典拠となるところの明示[10]――加速器実験に伴う欺瞞性、 そして、そこより証示
なせもすることについて

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1970年代前半に[CERN由来の兆単位の加速器(14兆テラエレクトロンボルト)を露骨に想起させるもの]を登場させているとの小説の先覚性が常識的観点で説明がなせるものなのかについて

前頁末尾においては

すくなくとも粒子加速器実験にあっては[破滅的リスクにまつわる問題]として1980年代に入ってから
「真空の相転移」
との現象を引き起こす可能性が取り沙汰されだしていたとのことについて「も」 ―ブラックホール生成問題と同様、加速器に起因する破滅的リスク具現化の可能性が問題視されたとのことでもあり― 取り上げておくこととする

とのことを申し述べ、頁を改めた。

 ここ本頁ではそこにいう vacuum phase transition[真空の相転移](という現象)について

[[そちら真空の相転移にまつわる1980年代に遡るやりとり]が[加速器による破滅を露骨に示唆している先覚的文物の存在]に説明をつけるものなのか否かにつき専らに分析する

との観点で[専門家筋より呈示されている情報]の整理をなすこととする。

 その点、[真空の相転移]との絡みではまずもってマーティン・リースという天体物理学者の手になる著作よりその申しようを引く(:ここでその著書より引用をなすこととしたマーティン・リースという科学者は Royal Society[王立協会]との名前で知られるかのニュートンが初期の長を務めていたことでも知られる科学育成・促進団体、(フリーメーソンと歴史的に密なる関わりあいがあるとの指摘もなされてきた団体だがそれは置くとして)、同・王立協会の会長経験者でもある[斯界の泰斗]との扱いの学究である ――バロン(男爵)の称号を持つ一代限定貴族でもある同男マーティン・リースにまつわる英文Wikipedia[ Martin John Rees, Baron Rees of Ludlow ]項目にて Martin John Rees, Baron Rees of Ludlow, OM, Kt, FRS (born 23 June 1942) is a British cosmologist and astrophysicist. He has been Astronomer Royal since 1995 and was Master of Trinity College, Cambridge from 2004 to 2012 and President of the Royal Society between 2005 and 2010.と記載されているとおりである―― )。


| 出典(Source)紹介の部12 |

 ここ出典(Source)紹介の部12にあっては原著2003年刊行(邦訳版2007年刊行)の、

マーティン・リース著 Our Final Century: Will the Human Race Survive the Twenty-first Century?(邦題)『今世紀で人類は終わる?』(草思社)

にあっての[真空の相転移]にまつわる部よりの引用を ――「そも、真空の相転移とはいかなものなのか」とのことを示すため―― なしておくこととする。

(直下、2007年刊行の邦題『今世紀で人類は終わる?』(草思社)p.154-p.157よりの原文引用をなすとして)

一説では、それと同じく、粒子の衝突時に発生した高エネルギーを引き金に、空間の構造をズタズタにする「相転移」が起こる、といわれている。新しい相に転移した真空はその後、泡がふくらむように膨張していく。この泡のなかでは、原子は存在できない。すなわち、私たちや地球、果てはそれを取り囲む宇宙も「一巻の終わり」というわけだ。最終的には銀河系、いやその先まですっぽりのみこまれてしまうだろう
・・・(中略)・・・
この種の高エネルギー実験は、一九八三年にはすでに物理学者の関心を集めていた。私はこの問題点について、プリンストン高等研究所をたずねた折、やはり研究所を訪れていて、のちにそこの教授となったオランダ人研究者、ピート・ハットといろいろ論じあった
・・・(中略)・・・
その結果、実験の安全性をはかるひとつの方法として、同じようなことがいままでに自然界であったかを探る、という手があることに気づいた。するとどうだろう、一九八三年の計画にあった実験と似た衝突が、宇宙では日常茶飯事に見られることがわかった。宇宙いっぱいに宇宙線と呼ばれる粒子が光速で飛び交い、ほかの原子核と何度も衝突をくり返していたのである。その衝突の激しさはすさまじく、当時実行可能とされた実験ではとうていたどり着けないものだった。このため、真空はそれほど壊れやすくはなく、粒子加速器の実験で何をしたところで、ズタズタになることはないという結論に達した。本当にそんなにもろかったら、そもそも人類誕生に至るまで、宇宙がもちこたえられたはずがない
・・・(中略)・・・
近年になって、以前の懸念が再燃する出来事があった。アメリカのブルックヘブン国立研究所とジュネーブのCERN(欧州合同原子核研究機構)がそれぞれ、かつてないほどの高エネルギーで原子同士を衝突させるという実験計画を発表したのだ。当時のブルックヘブン国立研究所長、ジョン・マーバーガー(現・米大統領科学技術補佐官)は、実験の問題点を検討するよう専門家らに依頼。それを受けて、ハットと私がやったようなやり方で検討が重ねられた結果、真空の破壊をきっかけに「宇宙最後の日」が到来する危険はない、との専門家のお墨付きが出た。だが物理学者たちも、ストレンジレットによって生じる危険については、そこまで完全に安心できると請け合うことはできなかった。
・・・(中略)・・・
宇宙で「自然に」起こる衝突の大部分は星間空間で発生している。ここは非常に希薄な空間なので、衝突によってストレンジレットが仮に発生しても、また別の原子核に出会うことはまず考えられない。おかげで、制御不能な反応が起こる心配はおそらくない。粒子が地球に衝突する場合も、粒子加速器の場合とは本質的に違う。やってくる原子核は大気にぶつかって止められるが、その大気には、鉛や金といった重い原子は存在しない。もっとも、高速でやってくる原子核のなかには、これらの重い原子を含む月の固体表面を直撃するものがいる。月の誕生以来、こうした衝突は何度もあった。それでもなお月が存在するという動かしがたい事実を盾にとり、ブルックヘブン国立研究所の報告書は、計画にある実験で地球が消滅することはない、と結論づけた。

(訳書よりの引用部はここまでとする)

(直下、続いて上の訳書記述に対応する2003年刊行の Our Final Century: Will the Human Race Survive the Twenty-first Century?原著テキスト ―容易にその通りの記載がなされていること、確認できるところとしてグーグル検索エンジンサーチボックスにそちら抜粋したテキストを入力すればソース特定できようとの原著原文― よりの引用をなすとして)

Likewise, some have speculated that the concentrated energy created when particles crash together could trigger a "phase transition" that would rip the fabric of space itself. The boundary of the new-style vacuum would spread like an expanding bubble. In that bubble atoms could not exist: it would be "curtains" for us, for Earth, and indeed for the wider cosmos; eventually, the entire galaxy, and beyond, would be engulfed.
[ . . . ]
Back in 1983, physicists were already becoming interested in high-energy experiments of this kind. While visiting the Institute for Advanced Study in Princeton, I discussed these issues with a Dutch colleague, Piet Hut, who was also visiting Princeton and subsequently became a professor there. (The academic style of this institute, where Freeman Dyson has long been a professor, encourages "out of the box" thinking and speculations.) Hut and I realised that one way of checking whether an experiment is safe would be to see whether nature has already done it. The entire cosmos is pervaded by particles known as cosmic rays that hurtle through space at almost the speed of light; these particles routinely crash into other atomic nuclei in space, with even greater violence than could be achieved in any currently feasible experiment. Hut and I concluded that empty space cannot be so fragile that it can be ripped apart by anything that physicists could do in their accelerator experiments. If it were, then the universe would not have lasted long enough for us to be here at all.
[ . . . ]
The old fears resurfaced more recently when plans were announced, both at the Brookhaven National Laboratory in the US and at the CERN laboratory in Geneva, to crash atoms together even more forcefully than had been done before. The director of the Brookhaven Laboratory at the time, John Mar-burger (now President Bush's scientific advisor), asked a group of experts to look into the issue. They did a calculation along the lines of the one that Hut and I had given, and offered reassurance that there was no threat of a cosmic Doomsday triggered by tearing the fabric of space.
But these physicists could not be quite so reassuring about the risk from strangelets. Collisions with the same energy certainly occur in the cosmos, but under conditions that differ in relevant respects from those of the planned terrestrial experiments; these differences could alter the likelihood of a runaway process.

(引用部はここまでとする)

 上記の引用部に見るように

1983年には粒子加速器によって真空(Vacuum)が破壊され、もって、宇宙そのものが破壊されるとの相転移現象が起こりうるとの可能性が呈示されていた中、安全性検討がなされ、マーティン・リースとピート・ハットの両二名の[功績]で宇宙線における高エネルギー状況の比較検証との手法が考案されることとなり(表記の引用部では Back in 1983, physicists were already becoming interested in high-energy experiments of this kind. While visiting the Institute for Advanced Study in Princeton, I discussed these issues with a Dutch colleague, Piet Hut, who was also visiting Princeton and subsequently became a professor there. [ . . . ] Hut and I realised that one way of checking whether an experiment is safe would be to see whether nature has already done it. The entire cosmos is pervaded by particles known as cosmic rays that hurtle through space at almost the speed of light; these particles routinely crash into other atomic nuclei in space, with even greater violence than could be achieved in any currently feasible experiment. Hut and I concluded that empty space cannot be so fragile that it can be ripped apart by anything that physicists could do in their accelerator experiments.(訳表記)「その結果、実験の安全性をはかるひとつの方法として、同じようなことがいままでに自然界であったかを探る、という手があることに気づいた。すると実験と似た衝突が、宇宙では日常茶飯事に見られることがわかった。宇宙いっぱいに宇宙線と呼ばれる粒子が光速で飛び交い、ほかの原子核と何度も衝突をくり返していたのである。その衝突の激しさはすさまじく、当時実行可能とされた実験ではとうていたどり着けないものだった]と記載されているところである)、 そこからそういうことは起こらないとの保証がなされた

との物言いがなされている(マーティン・リースという[斯界の泰斗](大物学者)によって、である)。


 上にての出典(Source)紹介の部12で引用なしたような解説のなされようが安全性論拠を「導き出した」とする学界の権威筋(最終的に王立協会の会長にまでなりもしたマーティン・リース)によってなされているとの現象、[真空の相転移]のことがはじめて問題視されるようになったのは何時頃なのか(リース著作では安全性論拠が導出されたのが1983年と表記されているが、問題視がなされた端緒は一体何時に求めることができるのか)。については1980年頃からであると判じられるようになっているとの典拠を以降の出典紹介部にて挙げる。


| 出典(Source)紹介の部13 |

 ここ出典(Source)紹介の部13にあっては本稿筆者が考究の中で検討することとなった資料、

Anthropic Shadow: Observation Selection Effects and Human Extinction Risks

という論稿よりの引用を[一体全体、加速器における真空の相転移発生可能性問題にまつわる危惧の始点はどこにあるのか]とのことの絡みでなしておくこととする ――同論稿、表題訳すれば、『人類に対する影:観測選択効果(オブザーベーション・セレクション・エフェクツ)および人類滅亡リスクら』ともなろう論稿となり、当方が『確率論としてLHCのリスクを考えるアプローチで当方想起の手法と同様のことをやっている論稿は当然にあるはずであろう』と考えつつ探っていた際に同定した論文である.そして、その作者を哲学者ニック・ボストロムとしているとの論稿となる(ニック・ボストロムについては和文ウィキペディア[ニック・ボストロム]項目より引けば「ニック・ボストロムはスウェーデン人の哲学者であり、オックスフォード大学教授。人間原理に関する業績で知られる。ロンドン・オブ・スクール・エコノミクスで2000年に博士号を取得。学会誌や一般誌に論文や記事を書く傍ら、様々なメディアにも登場し、クローニング、人工知能、精神転送、人体冷凍保存、ナノ・テクノロジー、シミュレーテッドリアリティといったトランスヒューマニズム関連の話をしている」(引用部はここまでとする)との科学トピック流布サイド、そして、権威あるところとされる方面に属する人間である)―― 。

(直下、オンライン上に流通しているニック・ボストロム論稿 Anthropic Shadow: Observation Selection Effects and Human Extinction Risksにての 6. ANTHROPIC SHADOW AND RISKS FROM PHYSICS DISASTERS(人類に対する影および物理学に起因する災厄)と振られた箇所よりの引用をなすとして)

Such an event would not only extinguish humanity but also completely and permanently destroy the terrestrial biosphere. Coleman and De Luccia first mentioned the possibility that such a disaster might be caused by the operation of high-energy particle colliders used in physics research.

(拙訳として)
「そのようなイヴェント(訳注:直近述べてられているところの vacuum phase transition or a comparable quantum field collapseこと[真空の相転移またはそれに匹敵する量子化された場の崩壊])は人類を消滅させるだけではなく完全かつ永遠に地球の生物圏を破壊するようなものとなる。 Coleman De Lucciaが「最初に」そのような災厄が物理学分野での探求活動にて用いられる高エネルギー粒子加速器にて引き起こされるかもしれないとの可能性に言及した

(訳を付しての引用部はここまでとする)

 上にて引用なしたニック・ボストロム論稿( Anthropic Shadow: Observation Selection Effects and Human Extinction Risks )の上記の申しようの部にては

Coleman De Lucciaが「最初に」そのような災厄が物理学分野での探求活動にて用いられる高エネルギー粒子加速器にて引き起こされるかもしれないとの可能性に言及した」

との部の出典として

Gravitational effects on and of vacuum decay

との「1980年初出の」論文(訳すれば『重力の効果および真空の崩壊』とでもなろうところの論文 ―その内容は続いての段で引用なしておく― )が挙げられている。そこから「1983年に」マーチン・リースらによって[宇宙線との比較]による解決策が考案されたともされる真空の相転移リスクがはじめて問題視されだしたのは「1980年からである」と解されるようになっている。

出典(Source)紹介の部13はここまでとする)


 続いて1980年にどういった物言いがなされていたのか、そこまで示すべくの引用をなしておく、上に言及したところの Gravitational effects on and of vacuum decayとの論文よりの引用をなしておくこととする。


| 出典(Source)紹介の部14 |

 ここ出典(Source)紹介の部14にあっては直前の出展紹介部にて引用元とした資料、 Anthropic Shadow: Observation Selection Effects and Human Extinction Risksの中で真空の相転移に伴うリスクについて扱った(嚆矢的なものとしての)論稿として言及されている Gravitational effects on and of vacuum decayよりの引用をなしておくこととする。

(直下、 Sidney Coleman(往時、スタンフォード・リニア・アクセレレーター・センターことSLAC所属の物理学者)と Frank De Luccia(プリンストン高等研究所所属の物理学者)の両二名の手になる1980年の論稿 Gravitational effects on and of vacuum decayの冒頭頁冒頭部よりの引用をなすとして)

It is possible for a classical field theory to have two stable homogeneous ground states, only one of which is an absolute energy minimum. In the quantum version of the theory, the ground state of higher energy is a false vacuum, rendered unstable by barrier penetration. There exists a well-established semiclassical theory of the decay of such false vacuums. In this paper, we extend this theory to include the effects of gravitation. Contrary to naive expectation, these are not always negligible, and may sometimes be of critical importance, especially in the late stages of the decay process.

(拙訳として)
「[古典的な場の理論]にあっては二つの同質な基底状態(グラウンド・ステイト、ミクロの世界にての最低のエネルギー状態)を持つとの式が可能となり、うち片方のみがエネルギーの絶対的最小状況にある(訳注:絶対零度で原子の振動が完全に停止しているとの言いようが古典力学ではなされているとされる)。理論を量子を念頭に置いてのものとして見た場合、より高いエネルギーにての基底状態は障壁を貫くとの式にて不安定と描写される[偽の真空](フォールス・バキューム)となる。そのような[偽の真空]の崩壊にまつわるよく構築された純古典主義的理論がある。この論文ではこの[理論]を重力の効果を含めてのものに拡大する。無邪気なる期待に反して、これらは無視できるところではなく、場合によっては極めて重要になりうる、殊に後期の崩壊過程にてはそうである

(訳を振っての引用部はここまでとする)

(直下、続けて、同じくもの1980年の論稿 Gravitational effects on and of vacuum decayの冒頭頁中列左の部よりの引用をなすとして)

In this paper, we extend the theory of vacuum decay to include the effects of gravitation. At first glance, this seems a pointless exercise. In any conceivable application, vacuum decay takes place on scales at which gravitational effects are
utterly negligible. This is a valid point if we are talking about the formation of the bubble, but not if we are talking about its subsequent growth. The energy released by the conversion of false vacuum to true is proportional to the volume of the bubble; thus, so is the Schwarzschild radius associated with this energy. Hence, as the bubble grows, the Schwarzschild radius eventually becomes comparable to the radius of the bubble.

(拙訳として)
「本論文では我々は真空の崩壊にまつわる理論を[重力]の効果を含めてのものへと拡大する。一見する限りはこれは的はずれな挙に見える。想像できる限りのいかな応用のやりようでも[真空の崩壊]は重力の効果が完全に無視できるスケールにてのみ発生する(からである)。これは泡(バブル)の形成について我々が話しているのであるのならば妥当な見方であるが、その泡の[後の成長]について話しているのであれば、妥当なものとはならない。[偽の真空](フォールス・バキューム)の[真なる真空]への移行にて解き放たれるエネルギーはバブルの規模に見合ったものとなる。このようにシュヴァルツシルト半径はこのエネルギーに関連付けさせられるものである。その上、バブルが成長する際、シュヴァルツシルト半径は結果的にバブルの半径に匹敵できるとのものとなる」

(訳を付しての引用部はここまでとする ―※― )


上記引用部に対して長く、かつ、込み入っての注記を付しておく

※注記として(1)

 表記の論稿 Gravitational effects on and of vacuum decay(1980)よりの抜粋部では[偽の真空](フォールス・バキューム)といった普通人には意味不明な言い回しが用いられているが、同語([偽の真空])については専門家の話柄にてはよく用いられるものと解され、日本語ウィキペディアにすら記載されているところ、現行の[偽の真空]項目よりの原文引用をなせば次のような解説が一般になされているところのものとなる。

(直下、和文ウィキペディア[偽の真空]項目よりの原文抜粋をなすとして)

 現在の宇宙は真空の相転移を経験したため、真空の状態としては最も低いエネルギーの状態になっていると考えられる。しかし、現在の真空が真の真空であるという確証となる理論はなく、極めて長い時間スケールの準安定状態、すなわち偽の真空の状態にあるのではないかという説が存在する
 我々の宇宙の真空が真の真空なのか偽の真空なのかは、ヒッグス粒子とトップクォークの質量により知ることができる。このうちヒッグス粒子の質量は、2012年7月4日に発表された値では125.3±0.5GeVまたは126.0±0.4GeVとある程度正確に求まっているが、トップクォークの質量は172.9±1.5GeVとやや精度が荒い。このため、現在の理論では真空の安定性は安定と準安定のちょうど境界に位置する事になる。なお、ヒッグス粒子を事実上発見したという発表のあった2013年3月14日移行に、一部に「真空が準安定状態である」事が確定したというような記事が存在するが、これはトップクォークの質量の不確かさを顧慮しないで書かれた誤報である。トップクォークのより正確な結果を求めるには、現在あるテバトロンやLHCでは難しく、次世代の加速器であるILCの登場を待たないといけないとされている。
 もし、現在の我々がいる宇宙の真空が偽の真空であった場合、ポテンシャルの極小値に滞留している状態に過ぎない。例えると、坂道を転がるボールが、坂を下りきる途中の穴に転がり落ちた状態である。ポテンシャルの障壁を乗り越える、すなわち落ちたボールが外に飛び出て再び転がるには、ボールが穴から強く蹴り上げられるか、穴の横の地中を直接通り抜けて再び地面に戻るかのどちらかの方法をとらなければならない。現在の真空が相転移するこの現象を「真空の崩壊」と呼ぶ
 ボールを強く蹴り上げるというのは、真空に高エネルギーを与える事である。具体的には、高エネルギーの粒子の衝突で発生する。このような例で身近なのは、加速器で粒子を加速させ衝突させる実験である
 実際、LHCの建設や運用の反対運動の中には、真空を崩壊させる可能性も理由として含まれていた。しかし、最大で約10TeVの出力を持つLHCに対し、自然界には超高エネルギー宇宙線と呼ばれる、最大で320EeVと、実にLHCの3000万倍もの高エネルギーな宇宙線が絶えず地球大気を構成する粒子に衝突している。このため、宇宙のどこかで真空の崩壊が発生しても、それは自然現象における高エネルギー現象であり、人為的な行為で発生する可能性はきわめて低い。

(引用部はここまでとする)

 上もてお分かりだろうが、偽の真空 ―[真空]として準安定性のもの― に起因する、

[[真空の相転移]という破滅的事態]

の発生可能性が懸念されてきたとの経緯がありもする([偽の真空]、それが加速器による高エネルギー状態を引き金に[遷移]をなしはじめた場合に世界が終わるとの懸念も呈されていたと上にて記載されていること、お分かりのことか、と思う)。

 その点、さらに細かくものところに分け入って注記を続ければ、直近和文ウィキペディア[偽の真空]項目よりの表記引用部では

「LHC実験の10テラエレクトロンボルト(TeV)の3000万倍の320エクサボルト(EeV.320×100京電子ボルト)の高エネルギー宇宙線が飛び交っているから安心である」

とされているが、「実験室系」と関係者には呼称されることがあるとの[加速器によって実現されるエネルギー]については(10兆電子ボルトが額面に出されていても)「宇宙線規模」に換算すると10の13乗(10兆)ではなく、10の17乗電子ボルトの規模に相当するものとなると「も」されている(少なくとも本稿筆者はそのように質問発した物理学者から聞き及んでいる)。 ために、「10の13乗」ではなく「10の17乗」のエネルギー規模のものを「10の20乗」の宇宙線(GZK限界というものを超える超高エネルギー宇宙線については10の20乗電子ボルト級のエネルギーが観念される)と比較顧慮した場合、その規模は3000万倍(本稿執筆時現況のウィキペディア記述に見る倍率表記)ではなく1000倍の差異であるとのところが妥当な申しようであるように「も」受け取れる(:誰でも容易に検証できるとの典拠をひたすらに重んじての本稿にあっておよそ重きをおけぬようなところ、比較検証の手段が十分に担保されていないところでの耳学問にての話ながら、とにかくも、筆者が専門家筋より聞き及んでいる話からはそのような心証を受ける。については「過度に専門的なこと、それがゆえに本稿の主たる内容との絡みでは放念いただいてもよいことである」「真正さについてはここでのそれに関する限りは請け合いかねると断っておく」と申し添えざるをえぬことを述べているわけであるが、確認に力を入れたいとの向きにあっては[実験室系の加速器エネルギー]と[宇宙線]についていろいろと調べてみられ、手ずから確認されてみるのもよかろう)。

 また、上のウィキペディア[偽の真空]項目よりの引用部では[真空の相転移]の発生リスクを否定することができる論理として宇宙線との比較顧慮がなされているとのことが取り上げられているが、そちら宇宙線との比較方式は[真空の相転移]のみならず[ブラックホール生成問題]や[ストレンジレット(先にも既述のように加速器にて生成されうる周囲のものを同種のものに変換しだす恐れがあるとの仮説上の粒子)生成問題]に関して「も」安全性論拠として持ち出されるに至っているとのものである。そして、その[宇宙線との比較顧慮]に全面の安全論拠を求めるべきであるとするやりように対しては

[粒子加速器にては[自然の状況]ではなく[不自然なる状況]が問題になるのだから宇宙線を具にしての安全性論拠に全幅の信を置くべきではない]

と疑義を呈する声もあると申し述べておく ――※たとえば、([真空の相転移]とは異質の話となるが)、電気的に中性のブラックホールが加速器にて生成された場合、そこにて宇宙線との比較方式を持ち出すことには問題があるともされており(安全性論拠としては十分ではないとされており)、加速器製の中性のブラックホールの不自然なる状態と対比すべくもの事例を特別に特定した白色矮星などのかたちにて自然界に見出せなければ万全ではない、との言いようも当の実験関係者の理論家筋よりなされていたりするとのことがある(:についても「これまた細かいこと、本稿の核たる部との兼ね合いでは過度に脇に逸れての話がゆえに放念なしていただいてもかまわないとの筋目のことである」ととらえているが、疑わしきにおかれては[(国内実験参画機関の中でも)海外の安全性論拠呈示文書を簡約してオンライン上に公開しているとのKEK(高エネルギー加速器研究所)の安全性訴求ページ]にあっての電気的に中性なブラックホールが生成された場合に関する解説の部を参照されたり、(科学論文の類を読み慣れているとの識見豊富な方におかれては)、そうした国内関係機関の解説の元となっているところの2008年に世に出た Astrophysical Implications of Hypothetical Stable TeV-scale Black Holesとの論文(『仮説的なるテラエレクトロンボルト領域での安定化したブラックホールにまつわる天体物理学上にての含意』とでも訳されるもので当然に筆者も出来る範囲で検討している論文であり、GMペーパーと作成者らの頭文字をとって俗称される中で実験の分析をなしている向きらに重要視されもしているとの論文)などの内容をダウンロード(表記のタイトル入力でダウンロード可能)の上で確認されてみるのもよかろう―― )。

※注記として(2)

 こちら注記の部は上の注記部表記以上に込み入ったものとなり、(自身門外漢としての話をなしている中ながら)、門外漢に忌避されるような性質の話を(注記として)なすとの部位であること、まずもって断っておく。

 さて、上にての論文 Gravitational effects on and of vacuum decay(1980)よりの引用部では
[シュヴァルツシルト半径]
との言葉が持ち出されているが(具体的には The energy released by the conversion of false vacuum to true is proportional to the volume of the bubble; thus, so is the Schwarzschild radius associated with this energy.「[偽の真空](フォールス・バキューム)の[真なる真空]への移行にて解き放たれるエネルギーはバブルの規模に見合ったものとなる。このようにシュヴァルツシルト半径はこのエネルギーに関連付けさせられるものである」などとの言及がなされているが)、 科学に多少なりとも詳しき向きがその言葉、シュヴァルツシルト半径より想起されることになるのは
[ブラックホール]
のことであろうか、と思われる。
 というのも ――[ブラックホールというものの定義それ自体に関わる]との意味で―― 有名なところとして
「天体をシュヴァルツシルト半径よりも小さい領域に圧縮するとブラックホールができあがる」
とのことが広くも認知されていることがあるからである(:シュヴァルツシルト半径については本稿の後の段でも一般的説明のなされようについて解説するが、同じくものことについては、たとえば、目に付くところの和文ウィキペディア[シュヴァルツシルト半径]項目にて(引用なすとして)[1916年、シュヴァルツシルトはアインシュタインの重力場方程式の解を求め、非常に小さく重い星があったとすると、その星の中心からのある半径の球面内では曲率が無限大になり(下記にあるように、現在はこの考えは誤りとされている)、光も脱出できなくなるほど曲がった時空領域が出現することに気づいた。その半径をシュヴァルツシルト半径 ( Schwarzschild radius ) または重力半径と呼び、シュヴァルツシルト半径よりも小さいサイズに収縮した天体はブラックホールと呼ばれる](引用部はここまでとする)との記載がみとめられるようなところとなる)。

 そうもして[シュヴァルツシルト半径がブラックホールと紐付くところとなっている]ところで[加速器の真空の相転移リスクに通ずることを扱っているとのことで問題となる1980年論稿(上にて事細かな引用をなしている論稿)]「でも」シュヴァルツシルト半径のことが目立つように言及されているとのことがあるわけである。

 その点につき、
「1980年からしてブラックホールと似たようなものの生成可能性が真空の相転移が問題視される中で取り沙汰されていたのでないか」
と門外漢には見えもするところである(筆者は当然、強くもそう訝(いぶか)った)。
 そして、実際、ここでの話に見る[泡bubble] ――シュヴァルツシルト半径の関係式(お調べいただければお分かりになろうところとしてr=2GM/c2との式)にも[万有引力定数]としてGの文字で入れ込まれている重力と関係すると論じられている泡(バブル)―― がブラックホール(的なるもの)と結びつけられている節があることは
「実際にそうではないのか」
と言えそうなところがある(明言はなせないのだが)。
 しかし、だからといって、
[1980年との問題となる表記を含む論稿が世に出た折にブラックホール生成が観念されていた]
とは言えないようになっている。
 その点については
[プランク・エネルギー実現の仮定]
というものが専門家ら言い様に介在している、そして、プランク・エネルギーとは兆単位の電子ボルトとはあまりにも異質な量のエネルギーとなっているとのことがあると解されるようになっているとのことがあるからである(そちらプランク・エネルギーについては本稿の後の段にて出典に依拠しての解説を講じることになる

 さらに述べれば、1974年にて世に出た小説 The Hole Man(邦題)『ホール・マン』の中の、

(先の出典(Source)紹介の部7にて文言抜粋なしているところよりの「再度の」引用をなすとして)

There was a time when black holes of all sizes could form. That was during the Big Bang, the explosion that started the expanding universe. The forces in that blast could have compressed little local vortices of matter past the Swarzschild radius. What that left behind -- the smallest ones, anyway -- we call quantum black holes.「ある時期には、あらゆるサイズのブラックホールが形成され得たことがあるんだ。膨張宇宙がはじまる『大爆誕(ビッグ・バン)』のときさ、その爆発の力で、局所的な物質の小さな渦が、シュワルツシルド半径をこえて圧縮された。そこでできたもの ――とにかく、中でもとくに小さいやつ―― を、量子ブラックホールというんだ」

(再度の引用部はここまでとする)

といった(科学界の一般理解を半面で体現した)記載と論稿 Gravitational effects on and of vacuum decay(1980)にての

This is a valid point if we are talking about the formation of the bubble, but not if we are talking about its subsequent growth. The energy released by the conversion of false vacuum to true is proportional to the volume of the bubble; thus, so is the Schwarzschild radius associated with this energy. Hence, as the bubble grows, the Schwarzschild radius eventually becomes comparable to the radius of the bubble.
(訳として)「これは泡(バブル)の形成について我々が話しているのであるのならば妥当な見方であるが、その泡の後の成長について話しているのであれば、妥当なものとはならない。[偽の真空](フォールス・バキューム)の[真なる真空]への移行にて解き放たれるエネルギーはバブルの規模に見合ったものとなる。このようにシュヴァルツシルト半径はこのエネルギーに関係づけさせられるものであるのである。その上、バブルが成長する際、シュヴァルツシルト半径は結果的にバブルの半径に匹敵できるとのものとなる」

との部は[[原初のブラックホール]と[ビッグバン]と[シュヴァルツシルト半径]]とのことで話が相通ずるものであるように見えもするところがあるとのこともある。

 それについては、
加速器実験とはビッグバン(大爆誕)の状況を再現するとのものとなり、そこにて真空の相転移リスクが取り沙汰されている
とのこともあいまって「話が似通っている」ようにとれるようになって「も」いるとのことがある(:尚、小説『ホール・マン』の作者ラリー・ニーヴンの執筆活動に対して多くアイディアを提供していたのは重力を専門としていたSF作家にして物理学者(米空軍のコンサルタントともなっていた物理学者)である Robert Lull Fowardであるとされていること「も」気になるところではある。この身が Robert Lull Fowardの未来予測・目分量が集約されている節ある主要著作、 Future Magic HOW TODAY'S SCIENCE FICTION WILL BECOME TOMORROW'S REALITY(邦題)『SFはどこまで実現するか 重力通信からブラックホール工学まで』を読んでみても、そこにブラックホールを「加速器でもってして」生成できる可能性に対する言及など見出せなかったと申し述べつつ、書けば、である)。

 それがために、[シュバルツシルト半径]、そして、[(原初ビッグバンの状況と結びつく)真空の相転移]が問題視されている1980年特定論稿にては

[ビッグバンの折の状況とブラックホールの特異点の性質が似通っている]との話がある、[それがゆえの相似形ではないか]と解されるところでもある(直下にて書籍での言われようを引いておく)

ようになっているのだが(ただし請け合うことはできない)、また、さらには、

ビッグバン直後の状況が[ブラックホール生成]と結びつけられての観点も介在していたように受け取れるが、それが人間の手によって実現しうるかと述べれば、プランク・エネルギーにまつわる仮定のために斥けられてきたとのことがある(先述なしたところとしてプランク・エナジーについての話は後の段にてなす)

とのこと「とも」なっているのだが(こちらについては門外漢でもそうした言い様が専門家筋にてなされてきたとのことそれ自体は確認できるところとなる)、とにかくも、一応の事細かな言及をなしておいた。

(⇒[ビッグバンの特異点]と[ブラックホールの重力の特異点]が近似しているとのことについては、たとえば、(本稿にてのかなり後の段にてあって同著よりの引用を事細かになすつもりであるとの書物となるが)、ロンドン大学にて科学史を講じていた科学史家アーサー・ミュラーに手になる書でブラックホール理論の開闢についての解説を講じている著作たる、
Empire of the Stars Friendship,Obsession and Betrayal in the Quest for Black Holesの邦訳版『ブラックホールを見つけた男』(草思社)
にて次のような記載がなされているところである。
(直下、上著作訳書にあってのp.432からp.433より原文引用をなすとして)

古典物理学の法則からは無限という特異点が現われ、容認することのできない矛盾が生じてしまう。けれども、自然をもっと現実に即して記述する量子物理学なら、古典物理学が立ち往生してしまう無限を扱うことができる。ブラックホールの奥底では、量子重力の法則があとを引き継ぐ。物理学者たちの推測では、そのような極限状況にある領域では時間と空間は引き裂かれ、出来事の因果関係は消え、時間の前後の区別がなくなるとされている。量子物理学の法則は異様さと曖昧さの始まりを示すものである。時間と空間は切り離される。空間は明確な形を失い、あとに残るのは、決まった形をもたない石鹸の泡の塊のような「量子の泡」の揺らぎである。そこは確実なものがいっさいない、確率が支配する世界である。この先、さらにどんな驚異が待ち構えているのか、想像するだけでぞくぞくする。数学の観点から見れば、重力の底なし穴(ブラックホール)の奧にある特異点は、ビッグバンを生じさせる特異点に気味の悪いほどよく似ている。底なし穴の特異点がいくつもの「宇宙の赤ん坊」を産み、それが進化して生命を育める宇宙になるということがありうるのだろうか

(引用部はここまでとしておく)

 注記の部はここまでとする。


(長くもなったが、出典(Source)紹介の部14はここまでとする)


 過分に微に入っての直上、脇に逸れもしての注記の部の内容は放念していただいても構わぬようなところとして、とにかくも、先だって出典として挙げた資料にあっての解説のされようから見て
[真空の相転移にまつわるところのリスク]
がはじめて取り沙汰されだしたのは1980年あたりでおおよそ間違いないらしい(少なくとも表沙汰になっている専門家動向の問題としてはおおよそ間違いないらしい)とのことが推し量れるようになっている。
 とすると、(直近言及のように[真空の相転移]と[ブラックホール生成問題]は「似て非なるところか」と受け取れるのであるも)、時期的問題として、

「1974年に世に出た小説らから導き出せる相関関係、
 すなわち、
[[15兆電子ボルトのCEERN加速器](CERN加速器ではなくCEERN加速器)なるものを登場させている小説にして主人公がCEERNの運営するビーム装置を用いて[「底無し」の「黒々とした」「渦を巻く」穴]に自らを極小化させての分身を投入するとの内容の小説たる Adrift Just off the Islets of Langerhans : Latitude 38°54'N, Longitude77°00'13W(邦題)『北緯38度54分、西経77度0分13秒 ランゲルハンス島沖を漂流中』]
[極微ブラックホールが重力波通信機から漏れ出して惑星を食うとの内容を有している小説たる The Hole Man『ホール・マン』]

の間に横たわる関係性について加速器実験機関関係者 ――1999年にそれが部外者によって問題視されだした折、ブラックホール生成などありえはしないと強弁をなし、次いで、2001年からブラックホール生成可能性を「1998年に提唱された新規理論の理論的発展との兼ね合いで」認容なしだした人々―― の間の[暗流としての認識]から説明がなせるのか、より正確には、その[暗流に対する認識]が一部の作家らに伝わっていたがために説明がなせるのか」

とのことにまつわる有効な解答は

[真空の相転移を巡るやりとりの深化]

との観点「でも」出てこない(80年代と70年代の時期的離隔から出てこない)と判じられる ――[時期的離隔の問題]より重くものしかかってくるのは[フィクションと現実世界の理論的やりとりに見るエネルギー実現規模の離隔の問題](膨大なプランク・エネルギーを投入せねばブラックホール生成は無理であると解されてきたところにあって「従前までは」僅少なテラ・エレクトロン・ボルトでのブラックホール生成可能性が観念されることはなかったとの問題)があるのだが、については、さらに後の段にて解説をなす―― 。

 さて、ここまでの本稿内容、時期的問題について一側面から煮詰めてきたとのここまでの本稿の内容を検討したうえで人は言うかもしれない。

「科学者らが上から下まで一枚岩となって嘘を吐いていること(本稿のここに至るまででその可能性を低めに見積もらざるをえぬとの材料を挙げてきたところの可能性でもある)、あるいは、それと両立しない奇怪な予言がなされているとのことがあるのであるとしてみよう。
 だが、それが我々の生活にどう関係があるというのか。
 現にLHCは運転開始を見ており、何も起こっていないではないか。結果よければすべてよし。どうでもいいことだ

 残念でならない。それについては

「ここまでの話は(読み手を含めて)[我々が全員殺されることになる]との性質の話に(過去形ではなく)[これよりの問題]として現実的に関わるとの筋目・筋合いのものである」

と申し述べざるをえぬとのことがある。

 上のことについて本稿の以降にての内容を検討していただいて、理非の程、ご判断いただきたい次第である。

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直下、本稿冒頭部へのリンクを設けておく

(⇒冒頭頁へは下の部より)

[典拠紹介部第1頁 加速器実験に伴う欺瞞性から証示なせることについて]

 上にて挙げているのはドイツ浪漫主義芸術の巨匠たる18世紀画家、カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ(Freemasonでもあったとの画家 Caspar David Friedrich)の手になる一品、

Der Wanderer uber dem Nebelmeer雲海の上の旅人』(に多少の[動き]をアレンジとして加えたもの)

となる。

 言われようの問題として一般に、

[人間の崇高なる精神が高みを目指し、ついぞ多くの物事を達観するに至った時、その折の孤独と感慨を描いた画]

などと形容される上掲の『雲海の上の旅人』に関して(本稿でもその言行を順次・段階的に取り上げることになるとの)物理学者リサ・ランドールは[次のような申しよう]をなしている。


(直下、物理学者リサ・ランドールの手になる著作 Knocking on Heaven’s Door『宇宙の扉をノックする』(NHK出版)にての CHAPTER THREE LIVING IN A MATERIAL WORLD[第三章 物質世界に生きる]の章の記述内容 ――オンライン上検索エンジンにあっての原文検索にて該当部特定できるところの記述内容―― よりの原文引用をなすとして)

Our universe is in many respects sublime. It prompts wonder but can be daunting ―even frightening― in its complexity.  Nonetheless, the components fit together in marvelous ways. Art,science, and religion all aim to channel people’s curiosity and enlighten us by pushing the frontiers of our understanding. They promise, in their different ways, to help transcend the narrow confines of individual experience and allow us to enter into―and comprehend―the realm of the sublime. (See Figure 11.)
          [ . . . ]
[ FIGURE 11 ] Caspar David Friedrich’s Wanderer Above the Sea of Fog (1818), an iconic painting of the sublime ― a recurring theme in art and music.

(上の原著引用部に対する[訳文]として国内流通訳書『宇宙の扉をノックする』(NHK出版)ハードカヴァー版にあっての81ページに記載されているところを引くとして)

多くの点で、私たちの宇宙は崇高だ。その複雑さは好奇心を駆り立てはするが、無力感も抱かせるし、ことによっては恐怖さえも感じさせる。にもかかわらず、宇宙の構成要素は素晴らしくぴたりと絡みあっている。芸術、科学、宗教は、いずれも人々の好奇心を促して、理解の限界を広げさせ、それによって私たちを啓蒙することを目指している。いずれもそれぞれのやり方で、個人の経験の狭い領域を越えさせることを約束している。それがかなえられたとき、私たちは崇高なものの領域に踏み込む――そして理解する――ことができるのだ(図11を参照)。 …(中略)… [図11]ドイツの画家カスパー・ダーヴィド・フリードリヒの「雲海の上の旅人」は、崇高なものを象徴的に描いた作品だ。崇高さは、美術と音楽に繰り返し登場するテーマである

(以上をもって Knocking on Heaven’s Doorにての原著表記および訳書よりの引用とした)


 さて、何故、ここ脇に逸れての部にあって「目立つように」特定絵画 ― 『雲海の上の旅人』― を挙げ、その絵画に対する物理学者の評しよう ―「雲海の上の旅人」は、崇高なものを象徴的に描いた作品だ....― などを引いたりもしたのか

「それは、」
絵画『雲海の上の旅人』に対して直上引用なしたような評しようをなしているとの物理学者リサ・ランドールが

加速器によるブラックホール生成可能性にまつわるトピックの理論深化に一廉ならぬ貢献をなしているとの著名物理学者

[[崇高なるもの]を目指しての宇宙の探求(およびそのための装置と銘打たれている巨大加速器LHC)の称揚・礼讃をなしているとの向き

であるとのことがあり、また、なおかつ、彼女リサ・ランドールの手による、(絵画『雲海の上の旅人』を科学者が目指しての[崇高さ]とを結びつけている)引用元著作 Knocking on Heaven’s Door『宇宙の扉をノックする』(NHK出版)が

人間のありよう(崇高さとはおよそ程遠いところにあるありよう)]
人間の辿る運命

を嘲笑うような[嗜虐的寓意]で満ち満ちていると申し述べられるようになっている著作であるとのことがある、遺憾ながら
[理の当然]
として申し述べられるところとしてある ――個人のせせこましい偏頗(へんぱ)な主観などとは一線を画したところで客観的かつ具体的にこれはこうでこうだと申し述べられるようになっている(出典呈示を第一義にしての本稿では無論、その論拠を事細かに挙げる)とのところとしてある―― からであり、そのことに注意を向けたかったからである(※)。

(※上にて引用元とした著作、 Knocking on Heaven’s Door『宇宙の扉をノックする』(NHK出版)、同著にあってはその冒頭部より
September 10, 2008, marked the historic first trial run of the Large Hadron Collider (LHC). Although the name―Large Hadron Collider― is literal but uninspired, the same is not true for the science we expect it to achieve, which should prove spectacular. (表記英文引用部に対する訳として)「2008年9月10日、ラージ・ハドロン・コライダー(LHC)が歴史的始動を見た.[ラージ・ハドロン・コライダー]との名称は有り体に言ってインスピレーションを何ら与えぬとの平凡なものだが、私たちがそれ(LHC)に[証明すべきととらえている壮大なる挙]を託しているとの意では[科学(の進歩)]にとり同じくものことは真実とはならない(LHCは際立ってのインスピレーションを与えるものである)」
などとのことが書き記されている。
 そうもした書きようが目立ってもの冒頭部にてみとめられる著作ノッキン・オン・ヘブンズ・ドアにおける表題、 [天国のドアをノックする]の由来についてリサ・ランドール女史は同じくもの著作の中で次のようなことを述べてもしている。
(以下、 Knocking on Heaven’s Doorにての CHAPTER FOUR LOOKING FOR ANSWERSより引用なすところとして)
I first heard the phrase “knockin”on heaven’s door”when listening to the Bob Dylan song at his 1987 concert with the Grateful Dead in Oakland, California. Needless to say, the title of my book is intended differently than the song’s lyrics, which I still hear Dylan and Jerry Garcia singing in my head. The phrase differs from its biblical origin as well, though my title does toy with this interpretation. In Matthew, the Bible says, “Ask, and it shall be given you; seek, and ye shall find; knock, and it shall be opened unto you: For every one that asketh receiveth; and he that seeketh findeth; and to him that knocketh it shall be opened. (以上原著表記に対して訳書『宇宙の扉をノックする』(NHK出版)ハードカヴァー版[第四章]103ページにての表記を引くとして) Knocking on Heaven’s Door(天の扉を叩く)]――これが本書の原題だが、私が最初にこのフレーズを聞いたのは、一九八七年、カリフォルニア州オークランドでのグレイトフル・デッドとのコンサートで、ボブ・ディランが『天国への扉』を歌うのを聞いたときだった。いまでも私の頭の中ではディランとジェリー・ガルシアがこれを歌っているのが聞こえてくるけれど、いうまでもなく、私の本のタイトルは、この曲の歌詞とは意味が違っている。このフレーズは出典である聖書の一節とも違っているが、私のタイトルはこちらの意図を拝借したものだ。聖書の「マタイ伝」には、このように書かれている。「求めよ。さらば与えられん。尋ねよ、さらば見いださん。門を叩け、さらば聞かれん。すべて求むる者は得、たづねる者は見いだし、門を叩く者には開かれるるなり
(以上、引用部とした)
 といったところ、新約聖書のマタイ伝にあっての
[求めよ。さらば与えられん。尋ねよ、さらば見いださん。門を叩け、さらば聞かれん。すべて求むる者は得、たづねる者は見いだし、門を叩く者には開かれるるなり]
とのフレーズ、それが
[天国の門]・[天国への扉]・[天国への階梯](ステアウェイ・トゥ・ヘブン)
との兼ね合いでいかように嗜虐的なる別側面での意味( Double Meaning )と共にあるのか、そのことからして具体的典拠を挙げ連ねるとの式で遺漏無くも事細かに示そうというのが本稿の本義であるとここ脇に逸れての部にあって訴求しておきたいとの意図が筆者にはある)

当サイト内にあっての【各頁および各典拠への一覧方式遷移部】、及び、【PDF形式文書配布ページ】へのリンクを直下、設けておく

各頁および各典拠への一覧方式遷移部へは以下より


問題となる「予見的言及→実現」の体系についての[典拠紹介部]一覧呈示頁

PDF形式文書配布ページへは以下より


典拠解説媒体としての[一括PDF文書]の公開頁

ここ本頁にて何故もってして細々とした指し示しをなしているのかに関わる[重篤なる問題]について扱った【「容易に後追い確認なる」「堅い」ソースを呈示しての出典紹介部ら】、それぞれへの[遷移経路]を設けておく (:クリックすることでブラウザ ―インターネット閲覧ソフト― の[別タブ(別枠)]にて典拠紹介部を表示( open "additional" tabbed window(s) of web browsers))

[出典(Source)紹介の部6]から[出典(Source)紹介の部10]70年代に遡るところとして[欧州CERN加速器によるブラックホール生成]を臭わせている風が如実にあるとの[複数フィクション]が存在していることにまつわっての典拠紹介部6から典拠紹介部10)
の参照は直下より (クリックすることで当該の出典紹介部を別タブにて表示)

[出典(Source)紹介の部6]
典拠紹介部第6頁 70年代小説らに見る「克明無比なる」ブラックホール生成に通ずる言及

[出典(Source)紹介の部7]
典拠紹介部第6頁 70年代小説らに見る「克明無比なる」ブラックホール生成に通ずる言及

[出典(Source)紹介の部8]
典拠紹介部第7頁 『ホール・マン』と『ランゲルハンス島沖を漂流中』の繋がり合い

[出典(Source)紹介の部9]
典拠紹介部第7頁 『ホール・マン』と『ランゲルハンス島沖を漂流中』の繋がり合い

[出典(Source)紹介の部10]
典拠紹介部第8頁――加速器実験に伴う欺瞞性、 そして、そこより証示なせもすること