて典拠を紹介する」と先に申し述べもしていたところだが、本段にあってはまだそちら典拠を挙げていない ――であるから本稿の後半部の内容までを読み解いていただきたいものである―― )。
The Sirens of Titan→1959 A
2001: A Space Odyssey→1968 B
1.Mission to Saturn([Mission to Titan(Saturn's Satellite) seen in 1959 A]⇔[Mission to Saturn seen in 1968 B ]
2.[Oddyssey(Greek:ΟΔΥΣΣΕΙΑ)] Metaphor ([1959 A:Sirens] ⇔ [ 1968 B: Cyclops Eyes and Red Emergency vehicle lighting(→Siren( Alarm System )) image of HAL 9000])
3.Theme related with the overall purpose of human history
4.Superhuman free from Time & Space (["wave phenomena" Rumford seen in 1959 A] ⇔ ["Star Child" Bowman seen in 1968 B ] )
(ヴォネガット作品を巡り本稿にあっての先の段(補説1の部)にて述べてきたことを振り返っての部はここまでとする)
直近振り返りなしての部の内容も加味してとらえれば、大体、述べたきことは理解いただけようかと思うが、
[カート・ヴォネガット『タイタンの妖女』とカール・セーガン『コンタクト』の両作品の接合関係(人によっては微々たるところととらえるであろうもの、[[サイレン]と[ヘラクレス座のM13]]を通じての接点)]
について
[911(への予告的言及)との結節点]
[ブラックホール生成問題との結節点]
との兼ね合い「でも」問題になることであろうとの訴求をなしてきたのが本稿の従前内容である。
他面、カール・セーガンの『コンタクト』という作品がいかようにして小説作品『ジ・イルミナタス・トリロジー』および科学読み物との体裁をとる『ブラックホールと時空の歪み アインシュタインのとんでもない遺産』の両文物(に見る予見的言及)との結びつきを介して
[911(への予告的言及)との結節点]
[ブラックホール生成問題との結節点]
との特性を同文に複合的に帯びている作品であると述べられるか(正確には奇怪なことにそのように述べられるように「なってしまっている」のか)についてはつい最前の段に至るまでの本稿ここまでの段にて仔細に解説を講じてきたところである。
以上のこと、述べたうえで申し述べるが、カール・セーガン『コンタクト』と[ヘラクレス座のM13]および[サイレン]への意識誘導との観点で結びつくカート・ヴォネガット『タイタンの妖女』という作品、その原題ザ・サイレンズ・オブ・タイタンに見るサイレンズとは
[トロイアを木製の馬の計略で滅ぼしたオデュッセウスをその苦難の冒険の渦中にて惑わした人面鳥身の怪物サイレン(セイレーン)]
と通ずる語である(そちら怪物サイレンの語句の使用 ―[妖婦]とのニュアンスでのサイレンの使用― を介して[トロイア崩壊の物語に引導の渡し手として登場してくる男](オデュッセウス)の物語と題名からして結びつく小説作品『ザ・サイレンズ・オブ・タイタン』がカール・セーガンの『コンタクト』と[ヘラクレス座のM13]を介して結びついているとのことは(誤解を恐れずにはきと述べ)[奇怪なこと]かつ[危険なこと]であると言えるだけの事情がある)。
本稿こここれに至るまでの流れにて何度も述べているように
[トロイア崩壊]
は
[[サイレン]の声に「後の日に」惑ったオデュッセウスがその前日譚の中で考案したと描写される木製の馬の計略]
によってもたらされたと伝わるわけだが、そも、その崩壊、[住民らこぞっての外患誘致による内破(大量殺戮)]とのかたちでの崩壊の帰結につながった[トロイア攻囲戦]が発生した原因は[黄金の林檎]にあるとされるとのことがある(本稿の先の段 ――出典(Source)紹介の部39―― で詳しくも紹介していることである)。
その点に関しては、
[[黄金の林檎]というものが[ヘラクレス第11功業にあって巨人アトラスがその在処を知るものとして登場してきたもの ――出典(Source)紹介の部39―― ]となっていること](本稿でくどくも何度も指摘してきたとのこと)
との絡みで「さらにもって」問題になるとのことがある (:[黄金の林檎とブラックホール生成に通ずると指摘されるに至った加速器実験の結びつき][黄金の林檎と911の事件の予見的文物の結びつき]が複数文物らに多重・多層的にみとめられ、かつまた、それら結びつきの環の中に[欧州にて最も著名な部類に入る古典ら(ダンテ『地獄篇』・ミルトン『失楽園』ら)の際立っての特性]や[聖書における記述内容とギリシャ古典の記号論的つながりあい]や[ギリシャ古典と再発見されたシュメール古典の聖書文言にも関わる[黒海洪水仮説][黒海洪水伝承]を介してのつながりあい]らが複層的に結合しているとのそのありさまもが見てとれる、そして、その悪質極まりない関係性の環の中でキー(鍵)となっているのが[今日の物理学でブラックホールと呼ばれるようになった時空間の法則が破綻する重力の化け物]となりもしている、人間のいざなわれる末期を嘲笑うようにそうもなりもしているとのことを委曲尽くして、ただひたすらに具体的典拠に基づいて、指し示さんとしてきたのが本稿ここまでの内容である....、そのように「黄金の林檎の絡みで問題になるとのことは「山積」しもしている」と申し述べもするところなのだが、ここでは同じくものゴールデン・アップルにまつわって[さらに問題になる]とのことを指摘せんとしている)。
同じくもの伝での黄金の林檎の位置づけがカート・ヴォネガット『タイタンの妖女』(1959)およびカール・セーガン『コンタクト』(1985)の間の関係性 ――[サイレン(再述するが、トロイアに木製の馬の計略で引導を渡したオデュッセウスをギリシャ自領への帰路、苦しめた怪物)]と[ヘラクレス座M13]を介しての関係性―― とも結合していると申し述べられるようになっているとのことがあるのである。
どういうことか。
その点については
[[オデュッセウスが際会しもしたサイレンによる災難]というものからして[アトランティス](アトラスという名称と結びつく古の陸塊)および[黄金の林檎]と関わっている]
とのことが取り上げるべくこととしてある(ために、以降、その点について従前内容を振り返りながらもの解説を講じていくこととする)。
[アトランティス]と[サイレンの災厄]の関係性についての解説として
オデュッセウスはトロイア攻めの帰途、妖異サイレン(の魔声による暗礁乗り上げ・一同遭難死の危難)に際会することになったのだが、サイレンの難所をなんとか越えた直後、[渦潮の怪物カリュブディス]と[美しい女と獰猛な犬らの混淆形の怪物スキュラ]による災難に次いで遭遇、そして、結果的に渦潮の怪物カリュブディスにオデュッセウスを除いての船旅の同道者ら全員が呑み込まれて殺されることになるとの運びとなった(とオデュッセウスの苦難の旅を唄ったものであるホメロスの叙事詩『オデュッセイア』には記されている)。
それら災厄、
[サイレンの災厄][渦潮の怪物カリュブディスの災厄][スキュラの災厄]
はワンセットのものといった按配となっている(下にての典拠紹介部を参照のこと)。
ここ出典(Source)紹介の部82にあっては
[サイレンの災厄][渦潮の怪物カリュブディスの災厄][スキュラの災厄]
がワンセットになっているとのこと(本稿の先だっての段でも取り扱っていたとのこと)について新たに付け加えての出典を挙げる(そして、それをもってして訴求の用とする)とのこと、なしておきたい。
その点、本稿にての出典(Source)紹介の部65(2)では下の通りの引用をなしていた。
(直下、岩波文庫版『ギリシャ神話』(アポロドーロス著『ビブリオテーケー』の訳書)にあってのオデュッセウスが魔女キルケーの元から出立してのすぐ後のことにまつわる言い伝えを解説しているとの部、p.205からp.206よりの再度の引用をなすとして)
キルケーの所に来て、彼女に送られて海に出て、セイレーンの島を通過した。セイレーンはアケローオスとムーサの一人たるメルポメネーの娘で、ペイシノエー、アグラオペー、テルクシエペイアであった。この中の一人は竪琴を断じ、一人は唄い、一人は笛を吹き、これによってそこを航し過ぎる船人を留まるように説かんとしたのである。太腿(ふともも)から下は彼女らは鳥の姿をしていた。これを過ぎる時、オデュセウスはその歌を聞こうと欲して、キルケーの教えにより仲間の耳を蝋(ろう)で塞いだが、自分自身はマストに縛りつけるように命じた。そしてセイレーンたちによって留まるように説かれ、縛めを解いてくれるように頼んだが、仲間の者はなおさら彼を縛り、かくして航し過ぎた。セイレーンは、もし船が航し過ぎることがあれば死ぬという予言があった。かくして彼女らは死んだ。
(引用部はここまでとする)
以上引用部の直後に続く流れとして(「付け加えても、」の同じくもの出典からの引用をなすとして)次のような事後経緯描写がギリシャ神話には認められる(とのことをここ出典紹介部初出のこととして挙げておく)。
(直下、岩波文庫版『ギリシャ神話』(アポロドーロス著)にてのオデュッセウスが魔女キルケーの元から出立してのすぐ後のことにまつわる言い伝えを解説しているとのp.206よりの引用をなすとして)
(セイレーンは、もし船が航し過ぎることがあれば死ぬという予言があった。かくして彼女らは死んだ)。この後二つの道に来た。一方には漂い岩が一方には巨大な断崖があった。その中に一つに、クラタイイスとトリエーノスまたはポルコスの娘で、その顔と胸は女で、その脇腹より犬の六頭十二足が生えているスキュラがいた。一方の断崖にはカリュブディスがいて、彼女は一日に三度水を吸い込み再び放出するのである。キルケーの教えにより「漂い」岩の航路を避けて、スキュラの断崖を過ぎて航して際に、艫(ろ)に武装して立った。しかしスキュラが現われ、六人の仲間を掠って彼らを食い尽くした。そこより太陽神(ヘーリオス)の島トリーナキアーに来た。そこで牡牛が草を食っていたが、彼は風に止められてそこに留まった。しかし仲間の者が食物に窮して牡牛の中の幾頭かを屠殺して宴を張った時に、太陽神(ヘーリオス)はこれをゼウスに知らせた。そしてゼウスは海に出た彼を雷霆で撃った。船が壊れ、オデュセウスはマストにしがみついてカリュブディスへと来た。カリュブディスがマストを飲み込んだ時に、頭上に懸(かか)って生えていた野生の無花果をつかんで待っていた。そしてマストが再び投げ上げられたのを見た時に、この上に飛び降り、オーギュギアー島へ運ばれていった。そこでアトラースの娘カリュプソーが彼を迎え入れ、床をともにして、一子ラティーノスを生んだ。
(引用部はここまでとする)
(出典(Source)紹介の部82はここまでとする)
上に見るように(途中に太陽神の島にて同道者、船旅のクルーらが神聖な牛を食したがゆえに神罰を食らったというプロセスが合間にあったうえでも)[サイレン]と[スキュラ]と[カリュブディス(渦潮)]の各存在に由来する災厄はホメロス叙事詩『オデュッセイア』に見るオデュッセウス流浪譚にて一気通貫とした流れにて描かれる災厄となっている。
(:については本稿にての出典(Source)紹介の部44-2にあって、 Project Gutenbergのサイトにて公開されているホメロス叙事詩『オデュッセイア』の近代英訳版 THE ODYSSEY OF HOMER Translated by William Cowper(訳者の同 William Cowperは18世紀活躍の英国の文人となる)よりの第12巻の要約の部 ―表記の英文テキスト入力で誰でもオンライン上より特定できるところ― より既に引用なしていたところとして) BOOK XII ARGUMENT Ulysses, pursuing his narrative, relates his return from
the shades to Circe’s island, the precautions given him by that Goddess,
his escape from the Sirens, and from Scylla and Charybdis; his arrival
in Sicily, where his companions, having slain and eaten the oxen of the
Sun, are afterward shipwrecked and lost; and concludes the whole with an
account of his arrival, alone, on the mast of his vessel, at the island
of Calypso.
(補ってもの訳として)「[12巻要約] ユリシーズは(パイアキス人に対して)彼の物語を続け、[影らの領域](注:第11巻の舞台となる影と化しての死者らの領域)から[魔女キルケの島]への帰還へとつなげ、さらに、(キルケによってなされた)事前警告、そして、[サイレンら]の魔手よりの逃亡、[スキュラ]および[カリュブディス]よりの逃亡、[シシリア島に到達、そこで彼の船旅の同道者らが太陽神の牛を屠殺・食したがために(神罰によって)後に座礁・消失の憂き目を見たこと]へと話をつないでいき、そして、カリュプソの島に彼の船のマストにつかまってたった一人到達したことを結論として語った」との記述を引いていたところでもある)
さて、以上のような通貫した流れの中にあって渦潮の怪物カリュブディスによってクルーを全て失ったオデュッセウスはカリュプソの島、オーギュギア島に漂着するのであるが、そのオーギュギア島、「これまた先述のように」かのアイザック・ニュートンらを含む欧州の識者層に
[アトランティス候補地]
とされてきたような場所である(:下にての振り返っての表記を参照のこと/尚、語るに足るとの向きにはお分かりいただけることか、と思うが、ここで問題としているのは実際にオーギュギア島なる地所がアトランティスと看做されるような実体を伴った存在であるかなどとのことではない、そのようなことはどうでもいいことである ――元よりアトランティス自体が伝説上の存在、霞(かすみ)の中の茫漠とした幻のような存在であり、その実在問題について云々するのは好事家らの意味なき道楽上の話柄にすぎない(と筆者はとらえているし、世間でもそう見られているところであろうかと思う)―― )。
(再度振り返っての表記として)
ここに[オーギュギアー島](サイレンらに起因する一群の災厄に際会した後、オデュッセウスがいざなわれたとの島)が[アトラスの娘の島]にして[古の陸塊アトランティス]と考えられていたことの出典を(出典(Source)紹介の部43にて挙げたところと同文のこととして)再度引いておく。
(直下、現行の英文Wikipediaにあっての[ Isaac Newton's occult studies ]([アイザック・ニュートンのオカルト研究])項目に見受けられるところの記載の再度の引用をなすとして)
Newton's Atlantis
Found within The Chronology of Ancient Kingdoms, are several passages that directly mention the mythical land of Atlantis. The first such passage is part of his Short Chronical which indicates his belief that Homer's Ulysses left the island of Ogygia in 896 BC. In Greek mythology, Ogygia was home to Calypso, the daughter of Atlas (after whom Atlantis was named). Some scholars have suggested that Ogygia and Atlantis are locationally connected, or possibly the same island.
(補ってもの訳として)
「ニュートンのアトランティス : ニュートンが遺した『古代王国年代記』に見受けられるところとしていくつかの文章が直接的に神秘的存在としての大陸であるアトランティスの地への言及をなしているとのことがある。彼のそのような言及箇所にての最初のものは(ニュートン著作 The Chronology of Ancient Kingdoms『古代王国年代記』にあっての前半部に認められるとの) Short Chronicalにあって見受けられるところ、ホメロス叙事詩に見るユリシーズ (訳注:ユリシーズとはオデュッセウスのことを指すのだが、トロイアを木製の馬の計略で滅ぼしたオデュッセウスのラテン語:Ulixes(ウリクセス)あるいはラテン語:Ulysseus(ウリュッセウス)との表記がそちらUlyssesへと転じているとのものである) が紀元前896年にオギューギアを去ったとの部の記述である。オギューギアは[アトランティスがそちら巨人より命名されたとのアトラスの娘たるカリプソ]が住まっていた島だった。 幾人かの学者らは(ニュートンがそのように見ていたように) オーギュギアー島およびアトランティスは位置的に連続性がある、あるいは、ありうべきところとして同様の島であるとの提案をなしている」
(訳を付しての引用部はここまでとする)
上のようなことと対応するところとして Project Gutenbergにて公開されているアイザック・ニュートンの手になる The Chronology of Ancient Kingdomsそれそのものの記載も再度引いておく
(直下、 Project Gutenbergサイトよりダウンロードできるとの The Chronology of Ancient Kingdomsにあっての The Times are set down in years before Christと付された節にてのニュートン流の編年史にあっての出来事総覧目録よりの再度の引用をなすとして)
896. Ulysses leaves Calypso in the Island Ogygie ( perhaps Cadis or Cales.) She was the daughter of Atlas, according to Homer. The ancients at length feigned that this Island, (which from Atlas they called Atlantis) had been as big as all Europe, Africa and Asia, but was sunk into the Sea.
「紀元前896年 ユリシーズがオーギュギアー島(カディスないしカレスでありうる)のカリュプソのもとから去る。彼女カリュプソはホメロスによれば、アトラスの娘ということになる。古代人らは詳細にまつわるところでこの島(アイランド・オーギュギアー)をもってアトラスの名から彼らがアトランティスと呼称した島、[大きさにしてヨーロッパ・アフリカ・アジアをあわせたのに匹敵するも海に沈んだ島]であるように見せようとのことをなしていた」
(訳を付しての引用部はここまでとする)
以上のような視点に連なるところとして英文Wikipedia[Ogygia]項目(カリュプソの島[オーギュギアー島]にまつわる英文解説項目)には
(現行にての記載内容を原文引用するところとして) W. Hamilton indicated the similarities of Plutarch's account on "the
great continent" and Plato's location of Atlantis in Timaeus 24E ―
25A. Kepler in his Kepleri Astronomi Opera Omnia estimated that “the great continent”
was America and attempted to locate Ogygia and the surrounding islands.
(拙訳として)「ウィリアム・ハミルトンはプルタルコスの[大いなる大陸]とプラトンの『ティマイオス』24Eから25Aに認められるアトランティスの近似性を同定していた。
ヨハネス・ケプラーは彼の Kepleri Astronomi Opera Omniaにて[大いなる大陸]とはアメリカのことを指すととらえ、オーギュギアー島およびその周囲の島々をその場と一致させんとしていた」
との表記がなされてもいる。
直近、振り返り・繰り返しての表記をなしたこと、
[オデュッセウスが渦潮の怪物カリュブディスに呑まれた後に辿り着いた女神カリュプソの島が[アトランティス]と見られる素地があったとのこと]
に加えて、 ――同じくも本稿の先の段で問題視していたことだが―― 女神カリュプソ自体がアトランティスとの呼称と結びつく[巨人アトラスの娘]であるとのこともまたある。すなわち、カリュプソを含む巨人アトラスの一群の娘ら、言い換えれば、ヘラクレスの第11功業にて黄金の林檎の在処を知る巨人として登場してくる巨人アトラスの一群の娘らが[アトランティス(複数形はAtlantides)]との呼称と結びつくと「広くも」言われてきたとのこともがある(本稿にての出典(Source)紹介の部41を参照のこと)。
その[[アトラスの娘]としてのアトランティス]に[黄金の林檎]を管理管掌する[ヘスペリデスら]が含まれているとの言いようもまたもってなされ、さらには、そのヘスペリデスが管理管掌している西の果てにあるとの言い伝えの伝がなされている[黄金の林檎の園]そのものが[[古代に沈んだ陸塊]としてのアトランティス]と結びついているとの物言いがなされているとのこと「も」がある(本稿にての出典(Source)紹介の部41を包摂する解説部を参照のこと)。
整理すれば、である。
[ヘスペリデスの果樹園(黄金の林檎の園)]←→[アトランティス]←→[アトラスの娘たるカリュプソの島]←→[サイレンの災厄、それに続くスキュラとカリュブディスの災厄との一気通貫とした流れを経てオデュッセウスが漂着した島]
との関係性が成立していることになる。
そして、そちら関係性については
[トロイアが滅することになったのは[黄金の林檎]が元凶であるとの言い伝えの伝が存すること]
[サイレンの災厄に際会したオデュッセウスが(黄金の林檎にてはじまったトロイア戦争にて)[木製の馬の計略]でトロイアに引導を渡した謀将であること]
らが重みを増さしめるように接合しているとのことがある(※)。
(※またもって述べれば、黄金の林檎にてはじまったトロイア戦争の開戦プロセスそれ自体にも(後にてトロイアに木製の馬の計略で引導を渡した、そして、叙事詩『オデュッセイア』にてサイレンらと際会しながらものその漂流・漂白の過程が延々語られるとの)武将オデュッセウスが関与しているとのこともがある。 については本稿の出典(Source)紹介の部39にて THE AGE OF FABLE(1世紀以上にわたって[米国人の神話理解のための標準書]となっていたとされるトマス・ブルフィンチ(日本でもその騎士道ロマンスにまつわる書籍らが岩波書店などから翻訳・刊行されているとの19世紀米国の代表的文人 Thomas Bulfinch)の手になる書)から引用したとの次の記述からも理解できるようになっている。
→(以下、 THE AGE OF FABLEよりの再度の引用をなすとして)
Minerva was the goddess of wisdom, but on one occasion she did a very
foolish thing; she entered into competition with Juno and Venus for the
prize of beauty. It happened thus: At the nuptials of Peleus and Thetis
all the gods were invited with the exception of Eris, or Discord. Enraged
at her exclusion, the goddess threw a golden apple among the guests, with
the inscription, "For the fairest." Thereupon Juno, Venus, and
Minerva each claimed the apple. Jupiter, not willing to decide in so delicate
a matter, sent the goddesses to Mount Ida, where the beautiful shepherd
Paris was tending his flocks, and to him was committed the decision. The goddesses accordingly appeared before him. Juno promised him power
and riches, Minerva glory and renown in war, and Venus the fairest of women
for his wife, each attempting to bias his decision in her own favor. Paris decided in favor of Venus and gave her the golden apple, thus making the two other goddesses his enemies. Under the protection of Venus, Paris sailed to Greece, and was hospitably received by Menelaus, king of Sparta. Now Helen, the wife of Menelaus, was the very woman whom Venus had destined for Paris, the fairest of her sex. She had been sought as a bride by numerous suitors, and before her decision
was made known, they all, at the suggestion of Ulysses, one of their number,
took an oath that they would defend her from all injury and avenge her
cause if necessary. She chose Menelaus, and was living with him happily
when Paris became their guest. Paris, aided by Venus, persuaded her to
elope with him, and carried her to Troy,
(上の再度の引用部に対する補ってもの拙訳として)
「ミネルバ(ギリシャの女神アテナのローマ呼称)は智惠の女神でもあったわけだが、ある機会にて彼女はユーノー(ギリシャの女神ヘラのローマ呼称)、そして、ヴィーナス(ギリシャの女神アフロディテのローマ呼称)との美人競争に参加するとのとてつもない愚行をなした。
それはこのように起こったことである。
[ペレウスとテティスの婚礼の儀の折、その場には不和の女神たるエリス以外の全ての神々が招かれた。自身の排斥に激怒、不和の女神エリスは来賓らの間に「最も美しきものへ.」と記された[黄金の林檎]を投げ入れた。その挙を受け、ユーノー(ヘラ)、ヴィーナス(アフロディテ)、そして、ミネルヴァ(アテナ)は各々、林檎を我が物であると主張しだした。[ジュピター](訳注:ギリシャ主神のゼウスのローマ表記がこちら[ジュピター]となる)はそのようなデリケートな問題を決するのに乗り気ではなく、それら三女神らを見目麗しきパリスが羊飼いとして羊の群れの世話をしていたとのイーデー山(訳注:マウント・イダないしマウント・イデは古のトロイア界隈(Troad一帯)にその名を冠する山が実在しているとの神話上の山である)へと送る、[誰が最も美しいかを決させしめるべくもの役割]を負わせてのパリスの元へと送ることとした。女神らはそれがゆえにパリス面前に現われ、各々が勝利の熱情に駆られながらパリスにバイアスがかかった裁決を下させるべくも試み、ユーノー(ヘラ)はパリスに権力・富を(彼女を勝たせる対価に)与えると提案、ミネルバ(アテナ)は栄光と戦にての名声を与えると提案、そして、ヴィーナス(アフロディテ)は彼の妻に最も見目麗しき女を与えると提案した。
パリスはヴィーナスを支持することにし、彼女に
[(美人コンテストの勝者の証となっていた)黄金の林檎]
を与えることにしたため、他の二柱の女神は彼パリスの[敵]へと変ずることになった。
女神ヴィーナス(アフロディテ)の庇護の下、パリスはギリシャに向けて船出し、そして、そこにてスパルタ王であったメネラオス王の歓待を受けることになった。その当時、メネラオス王の妻に収まっていたとのヘレンはその美に秀でての女ぶりよりヴィーナスがパリスのものになるとの運命を与えたまさにもの女であった。(それに先立つところとして)彼女ヘレンは
[数多の婚約希望者に「花嫁に、」と求められていた存在]
となってもおり、のような中、ヘレンが夫たる者を決する前に求婚者らはユリシーズ(ユリシーズはオデュッセウスの英語圏の呼称である)の提案で(ヘレンの夫となった人間と他の婚約希望者らとの後々の禍根を断つためもあって)[彼ら求婚者らは必要となれば、全ての暴力・彼女の歩んだ道に対する復讐からヘレンを守る]との誓約をなしていた。といった中でヘレンは(スパルタ王の)メネラオスを選び、パリスが彼らの客としてその場を訪れるまで幸せに暮らしていた。ヴィーナス(アフロディテ)による助力を受けていたパリスはそのヘレンに彼と駆け落ちすることを説得しおおせ、彼女をトロイア(訳注:パリスが王子としての立ち位置にあった都市国家)に連れ出した ―以下略― (といったことの後、オデュッセウスがギリシャ諸侯にヘレン絡みで取り交わすことを提案していた誓約に縛られていたためにギリシャ有力諸侯がこぞって参加してのヘレンの(元)夫たるメネラオスの兄アガメムノン王を盟主とする大量のギリシャ勢がパリスを王族として戴くトロイアに雲霞(うんか)の如く来襲することになったというのがトロイア戦争開戦を巡る顛末となる)」
(再度付しもしての訳はここまでとする)
上の引用部に見受けられるように[サイレンに苦しめられたとのオデュッセウス]は[木製の馬の提唱者]にとどまらず黄金の林檎を巡っての女神らの諍いが破滅に至る戦争へと通じたとのその契機になった[ギリシャ諸侯らの間の誓約の発案者]であったともされているのである)
以上でもって
[【アトランティス】(【黄金の林檎の園】と結びつけられての領域)と【サイレンの災厄】(オデュッセウスがアトランティスと同一視されもしていたカリュプソの島にいざなわれるまで遭遇した一連の災厄のひとつ)の関係性]
との絡みで何が述べられるか、(本稿の従前の内容を振り返りつつ)、一つのポイントたるところを解説した。
それは、
「黄金の林檎を巡る諍いがトロイア戦争に発展した誓約の提唱者ともなっている(そしてトロイア戦争に木製の馬の計略で決着をつけた)オデュッセウスはサイレンの歌を聴きだしたことからはじまった一連の船旅上の難所越えの果てに結局、【アトランティス候補地】とされる島に漂着した。その点、アトランティスの候補地としては他に[黄金の林檎の園]のこともが挙げられるが、それは[サイレン]と[黄金の林檎]とが結びついているとのことにも通ずる(そしてもってして黄金の林檎が[ヘラクレスの第11功業の目標物]であるところ、カール・セーガン『コンタクト』とカート・ヴォネガット『サイレンズ・オブ・タイタン』の双方ともがブラックホール生成問題 ―(ブラックホール生成問題は先述なしてきたように【黄金の林檎】に通ずるようになっている)― と関わるような側面を有している作品らとして【ヘラクレス座M13星雲】と【サイレン】と結びつくようになっていることとも結節関係を観念させるところ「とも」なっている)」
とのことを解説したとのことでもある。
また、加えて、次のようなこともが ――同文に本稿にてここまで指摘してきたことから導き出したことより述べられるところとして―― 述べられることにも一応、筆を割いておく。
[(くどくも表記するところとして)サイレンに苦しめられることになったオデュッセウスは黄金の林檎が発端になってはじまったトロイア攻囲戦に[木製の馬の計略]でピリオドを付けた謀将として極めてよく知られている存在だが、そこに見るトロイア戦争それ自体が[始点](黄金の林檎によるトロイア戦争の勃発)も[終点](ギリシャ勢の包囲の果てのトロイアの壊滅)も[アトランティス崩壊伝承]と通ずるところがある戦争である(以下、その点についての再述を直下続いての段にてなしておく)。 そして、(またもってして先の内容を繰り返すところとして)、アトランティスとはオデュッセウスがサイレンの歌に惑った一連の難所越えの後、漂着したカリュプソの島にも結びつくとされる陸塊なのであるのだから、オデュッセウスのカリュプソの島の漂着に至るまでの流れ、いや、トロイア攻めをなしたオデュッセウスという存在およびその冒険を描いた『オデュッセイア』という代表的古典それ自体が ――トロイア攻めの始点と終端に関わる存在(アトランティス)を介しもして―― [サイレン]や[ヘラクレス功業の目標物だった黄金の林檎](巨人アトラスが在処を知るとされてきた果実にして、その在処そのものがアトランティスともされてきた果実)と密に関わっているものといえるとのことも(よりもってして突き詰めてみれば)「ある」]
直上表記のことに関してまずもってトロイア戦争[始点]たる[黄金の林檎(を巡っての三女神の闘争)が要因となってのトロイア戦争の勃発]が[アトランティス]と結びついているとのことについては[黄金の林檎の園](ヘスペリデスの黄金の林檎の園)がアトランティスに仮託されているとのことを(くどくもの)再言なせば、十分であろう(同じくものことは本稿にての出典(Source)紹介の部41以降の部で典拠挙げているところである)。
他面、[終端]としての[トロイアの末期]が[アトランティス]と結びつくということだが、それは[木製の馬の計略で住民を失ったトロイア]の「洪水」による崩壊伝承に関わるところとなる。本稿にてのかなり先立っての段にてその内容を紹介していたスミュルナのクィントスの手になるPosthomericaこと『トロイア戦記』によれば、オデュッセウスが船旅の最中、渦潮の化け物に呑まれて同道者を失ったが如く水難はオデュッセウス同様にトロイア包囲に関わっていたとの全てのギリシャ軍に及んでいたとされ、それは、壊滅後のトロイアが[神罰(神の悪意とも表される)による地震、うち続く、洪水]に見舞われ、勝利の余韻に浸りきっていた攻囲勢諸共トロイアの遺構が海水に洗われて崩壊したとのさまであったと伝わっている。
にまつわって述べれば、
[ギリシャ勢力との大合戦を演じて、結果、地震・洪水による最期を迎えた]
というのはまさに古のアトランティスを巡る顛末そのものでもある(:出典(Source)紹介の部44-4)。
だけではない。
イタリアのマイナーな地史(偽史としてのフローレンスことフィレンツェ地史)にトロイアとアトランティスとの結びつきがみとめられるとのこともまたある(出典(Source)紹介の部45および同出典紹介部に続けての解説部を参照されたい)うえに、さらにもってして、[トロイアと(アトランティス伝承を想起させもする)洪水伝承]との兼ね合いでは(それ自体が重要なトピックに通じているとの認識で縷々(るる)詳解を加えてきたことなのだが)[黒海洪水伝承]を媒介にしての極めて根深い関係性もがそこにあるとのこともがある(本稿にての出典(Source)紹介の部58(2)以降の解説部をよくもご覧いただければ、といったことまでもがいかようにして【ブラックホール類似物の古典それそのものにあっての具現化】と結びつくようになっているのか、この忌まわしき世界にてそうもなっているのか、理解なしていただけることか、とは思う)。
上のことより[トロイアが滅亡することに向かっての大戦争]の[始点]も[終点]も[アトランティス伝承]と通じていると申し述べているわけであるが、それがゆえ、(くどくもの感が如実にある中で書くところとして)、次のような言いようの伝がなせるようになってもいる。
「サイレンに苦しめられることになったオデュッセウスは黄金の林檎が発端になってはじまったトロイア攻囲戦に木製の馬の計略でピリオドを付けた謀将として極めてよく知られている存在ではあるも、そこに見るトロイア戦争、[始点](黄金の林檎による戦争の勃発)も[終点](ギリシャ勢の包囲の果ての壊滅)も【アトランティス崩壊伝承】と通ずるところがある戦争である。 そして、【アトランティス】とはオデュッセウスが[サイレンの歌に惑った一連の難所]越えの後、漂着したカリュプソの島にも結びつくとされる解釈が呈されてきた陸塊なのであるのだから(直近にて再言及のことである)、オデュッセウスがサイレンに苦しむことになったとのカリュプソの島の漂着に至るまでの旅の流れ(さらに述べればトロイア攻めをなしたオデュッセウスという存在およびその冒険を描いた『オデュッセイア』という代表的古典それ自体)が発端と行き着く先の両面で【アトランティス】(およびアトランティスと結びつく黄金の林檎を巡る縁(えにし))と結びつくと述べられもする」
[アトランティス]と[サイレンの災厄]の関係性についての解説はここまでとする
ここまで本稿の従前内容を振り返りながらも表記なしてきたこと ―[アトランティス]と[サイレンの災厄]の関係性について表記なしてきたこと― からもこれまた
[カール・セーガン『コンタクト』とカート・ヴォネガット『サイレンズ・オブ・タイタン』(双方とも、ブラックホール生成問題と関わるような側面を有している作品)が[ヘラクレス座M13星雲]と[サイレン]を介して結びつくようになっていること]
が「意味性濃くも」強く想起されることになる。
くどくもあらためれば、[黄金の林檎の園]が
[巨人アトラス][ヘラクレス第11功業][アトランティス]
とワンセットで結合するとの関係性、そして、
[黄金の林檎][アトランティス]
がこれまた
[サイレンの災厄と関わるオデュッセウスの物語]
とも結合するとの関係性(上の段にて既述のことである)、それら関係性が
[トロイア崩壊の戦争の始点・終点のアトランティスとの結びつき]
よりさらに際立ちもする。そこから、
[ヘラクレス←→黄金の林檎の園に関係する存在←→アトランティスと黄金の林檎の園]
[サイレン←→黄金の林檎によってはじまって戦争の帰結としてのトロイア崩壊後、トロイアの木製の馬の考案者オデュッセウスがアトランティスとみなされる場に流れ着く前に遭遇した船旅上の一連の災厄の体現者]
との関係性がよりもって際立ちもすることにもなり、[ヘラクレス][サイレン]を介しての『コンタクト』および『サイレンズ・オブ・タイタン』の明示的結びつき、そこにあっての[意味性]が増すことになると申し述べたいのである。
[つい先ぞの段にて摘示しもしてきた関係性を振り返っての表記として]
現行、補説2と振っての段にての[a]から[f]と分けての中での[c]の話をなしているわけだが、先の[b]の段で述べたことを繰り返すとして、カール・セーガン『コンタクト』については[トロイア滅亡の因としての黄金の林檎]を媒介項にしもしての次の関係性が成立して「しまっている」とのことがある。
(本稿にあって属人的主観など介在する余地が一切ないもの、具体的論拠を出典紹介部にて羅列しながら指し示してきたところの関係性として)
カール・セーガン『コンタクト』 ←→ (通過可能なワームホールにまつわるセーガン「への」物理学者助言) ←→ 物理学者キップ・ソーン ←→ キップ・ソーン著作『ブラックホールと時空の歪み』 ←→ 『コンタクト』に関連するところで煮詰められた[通過可能なワームホール]についての思考実験の紹介部にて[双子のパラドックス]絡みの話を展開、奇怪なことに、その場にて「多重的に」911の予見が顕在化を見ているとのことがあると本稿にて詳述の作品] ←→ [911の事件の発生の予見文物]
カール・セーガン『コンタクト』 ←→ [黄金比の全面での体現存在たる正十二面体(正五角形を十二の面に配しているとの立体図形)をゲート装置となしての作中設定] ←→ [異空間とのゲートと黄金比体現存在たる正五角形] ←→ [同様のもの(異次元妖怪を封じるとの魔符としてのペンタゴン)を登場させている『ジ・イルミナタス・トリロジー』] ←→ [911の事件への多重的事前言及文物のそれと申し述べられる側面を有している作品にして[黄金の林檎]を副題に冠してもいるとの作品たる『ジ・イルミナタス・トリロジー』の内容]
カール・セーガン『コンタクト』 ←→ [[カー・ブラックホール][ワームホール]の生成が作中内の[ゲート装置]の機能として描かれているとの『コンタクト』作中設定] ←→ [カー・ブラックホールやワームホールを生成する可能性が(2000年前後の余剰次元に伴う理論的地殻変動によって)取り沙汰されだしたLHC実験] ←→ [アトランティスと関わる命名規則を採用している実験(ブラックホール生成イベントをそれで観測する可能性が取り沙汰されているATLAS実験グループが用いるイベント・ディスプレイ・ツールATLANTISの使用)、なおかつ、トロイアと関わる命名規則を採用している実験(トロイアに木製の馬で引導を渡したオデュッセウスがカリュプソの島、アイザック・ニュートンなどがアトランティスと見ていた神話上の存在に漂着することになった契機となった渦潮の怪物カリュブディスの名を冠するブラックホール・イベント・ジェネレーターCHARYBDISの使用)としての ―巨人ATLASがその場を知るとされる黄金の林檎のことも想起されるとの― LHC実験] ←→ [黄金の林檎](回帰)
以上、ここまでの流れにて
[カール・セーガン『コンタクト』(1985)とカート・ヴォネガット『ザ・サイレンズ・オブ・タイタン』(1959)との接合関係]
の絡みで何が問題となるのか、[黄金の林檎]、そして、[アトランティス]([黄金の林檎「の園」]とも同一視されるサイレンの災厄に続く[木製の馬の考案者の漂着先]たるカリュプソの島との同一性が史的に論じられてきたとのこともある古の陸塊)および[トロイア](黄金の林檎に帰因する戦争にて滅んだと伝わる伝説上の古代都市)との絡みで何が問題となるのか多くを指摘してきたつもりである。
上にて呈示の図はトロイアを木製の馬の奸計で滅ぼした男オデュッセウスの難行がアトランティスに通じていることを描いた図となる(図についてのより細やかな解説は後の段でなすこととする。尚、図にては[サイレン]をして古代人・中世人がどうとらえていたかを指し示す図を付したが、の出典は、先にも同一の図像らをそれら著作より挙げていたところとしての Project Gutenbergにて公開されている著作ら Myths of Greece and Romeおよび Curious Creatures in Zoologyとの著作となる(前者についてはサイレンの彫像の写真を抜粋、後者についてはヴェスビオ火山噴火による火砕流呑み込みにより市街がまるまる一個のタイムカプセルとなったポンペイ遺構出土品に見るサイレン画の再現図の抜粋となっている)。また、併せて、[スキュラ]というものがどういうイメージでもってとらえられている存在であるかを示す近代挿絵も付しておいたが、その出典は Project Gutenbergにて公開されている Tales of Troy and Greece (1907)との著作(にあっての19世紀活動のH.J.Fordという挿絵家の画)となる)。
また続けもして、本稿こここれに至れりの流れを視覚的に訴求すべくもの図解部を下に挙げておくこととする。