[黄金の林檎]、[ヘラクレス功業]、そして、予見事物らについて
直前頁に至るまでにあっては
[以下の(再掲しての)図解部]
を「まとめて」呈示するとの方向性に向けての解説を延々となしてきた。
再度の整理をなすための部として
本段ここに至るまでなしてきた話が[重要]であると申し述べたいのは次のようなことが ――ここに至るまで膨大な文字数を割いて問題視してきたこととして―― があるからである。
(くどくもの繰り返し表記をなしておくところとして)
ミルトン『失楽園』に見る、
[[蛇と化した悪魔の長](堕天使の長)による林檎を用いての誘惑の物語]
にまつわる特定の下り ――今日的な観点で見てのブラックホールに近似する「時間と空間が意味をなさなくなる」「底無しの暗黒領域」たるアビスを渡っての通用路が構築されるとの下り―― に関しては
[エデンの禁断の果実] ←→ ([パリスの審判の物語を介しての多重的関係性の顧慮][現メキシコ界隈で栄えたアステカ文明にてのケツァルコアトル神話など複数神話を媒介項にしての多重的関係性の顧慮]) ←→ [黄金の林檎]
[黄金の林檎] ←→ [黄金の林檎の園] ←→ [ときにアトランティスと同一視される場] ←→ [洪水伝承]
[黄金の林檎] ←→ [トロイア崩壊の原因] ←→ [トロイアの最期と洪水伝承]( ←→ [ギリシャ勢との戦争を経た後のギリシャ勢を巻き込んでのアトランティスの洪水による消滅伝承との近似性])
[トロイアと洪水] ←→ [近年、呈示されたトロイア比定地界隈での黒海洪水仮説(そして伝承として伝存しているとの黒海洪水伝承)とボスポラス海峡の構築にまつわる言われよう]
との変換式([黄金の林檎]をキーとしての変換式)との絡みで[トロイア崩壊伝承]や[洪水伝承]との接合性が観念できるとのことがある ――ミルトン『失楽園』の同パート(アビス横断路構築とエデンの誘惑にまつわるパート)にては[トロイア崩壊とつながる寓意の使用][黒海洪水説の舞台となる地域(トロイア近傍にしてボスポラス・ダーダネルス海峡の界隈)での通路[開設]への言及]が見受けられる中にて、である―― 。
さて、[黒海洪水仮説][黒海洪水伝承]のことを想起させる記述がなされているとのミルトン『失楽園』の同じくものパートにあってのエデンでの誘惑は
[蛇による不死の略取]
とも言い換えられるものである(聖書には同じくものこと、[蛇による不死の略取]それそのものについての記述はないが、旧約聖書『創世記』にあってのエデン描写と神の発言から蛇の唆(そそのか)しによって[不死]が奪われたとも解されるようになってもいる ――典拠については先述のとおりである―― )。
ここで『ギルガメシュ叙事詩』についてであるが、同叙事詩、
[蛇による不死の略取]
[洪水伝承(旧約聖書のそれにそっくりなものを描いての洪水伝承)]
を同じくものパート(ギルガメシュがウトナピシュテムを探し求め、もって、死を克服しようとするとの冒険の下り)に具現化させているとのものともなるのであるも、そちらパートが[ヘラクレスの黄金の林檎を求めての冒険]と多重的なる類似関係を呈していると述べられるように「純・記号論的に」なっているとのことがある(実際に本稿のここに至る段までにて「慎重に、」「丁寧に、」と客観的に指し示してきたとの事実の問題としてそうも述べられるようになっている)とのこともある。
以上のことを念頭にここまでの内容を要約すれば、である。以下のような関係性 ―各々別個独立の接続要素によって分立して成り立っているとの関係性― が呈示できるところとなる(読み手の遺漏なくもの理解を求めたくも話があまりにもくどくなっていることを承知のうえでの話をなしている)。
(「であるからこそ問題である」とのところとして(接続要素の個別性から)別個独立に分立して描画できるところの関係性のパスらとして)
A.エデンの果実それ自体に伴う記号論的関係性に関わるところのコネクション
→
[ミルトン叙事詩『失楽園』の問題となる特定のパート] ←→ [アビス横断路の構築とエデンの園の誘惑にまつわってのパート] ←→ [エデンの園の[林檎](エデンの園の禁断の果実は林檎とは聖書では明記していないが、ミルトンはそのように明記している)を用いての誘惑] ←→ (本稿にて先述してきたところの[エデンの園の誘惑]と[黄金の林檎を巡るやりとり]に伴う多重的関係の存在) ←→ [黄金の林檎]
B.トロイアとの地理的接続性に関わるところのコネクション
→
[(上と同じくもの)ミルトン叙事詩『失楽園』の問題となる特定のパート] ←→ [[トロイア伝承に通ずる表現][トロイア近傍での黒海洪水仮説に通ずる地理的表現]を複合的に用いているパート] ←→ (トロイア近傍領域) ←→ [(住民皆殺しの憂き目に遭った後、城郭の最期としては洪水にて滅したともされる)トロイア崩壊の元凶] ←→ [黄金の林檎]
C.ギルガメシュ叙事詩とヘラクレス第11功業に関わるところのコネクション
→
[(上と同じくもの)ミルトン『失楽園』の[黒海洪水仮説]と関わるように見え、[蛇による不死の喪失]とでも述べられよう帰結にて終わっている問題となる特定のパート] ←→ [ギルガメシュ叙事詩にあっての[洪水伝承]と関わる、[蛇の不死の略取]にて終わった「特定の」冒険] ←→ (多重的一致性の存在) ←→ [黄金の林檎を求めての物語;ヘラクレス第11功業] ←→ [黄金の林檎]
D.LHC実験に関わるところのコネクション
→
[(上と同じくもの)ミルトン叙事詩『失楽園』の問題となる特定のパート] ←→ [(ダンテ『地獄篇』と共に[地獄門の先の領域][ルシファーに由来するところの災厄の領域]に関わるところで)「どういうわけなのか」今日的な視点で見た場合のブラックホール近似のもの ――サタンが自身の妻子たる[罪]と[死]の食餌に人間を供するために通路を開通させたと『失楽園』にて形容されるアビス(深淵)領域―― を描いているとのパート] ←→ (ブラックホール類似物描写) ←→ [「科学の進歩にとり望ましい」と鼓吹されてのブラックホール生成可能性が取り沙汰されてきたLHC実験] ←→ [LHC実験にあって用いられている巨人アトラスの名を冠する
ATLAS Detector(ブラックホール検出をなしうるとされる検出器)および Event Display用のツールたるATLANTIS(ブラックホール生成現象をディスプレイ表示しうるとされているツール)およびCHARYBDIS(ブラックホール生成挙動の事前シュミレートをなすための Blackhole Event Generator)] ←→ [アトラス;トロイア崩壊の因とも知られる黄金の林檎の在所(ありか)を把握する巨人と伝承に伝わる存在/アトランティス;大洋の彼方の[黄金の林檎の園]と一部にて同一視されてきた古の陸塊/カリュブディス;トロイアに木製の馬の計略で引導を渡した男(オデュッセウス)をしてアトランティスと同一視する見解も呈されてきたオギューギア島に誘(いざな)った渦潮の怪物] ←→ [トロイア崩壊と黄金の林檎] ←→ [黄金の林檎]
以上、矢印で繋げて呈示しているとの関係性のパスら ―A.からD.と振ってのパスら― に関わるところの図解表記をもなしておくこととする。
まずもって
A.エデンの果実それ自体に伴う記号論的関係性に関わるところのコネクション
→
[ミルトン叙事詩『失楽園』の問題となる特定のパート] ←→ [アビス横断路の構築とエデンの園の誘惑にまつわってのパート] ←→ [エデンの園の[林檎](エデンの園の禁断の果実は林檎とは聖書では明記していないが、ミルトンはそのように明記している)を用いての誘惑] ←→ (本稿にて先述してきたところの[エデンの園の誘惑]と[黄金の林檎を巡るやりとり]に伴う多重的関係の存在) ←→ [黄金の林檎]
との関係性に関わるところの図解部を下に呈示しておく。
次いで
B.トロイアとの地理的接続性に関わるところのコネクション
→
[(上と同じくもの)ミルトン叙事詩『失楽園』の問題となる特定のパート] ←→ [[トロイア伝承に通ずる表現][トロイア近傍での黒海洪水仮説に通ずる地理的表現]を複合的に用いているパート] ←→ (トロイア近傍領域) ←→ [(住民皆殺しの憂き目に遭った後、城郭の最期としては洪水にて滅したともされる)トロイア崩壊の元凶] ←→ [黄金の林檎]
C.ギルガメシュ叙事詩とヘラクレス第11功業に関わるところのコネクション
→
[(上と同じくもの)ミルトン『失楽園』の[黒海洪水仮説]と関わるように見え、[蛇による不死の喪失]とでも述べられよう帰結にて終わっている問題となる特定のパート] ←→ [ギルガメシュ叙事詩にあっての[洪水伝承]と関わる、[蛇の不死の略取]にて終わった「特定の」冒険] ←→ (多重的一致性の存在) ←→ [黄金の林檎を求めての物語;ヘラクレス第11功業] ←→ [黄金の林檎]
との関係性に関わるところの図解部を下に呈示しておく。
さらにもって
D.LHC実験に関わるところのコネクション
→
[(上と同じくもの)ミルトン叙事詩『失楽園』の問題となる特定のパート] ←→ [(ダンテ『地獄篇』と共に[地獄門の先の領域][ルシファーに由来するところの災厄の領域]に関わるところで)「どういうわけなのか」今日的な視点で見た場合のブラックホール近似のもの ――サタンが自身の妻子たる[罪]と[死]の食餌に人間を供するために通路を開通させたと『失楽園』にて形容されるアビス(深淵)領域―― を描いているとのパート] ←→ (ブラックホール類似物描写) ←→ [「科学の進歩にとり望ましい」と鼓吹されてのブラックホール生成可能性が取り沙汰されてきたLHC実験] ←→ [LHC実験にあって用いられている巨人アトラスの名を冠する ATLAS Detector(ブラックホール検出をなしうるとされる検出器)および Event Display用のツールたるATLANTIS(ブラックホール生成現象をディスプレイ表示しうるとされているツール)およびCHARYBDIS(ブラックホール生成挙動の事前シュミレートをなすための Blackhole Event Generator)] ←→ [アトラス;トロイア崩壊の因とも知られる黄金の林檎の在所(ありか)を把握する巨人と伝承に伝わる存在/アトランティス;大洋の彼方の[黄金の林檎の園]と一部にて同一視されてきた古の陸塊/カリュブディス;トロイアに木製の馬の計略で引導を渡した男(オデュッセウス)をしてアトランティスと同一視する見解も呈されてきたオギューギア島に誘(いざな)った渦潮の怪物] ←→ [トロイア崩壊と黄金の林檎] ←→ [黄金の林檎]
との関係性に関わるところの図解部を下に呈示しておく。
整理のための部はここまでとする
(以上、先立っての頁にて呈示の図解部を再掲、「その意味合いにつききちんと理解なしていただきたい次第である」と申し述べたうえで)
さて、これ以降の段にあっては
「本稿の位置づけ上、極めて重要.」
と定置していること([1]から[4]と振ってのことら)を順々に摘示していくため、 ―本稿筆者のことをやっつけてやろうとの批判的視座・批判的心境でもいいので― それらのことにつき、きちんと検討いただくこと、切に願いたい次第である。
先に本稿では
[911の事件の予見描写といったありようを呈する要素を含む作品が存在しており、そこに[ヘラクレス第11番目の冒険]とのつながりが見てとれる]
とのことを申し述べ、 「まずもっての一例として」 原文引用をなしながら特定文物の[問題となる特性]について取り上げていた。
すなわち、――「[イルミナティ]などという言葉を目立って用いるとの陰謀論者には陋劣な輩が多いようであると手前は見ている」と申し述べたうえでのこととして―― 『ジ・イルミナタス・トリロジー』こと『イルミナティ三部作』 (語感的には[光をあたえられし者、イルミナタスの三部作]とでもなろう作品なのだが国内では[イルミナティ三部作]との呼称の方が通用化しているように見受けられる小説) という作品、70年代に欧米でヒットを見、集英社から遅まきに邦訳版が2007年に刊行されたとの同小説作品が[文献的事実]の問題(字面として誰でもそうだと容易に確認できるようになっている記載事実の問題)として
[ニューヨークのマンハッタンのオフィスビル爆破]より話がはじまる(出典(Source)紹介の部37)、
クライマックスに向けて魔的封印を解くとの目的で「ペンタゴンの爆破・部分倒壊」が作中にて描かれる(出典(Source)紹介の部37-2)、
現実世界にての911以後の米軍炭疽菌漏洩事件(にあってのブルース・イビンズ容疑者を巡る帰趨)のことを想起させるように「米軍科学者から漏出した炭疽菌改良株が大災厄をもたらしかねないとの状況に至った」ことが描かれる(出典(Source)紹介の部37-3)、
同作スピンアウト・カードゲーム作品(スティーブ・ジャクソン・ゲームズ製の[カードゲーム・イルミナティ])が[崩されるツインタワー][爆破されて粉塵をあげるペンタゴン]とのイラストの持ち出しているとの式で911の事前言及物であると問題視されている(出典(Source)紹介の部37-4)、
【[合衆国国防総省のペンタゴン(911の事件で攻撃対象とされたバージニア州アーリントンにある国防総省庁舎)の体現物と当該小説内作中で明示されている五角形]と[ニューヨーク体現物(911の事件で攻撃対象とされた地域)との判断がなせるようになっている黄金の林檎]を対面並置させての独特なるシンボリズム】が図示までされて作中にて頻出を見ている(出典(Source)紹介の部37-5/マンハッタンにてのビル爆破およびペンタゴン爆破をモチーフにしている作品で[そういうこと]が見てとれる)
との各要素を伴っている ――さらに述べれば、ペンタゴン爆破の時刻の時計時針との兼ね合いで911との数値のことが想起されるとのことがある、とのことや、作品付録部にて[9]と[11]との数値を想起させる言いまわしが不自然なかたちで用いられているとのこと「も」ある―― との意味で
[911の予見的描写を含んだ小説作品] (はっきり述べて、911の事件発生の事前言及作品でもいい)
とあいなっていることを論じていた。
(:ちなみに『ジ・イルミナタス・トリロジー』という作品に関しては次のようなかたちで[海外での反響呈し度合いについての概括の弁]がなされるような作品「とも」なっていることを先立っての段で紹介していた ⇒ (以下、集英社より遅まきに ―原著が出たのが70年代だったところを2007年まで邦訳されなかったとの意味合いで遅まきに― 四分冊で邦訳・刊行されたとの文庫版『イルミナティI ピラミッドからのぞく目(下巻)』284ページにあっての同作邦訳版訳業に携わった邦訳者の作品に対する解説を引くとして)あの幻の伝奇小説の古典ILLUMINATUS!の刊行をとうとうスタートすることができました。・・・(中略)・・・といっても、多くの読者のみなさんには、これがどれほど大変な事件なのかおわかりいただけないかもしれません。・・・(中略)・・・ロバート・アントン・ウィルソンとロバート・シェイの二人がアメリカのデルという出版社から三部作として発表し、たちまち百万部のベストセラーとなり、全世界でカルト的人気を博した、究極の陰謀小説ともいわれ、多くの流行語まで生み出した大傑作なのです。そればかりではなく、ミュージカルになり、大きな賞をとる傑作ゲームになり、ロックのさまざまな名曲を生み出し、いかがわしい秘密結社を描くトンデモ本の大流行まで招いた、一つの社会現象になった作品です
(引用部はここまでとする)。
以上のような伝で反響呈し度合いが指摘される小説作品ではあるが、さはさりながら、[イルミナティ]などという陰謀「論」者が好むワードを表題に含む作品であるために本稿筆者としては次のような断り書きを先立っての段でなしていたとのことも申し述べておく⇒(restating) Although this long paper deals with [ foretelling problems
] which are related with masonic symbolic system deeply , I don't cling
to point of view that such organizations as Freemasonry (or "legendary"
Illuminati) are chief conspirators behind significant incidents. As an
author of this evidence-based paper, I never intend to maintain "self-belief-system" avoiding the sterile
land of conspiracy theorists who persist in conspiracy "theories"
such as [ NWO conspiracy theory ] , [ Illuminati (that organisation can't
be identified exactly) conspiracy theory ] or [(fictional? ) power obsessed
human elite circle conspiracy theory].「長くもなるとの本稿にあっては[フリーメーソンのシンボル体系と濃厚に接合する「前言」事物]らがあまりにも露骨に多数存在しているとの問題についても取り扱うが(具体的事例を多数挙げながらも取り扱うが)、だが、だからと言って、(本稿それ自体にて)フリーメーソンのような組織体が重要なる出来事の背後背面に控えるフィクサーとしての陰謀団であるとの見立てを押し売りしたいわけではない。 フリーメーソンのシンボリズムを異常異様なることに流用する力学があるとは具体的事実を挙げ連ねて指摘なすが、チェス盤上の駒が陰謀の立役者であるなどとは考えていないし、そのようなことを目立って訴求するつもりもない。 またもってして筆者は陰謀論者よろしく[新世界秩序陰謀論][イルミナティ(という実体不明瞭なる組織体)に関連する陰謀論][「人間の」権力それ自体に固執するエリート・サークル(架空存在たりうる)による陰謀論]に固執するような人間でもない」。
いちいち以上のことを再度申し述べたうえで強調しておくが、「問題となるのは、」どぎつい小説のどぎつい内容それ自体ではなく[客観的に見受けられる記号論的特性およびそれら記号論的特性に伴う[予見性]との意での不可解性]である)
本稿にての先立っての段では小説『ジ・イルミナタス・トリロジー』作中にて頻繁に言及されて重んじられている ――図示なされながら頻繁に言及され、かつ、小説副題にもされている―― との [黄金の林檎] が伝承上は[ヘラクレス第11番目の目的物]となっているとのことがあるために同小説作品が
([911の予見的描写を含んだ作品]にして[ヘラクレス第11番目の功業と際立って結びつく作品]の一例たるもの」
であろうと述べていた(それについては本稿にての先立っての段で[911の予見的描写を含んだ作品]であり、なおかつ、[ヘラクレス第11番目の功業と際立って結びつく作品]とのものらについて他例を本稿の後の段で挙げるとも申し述べており、実際、よりもって後の段でそれら例示をなす所存であるとも申し述べておく)。
さて、表記の小説作品にてその作中、図像化されながらも登場してくる[黄金の林檎]、
[ペンタゴンと並列描写されている黄金の林檎]
については(作品それ自体にはその旨への明示的言及が「ない」のであるが)[ニューヨークの質的仮託物]となっていると ―単線的な事由だけからではなく― さまざまな事情の複合顧慮にて述べられるようになっているとのことがあり、その点についても本稿では(部分的なるものながらも)かなり込み入った解説を ―基本的情報を補いながらも― なしもしていた(:出典(Source)紹介の部37-5を包摂する部を参照のこと。尚、同じくものことについては本稿にての後半部にあってもくどくもの解説をなす所存である)。
そうした、
[911の前言小説にしてヘラクレスの第11番目の冒険(に登場の黄金の林檎)に係る作品]
にても
[古代アトランティスに対する蛇人間が関与しての侵略]
との要素が(より以前のパルプ雑誌掲載小説『影の王国』内容や神秘主義体系を踏襲したからだとの説明が容易になせるところながら)作品モチーフとされているとのことがある。
同点についてもすでにもってしてページ数指定しての訳書および原著よりの原文引用を本稿の先の段にてなしているところである(疑わしきにあっては本稿の出典(Source)紹介の部38の原文引用部を確認すればいい、また、さらに疑わしきにあっても該当文物、『ジ・イルミナタス・トリロジー』の訳書ら(『イルミナティI ピラミッドから覗く目(上・下巻)』『イルミナティII黄金の林檎』『イルミナティIII リヴァイアサン襲来』との題名で集英社を版元としての文庫版として広くも流通しているとの訳書ら)との同じくものページ数指定引用部との比較検証をなすか、オンライン上より全文確認可能となっているとの原著英文テキストの内容 (こちらも先立っての段で原文引用なしている) を確認すればいいだけである)。
上の段にて『ジ・イルミナタス・トリロジー』が
[911の前言小説にして、その前言作品としての特質に関わるところでヘラクレス第11番目の功業に登場の黄金の林檎が重きをなしてくる作品]
かつ
[古代アトランティスに対する蛇人間が関与しての侵略との作中要素が見受けられる作品]
であることに(委細は先の段に譲るとのかたちで)再言及した。
その点、[ヘラクレス][蛇の種族]との観点で述べれば、
「ヘラクレスは[メデューサ殺しのペルセウスの子孫]にして[多頭の蛇の眷族を多数屠ってきた存在]と伝わっている存在となる」
とのことがある (:しかも因果は巡るとの式で[ヘラクレスが屠った蛇の眷属]には[エキドナという蛇女の眷属ら]の他に[ヘラクレス祖先ペルセウスが倒したメデューサの血族]であるとの神話的設定が採用されている化け物(ゲーリュオーン)も含まれているとのことがあり、また、メデューサをはじめとしたゴルゴーンら自体が ――そちらは通説的理解ではないのだが―― (ヘラクレスが多数そちら眷族を屠ってきたとの)[蛇女エキドナの眷族]であるとの見解もが呈されていたりする。要するにペルセウスとその子孫のヘラクレスは累代にわたって[同じくもの蛇の血脈の妖異ら]と死闘を演じていたとのことも神話的[設定]の問題として述べられるようになっているとのことである)。
ここ出典(Source)紹介の部63(4)にあっては
[ペルセウスがメデューサ退治の英雄として知られていること]
[ヘラクレスがペルセウスの子孫と伝わっていること]
[ヘラクレスが多数の(多頭の)蛇の眷族を屠ってきた存在であると伝わっている存在であること]
について解説なしておくこととする。
[[ペルセウス]が[メデューサ退治]の英雄であることについて]
ペルセウスがゴルゴン姉妹のメデューサを討伐したことは極めてよく知られた神話上のエピソードとなっている。については、ギリシャ古典 ――たとえば同じくもの伝承について記述しているとのヘシオドス『神統記』のような(現代語訳も流布されているとの)ギリシャ古典―― の内容をいちいち挙げずとも和文および英文のウィキペディア[ペルセウス][アイギス]項目程度に載せられている記述を引くだけでも十分であろうと考えている。
(直下、(媒体性質より記載内容の変転を見る可能性もあるが)、和文ウィキペディア[ペルセウス]項目にての現行記載内容よりの引用をなすとして)
ペルセウスはセリーポス島で成長したが、やがて、ディクテュスの兄でセリーポス島の領主であるポリュデクテースがダナエーに恋慕するようになり、邪魔になるペルセウスを遠ざけるためにゴルゴーンの一人メドゥーサの首を取ってくるように命じた。ペルセウスはアテーナーとヘルメースの助力を受け、アテーナーの楯、ヘルメースの翼のあるサンダル、ハーデースの隠れ兜などを身につけた。そして居場所を聞くためにゴルゴーンの妹であるグライアイ三姉妹の元に行った。彼女たちは生まれつき醜い老女で、三人でたった一つの眼と一本の歯しか持っていなかった。彼女たちが居場所を教えてくれないために、この眼と歯を奪って脅すことで無理やり聞き出した。そして死者の国の洞窟の中でゴルゴーン姉妹を発見し、顔を見ないようにしながら剣でメドゥーサの首を取ることに成功した
(引用部はここまでとしておく ―※― )
(※尚、同じくものことについてローマ時代のギリシャ人著述家アポロドーロスによってものされたビブリオテーケー(BIBLIOTHEKE)、日本では『ギリシャ神話』と題名訳されての訳書が岩波書店より出されているとのギリシャ神話網羅的紹介著作では次のような表記がなされている。(以下、岩波文庫版『ギリシャ神話』(当方所持の岩波文庫版第61刷のもの)にてのp.81より引用なすとして)ゴルゴーンたちはステノー、エウリュアレー、メドゥーサである。メドゥーサのみが不死でなかった。それゆえにペルセウスはこの女の首を取りにやられたのである。ゴルゴーンたちは竜の鱗でとり巻かれた頭を持ち、歯は猪のごとく大きく、手は青銅、翼は黄金で、その翼で彼女らは飛んだ。そして彼女たちは見た者を石に変じた。ペルセウスは彼女らが眠っている上に立ちふさがって、アテーナーに手を導かれ、面をそむけつつ、それによってゴルゴーンの姿を眺める青銅の楯の中を眺めながら、彼女の首を切った
(引用部はここまでとする)と表記されているところとなる)
(直下、(媒体性質より記載内容の変転を見る可能性もあるが)、和文ウィキペディア[アイギス]項目(ペルセウスがアテナより預かり受けた防具たる[アイギス]にまつわる項目)にての現行記載よりの引用をなすとして)
ペルセウスはメドゥーサの首を持ち帰る際、いくつかの局面(巨神アトラースに会った時、ケーペウス王の娘アンドロメダーを救出するために怪物を倒す時、アンドロメダーとの結婚の祝宴中に乱闘が発生した時など、ただしこれらについては諸説ある)においてメドゥーサの首を使って相手を石化させている。アテーナーはその首をアイギスに取り付けることで、アイギスをより優れた防具にしたという。 なお、ペルセウスがメドゥーサを討伐する際、彼がメドゥーサの姿を見て石化するのを防ぐため、アテーナーはペルセウスに、青銅鏡のように輝く楯を貸した。ペルセウスは眠っているメドゥーサに忍び寄る時、楯を利用してメドゥーサの姿を直接見ることなく近づいたため、石化することなく首をはねることに成功した(近づく時の方法は、楯を通してメドゥーサを見ながらだとも、楯の表面に映るメドゥーサを見ながらだとも、それ以外の方法だったとも言われる)。この時に使われる楯がアイギスだと言われることもある。
(引用部はここまでとしておく)
[[ヘラクレス]が[ペルセウス]の子孫(曾孫)であると伝わっていることについて]
ヘラクレスがペルセウスの子孫であるとされていることについてだが、そちらもすぐもって確認できるようなこと、かつ、異伝異聞の類も介在しないようなことであるので通俗的解説媒体よりの引用をなすとの式をとることとする。
(直下、(媒体性質より記載内容の変転を見る可能性もあるが)、目に付くところの和文ウィキペディア[ヘラクレス]項目、同項目にての[ヘーラクレースの生い立ち]と付されての節にての現行記載よりのワンセンテンス引用をなすとして)
「ヘーラクレースはゼウスとアルクメーネー(ペルセウスの孫にあたる)の子。」
(引用部はここまでとする ―※― )
(※直上、目に付きやすき媒体たるウィキペディアより一文のみ引きもしたところに見るようにヘラクレスの母である[アルクメーネー]には[ペルセウスの子たるミュケナイ王エーレクトリュオーンの娘(ペルセウスの孫)]としての由来があり、調べてみれば、ヘラクレスが[ペルセウスの曾孫]であると伝わっていることが[文献的事実]となっている ――そういう記述が文献にて認められるということが事実である―― との点につき、すぐに理解いただけるであろう ――につき、「ウィキペディアなどよりはいまひとつましである」との媒体、有為転変しないものとしての当代ならぬ先代の識者らの手になる不変なる申しようを確かめるうえで有意義なる
Project Gutenbergにて全文公開されているとの著作より申しようを引けば、である。たとえば、 The Myths and Legends of Ancient Greece and Romeとの著作にあって Heracles, the most renowned hero of
antiquity, was the son of Zeus and Alcmene, and the great grandson of Perseus.
(訳として)「ヘラクレス、古代にて最も名を馳せし同英雄はゼウスとアルクメネの息子、そして、ペルセウスの曾孫である」といった記載がなされていたりすることもその気があれば、オンライン上より同定できるところとなっている(ここにての引用元著作や引用テキストをそのまま検索エンジンにて検索するなどのこともその範疇に入る)。 ちなみに英文Wikipedia[Heracles]項目にては「現行」、
Heracles (/ˈhɛrəkliːz/ HERR-ə-kleez; Ancient Greek: Ἡρακλῆς, Hēraklēs,
from Hēra, "Hera", and kleos, "glory") (Illyrian or
Albanian: Herakliu), born Alcaeus (Ἀλκαῖος, Alkaios) or Alcides (Ἀλκείδης,
Alkeidēs), was a divine hero in Greek mythology, the son of Zeus and Alcmene,
foster son of Amphitryon and great-grandson (and half-brother) of Perseus.
(訳として)「[ヘラ神Heraの栄光Kleos;glory]との語義を有するヘラクレスは[アルカイオス]あるいは[アルキデス(アルケイデス)]との名で当初生を受けたとのギリシャ神話上の神性を帯びた英雄となり、ゼウス神とアルクメネの息子にして アムピトリュオーンの養子、そして、ペルセウスの曾孫(にして異母兄弟)となる存在である」(訳はここまでとする)とヘラクレスが[ペルセウスの曾孫]にあたるだけではなくゼウスを共通の父とする[ペルセウスの異母兄弟]にあたることへの言及もが現行なされている( great-grandson (and half-brother) of Perseusとあるのはヘラクレスの父親もペルセウスの父親も不死なる存在、ゼウス神であるとの神話的設定が存在していることによる))
上はペルセウスがメデューサの首を切り取ったとの瞬間を写実的に具現化したとのことでよく知られるルネサンス期16世紀(1554年)の作品、
[ベンヴェヌート・チェッリーニ( Benvenuto Cellini )の手になるフィレンツェ在のシニョリーア回廊に据え置かれているペルセウス像]
を写し取った写真よりの抜粋をなしたものである(:抜粋元は左の段のそれが Project Gutenbergにて著作権喪失著作としてパブリックドメイン化、全文公開されているとの Stories of Old Greece and Rome(1913)との著作、右の段が同文に Project Gutenbergにて公開されているとの Myths of Greece and Rome(1921)との著作となる)。
芸術作品のモチーフに歴年なされてきたように[ヘラクレスの曾祖父たるペルセウス]に由来する[多頭の蛇の頭髪を持つメデューサの退治]は極めて有名な伝承上のエピソードである。
[[ヘラクレス]が[蛇の血族の怪物]を屠ってきた存在/多くの多頭の蛇の眷属を屠ってきた存在であることについて]
ヘラクレスが多数の蛇の眷属の怪物を屠ってきたことについては以下のウィキペディア項目をもってしても容易に確認できる。
[和文および英文のウィキペディアにあっての[エキドナ]項目]
上項目にあってはエキドナが上半身美女、下半身蛇の蛇女である ――要するに蛇女たる彼女の子供は蛇の血族とのことになる―― との記述がなされている。そして、同[エキドナ]項目では和文・英文版ともに
[エキドナの子供達]
が一覧表記されており、そこにて一覧表記されている怪物たちの内、
[ケルベロス](ヘラクレス第12番目の功業にて冥界から地上に引きづり出された存在.尾が「蛇」の三つの頭を持つ冥界の番犬)
[ラードーン](ヘラクレス第11番目の功業にて討伐された存在.黄金の林檎の園の番人たる百の頭を持つ怪竜ないし怪蛇)
[オルトロス](ヘラクレス第10番目の冒険にて大洋の先の島にて討伐された怪物.尾が「蛇」の双頭の犬の怪物)
[ヒュドラ](ヘラクレス第2の功業で討伐された9つの頭を持つ多頭の怪蛇)
[ネメアの獅子](ヘラクレスの第1番目の功業にてヘラクレスに討伐されてその皮を剥がれた存在.獅子だが、蛇女エキドナの息子とされる)
がヘラクレスの12功業の中で討伐されているエキドナ血脈として知られている。
(⇒上記怪物らが表記のヘラクレス各功業にて討伐されている[エキドナの血筋]であることはオンライン上の諸種媒体で「容易に」確認できるようになっている。
それにつき、さらに一歩進んでの話として、
[ヘラクレスの「蛇の眷属」の退治についての[古典]としての解説文書]
にも言及しておくが、そちらについては例えば、
[ヘラクレスの12功業関連の伝承を含むヘラクレス事績]
についてまとめての表記をなしているとのローマ期古典、 ――本稿で先に(出典(Source)紹介の部39との段で)挙げているとの著作ともなるが―― ローマ期ギリシャ人著述家アポロドーロスの著作たるビブリオテーケー、岩波文庫から広く流通しての邦訳版が出されている『ギリシャ神話』の第二巻(のVと振られた部)などが容易かつ廉価にて入手できる裏付け資料となるようなものとして挙げられる(当方手元にある版のアポロドーロス『ギリシャ神話』文庫バージョンで89ページから102ページがヘラクレス12功業を論じた該当頁となる ――につき表記のアポロドーロス『ギリシャ神話』該当頁内では[ネメアの獅子]が[ティポーン(足が蛇であるとの怪物)の子]であること、[オルトロス]が[エキドナの子]であること、[百頭竜(ラードーン)]が[エキドナの子]であることなどが一言のみだが言及されている―― )。
また、和文Wikipediaではなく現行英文Wikipedia[Echidna]項目の方にあっては(ヘラクレスに皮を剥がれてヘラクレス防具へと転用されることとなった)存在たる[ネメアのライオン]がエキドナの子であるとの表記はなされていないが、それでも確かにネメアの獅子は(獅子であるのにもかかわらず)蛇女エキドナの子供であると伝わっている。例えば、メジャー所の出典としてはヘシオドス、極めて著名な同ギリシャの著述家の遺したTheogony『神統記』でもそうした記述が認められる。
同点、ネメアの獅子が獅子ながらエキドナの子であるとされていることについては Project Gutenbergや Internet Archiveのサイトにて著作権喪失を見たものとして公開されている、すなわち、誰でも全文ダウンロードできるようになっているとの Evelyn Whiteという人物が訳を付している THE WORKS OF HESIODと付されての流通版THEOGONY『神統記』の20世紀初頭英訳版、その中の記述として
(直下、流布版Theogony『神統記』より原文引用なすところとして)
Echidna was subject in love to Orthus and brought forth the deadly Sphinx
which destroyed the Cadmeans, and the Nemean lion, which Hera, the good
wife of Zeus, brought up and made to haunt the hills of Nemea, a plague
to men.
(訳として)「エキドナはオルトロス(エキドナの息子でケルベロスの弟)との恋愛感情に浸り、Cadmeans(オイデュプス王がスフィンクスと対峙したテーバイの地のこと)を破壊したとの有害無比なるスフィンクスを生み出し、ゼウスの良き伴侶であったとのヘラが養育なしたうえでネメアの丘陵部に放ち人間にとり疫病神となったとのネメアの獅子を産みだした」
(引用部はここまでとする)
と記載されているようなことがある ――とすると、ヘラクレスは[蛇女の子たるネメアの獅子]の毛皮をかぶって戦いを繰り返していたことになる―― )。
また、
[ペルセウスに退治されてのメデューサ(よく言われるところではポセイドンの恋愛対象が変じての怪物)を含むゴルゴン]
らもがエキドナの子であるとの[異聞・異説( different view )の類]があるとのことも知られる。
についてはローマ期に成立したとの『神話集』 (Fabulae) という著作、ガイウス・ユリウス・ヒュギーヌス(Hyginus)という人物の手になる著作に実際にそういう記載があることが知られている。英文Wikipedia[Echidna]項目にてのエキドナ子息一覧にて The Gorgon - According to Hyginus, the Gorgons are the children of Echidna.と現行記載されているのはそちら受けてのこととなり、そういう[異説]をしてそれが[異説]ではないように語り継いでいるとの文物も19世紀、近代以後の欧米圏にあっても流通していた ――例えば、筆者が捕捉しているところとしては Project Gutenbergのサイトにて公開されている 1000 Mythological Characters Briefly Describedとの著作(『1000なる神話的存在の簡潔なる解説』とでも訳せよう著作/1895年初出とも)にあっては Echidna (Echid'na). A woman having a serpent’s tail. She was the reputed mother of Chimaera, and also of the many-headed dog Orthos, of the three-hundred-headed dragon of the Hesperides, of the Colchian dragon, of the Sphinx, of Cerberus, of Scylla, of the Gorgons, of the Lernaean Hydra, of the vulture that gnawed away the liver of Prometheus, and also of the Nemean lion; in fact, the mother of all adversity and tribulation.
(訳として)「エキドナ、彼女は蛇の尾を持っていた女である。彼女エキドナはキメラ、多頭の犬オルトロス、三百の頭を持つヘスペリデスの園の竜(訳注:ラドンというそちら存在については[100の頭を持った竜・蛇の類]以外に300の頭を有した爬虫類との異説もあるようである)、コルキスの竜、スフィンクス、ケルベロス、スキュラ、「ゴルゴン」、レルネーのヒドラ、プロメテウスの肝臓を啄んでいた禿鷹ら、そして、ネメアの獅子らの母親と評されてきた存在、事実上のすべからくもの災厄・苦難の母親とされてきた存在である」(訳はここまでとする)と[ゴルゴン]もエキドナの子供であるように記載されている(ちなみに表記の19世紀初の引用元著作では[スキュラ]までもがエキドナの血族とされているが、スキュラという存在については一般には[ニンフが呪いにて変じた(エキドナ血族とは無縁なる)怪物]であると伝わっていることも一応、表記しておく)―― )。
さらにヘラクレスが誅伐したとされる蛇系統の「他の」怪異らとしては以下表記のような存在が伝わっていることについても労せずに確認できるようになっている。
[二匹の蛇](ヘラクレスが生まれたての赤ん坊であった折にゼウス私生児であった彼を厭わしく思っていたゼウスの妻ヘラが彼を殺そうと送ったとの[二匹の蛇]、それらを赤ん坊ヘラクレスが怪力でくびり殺していたとの話は和文および英文のウィキペディア[ヘラクレス]項目にも現行、記載されているようによく知られた話となっている ――要するにヘラクレスは人生の初めからして蛇殺しの存在であった―― )
[ゲーリュオーン](ヘラクレスの第10番目の功業にてエキドナ血族オルトロスと共に殺害されたのが同ゲーリュオーンとなるのだが、[三人の男がシャム双生児のようにつながったとの似姿]、およそ蛇とは無関係ともとれる格好で描写される存在ながらも、同ゲーリュオーンについては[メデューサの孫]であると伝わっている ――和文ウィキペディア[ゲーリュオーン]項目にてもアポロドーロスの『ギリシャ神話』(当方所持の岩波文庫版(第六一刷との重版に重版が重ねられてのもの)では98ページ)にもゲーリュオーンが[クリュサオールの子供]であると表記されている。そこに書かれている[クリュサオール]というのが[メデューサがペルセウスに殺されたその瞬間に生首から生まれ落ちとされる(黄金の剣を帯びての)妖異としてのポセイドンとメデューサの子]であると神話が語る存在となっている ――英文Wikipedia[Chrysaor]項目にて In Greek mythology, Chrysaor (Greek: Χρυσάωρ, Khrusaōr; English translation:
"He who has a golden armament"), the brother of the winged horse
Pegasus, was often depicted as a young man, the son of Poseidon and Medusa. Chrysaor and Pegasus were not born until Perseus chopped off Medusa's head.[ . . . ] Chrysaor, married to Callirrhoe, daughter of glorious Oceanus,
was father to the triple-headed Geryon,
と記載されているとおりの言い伝えの伝がある―― ために、ゲーリュオーンは[メデューサの孫]ということになる)
[ギガース](ギガース・ギガンティスらはヘラクレスが計12の功業をすべて終えた後にゼウスに召集された戦った一大決戦、オリンポスの神々とガイア(大地母神)の子供である巨人らの一大決戦(ギガントマキア)の相手方としての[下半身竜・蛇の存在]となる(単数形はギガース、複数形はギガンティス)。同点については和文ウィキペディア[ギガントマキアー]項目(あるいは英文Wikipedia[Giant]項目にての現行にてのGigantomachyの節)より確認できるが、さらにすすんでの出典紹介もなしておくこととする。その点、国内にても広く流通を見ているアポロドーロス『ギリシャ神話』(岩波文庫版)、第61刷との重版に重版が重ねられての当方所持の版の同著p.36ページからp.38ページには次のような記載がなされている:(以下、アポロドーロス『ギリシャ神話』より掻い摘まんでの引用をなすところとして)[大地(ゲー)はティーターンたちのために憤って天空(ウーラノス)によって巨人(ギガース)たちを生んだ。身体の巨大なことでは彼らを凌駕するものはなく、力においては無敵、姿は見るも恐ろしく、頭と顎より濃い毛を生やし、足は竜の鱗よりなっていた。・・・(中略)・・・神々に対して、巨人たちはいずれも神々によっては滅ぼされ得ないが、誰か人間が味方となれば退治されるという予言があった。大地(ゲー)はこれを知り、人間の手によっても滅ぼされ得ないようにするために薬草を求めていた。しかしゼウスは曙と月と太陽とに現れることを禁じ、薬草を自ら機先を制して切り取り、ヘーラクレースをアテーナーを通じて味方に招いた。・・・(中略)・・・ゼウスが雷霆を投じ、ヘーラクレースは矢で射て彼を殺した。残余の巨人どものうちエピアルテースの左眼をアポローンが、右眼をヘーラクレースが射た」(引用部はここまでとする)。以上、引用なしたようにヘラクレスは[ネメアの獅子]や[ヒドラ]や[オルトロス]や[ラドン]や[ケルベロス]といった[蛇女エキドナの血族]を誅伐していた12功業を終えた後も[蛇(竜)との属性を帯びての巨人達](ギガンティスら)と死闘を繰り広げていたと伝わっている存在となっているわけである)
ここまでの内容からお分かりいただけていることか、と思うが、古今東西にあってヘラクレス程、蛇の妖異の眷属を殺した神話上の英雄は[いない]とのありようになっている(少なくとも古今東西の神話について網羅的な検討をなしているとのこの身の知る限りではそうである)。
まとめれば、
[ケルベロス](蛇女エキドナ子息)
[ラードーン](蛇女エキドナ子息.百頭竜こと百の頭を持つ大蛇 ――ギリシャ神話に見る[竜]は欧州中世以降図形化されてきたドラゴン状の存在ではなく、大蛇としての側面強き存在であるとのことに通ずる話も先になしている―― )
[オルトロス](蛇女エキドナ子息.ケルベロスの弟)
[ヒュドラ](蛇女エキドナ子息.九つの頭を持つ蛇)
[ネメアの獅子](蛇女エキドナ子息)
[二匹の蛇](ヘラクレスが赤ん坊の時に殺傷したヘラクレス憎しのヘラ神から送られた刺客)
[ゲーリュオーン](メデューサの孫)
[ギガスら](下半身竜・蛇の大地母神の子としての巨人ら)
らがヘラクレスによって殺された蛇の眷属たちとして挙げられる。
幼少のみぎりよりヘラに送られたとの蛇を殺していたとのヘラクレス、そのありようを具現化したとの彫刻を収めた写真(ソースは Project Gutenbergにて公開されているとの前世紀初頭の著作 STORIES OF OLD GREECE AND ROME(1913))。同様の構図をテーマにしての別の彫像、赤ん坊としての折より蛇をくびり殺していたとのヘラクレスを彫ったとの別の彫像が英文ウィキペディアなどにも掲載されていることに見受けられるようにヘラクレスは生まれてからギガントマキア(オリンポスの神々らと巨人族ギガスの間の決戦)に参戦するまで[蛇の眷族の仇敵]としての位置付けを通貫して与えられていた神話上の存在である。
そうしたヘラクレス、その死もまた蛇の眷族との縁が仇になって引き起こされたとの存在となり、愛用の矢の鏃(やじり)に塗って用いていたとの
[ヒドラの毒]
で殺されることになったと伝わっている存在でもある。すなわち、その妻デーイアネイラが性質悪きケンタウロスに夫婦仲回復の薬であると騙されて同男下着に塗りつけた[ヒドラの毒]によって皮膚焼け爛れての状況の中で苦しみ悶え、自らの殺傷を請うて死んでいったとの最期が伝わっている存在がヘラクレスとなる(そのこともウィキペディアなどに記載されているよく知られた神話上の一エピソードである ――ヘラクレスが自身が殺したヒドラ、その毒によって苦悶の死を迎えることになったとのことについては本稿のかなり後の段にあって細密を心がけての式で取り上げることとする。何故か。同じくもの神話上の一エピソードが[ブラックホール生成予見文物(際立っての予見文物)に相通ずる話]と「どういうわけなのか」純・記号論的にあいなっているとのことがあるからである―― )。
(出典(Source)紹介の部63(4)はここまでとする)